「世界の大思想」河出書房 概観と解説そして思い出
「世界の大思想」河出書房 「世界の名著」中央公論社。概観と解説そして思い出
昭和42年~ころ、この二つの出版社から、「世界の大思想」河出書房 「世界の名著」中央公論社
という哲学の叢書シリーズが同時に刊行された、
別に示し合わせたわけでもないだろうが、
こうした哲学書の叢書・全集という企画が始まったのはなんか因縁めいたもの?を感じる私なのですが、
当時若き哲学徒として大学で将来は哲学者になりたいものよと、学習していた私にとってはまさに、渡りに船でして。
これらの叢書からいくつかの興味を持った本を買っては読まさしてもらったものでしたね、
あれから40年、
結局私はいろいろ挫折もあって?哲学者にも大学教授にもなれませんでしたが、
まあこうして田舎の果てで、とりあえず死にもせずに、生きながらえてはいるという状態ですがね、
生きてるだけでめっけもん?という人生の究竟?でしょうか?
それにしてもこれらの叢書、、懐かしいです。
というか、今でもなんと私の手元に、あるんですよ、いくつかの本がね。
というわけで?
今夜はこの、
「世界の大思想」河出書房 「世界の名著」中央公論社から
私の独断で思い出し。あるいは振り返って、1行コメントでもつけながら、郷愁にふけりたいと思う次第なのですよ。
なに?
そんなお前の勝手な郷愁になんか付き合ってられないって?
まあそういわずに、できるならばお付き合いくださいよ、
とはいえ、
まあ強く勧めはしませんけどね。
それでは、、、、
まずは「世界の大思想」河出書房 から始めますかね。
このシリーズは。「名著の完訳決定版」と銘打っているだけに、
西洋哲学の名著の「完訳、完全訳」です。
(ちなみに、、世界の名著、中央公論社。のほうは抄訳・部分訳が多いです)
これがこの叢書の強み?でしょうね。
訳者も当時の哲学界の最高の人々をあてがってるので、今でもいくつかの訳書は
古典的訳書となっています。
完全訳はこの叢書版しかいまだにない。という哲学書もあります。それほど優れた叢書シリーズですね。
確かにこの叢書は一般読者向けの、大衆版?ではありますが。その予想値をはるかに超えた当時の最高の翻訳シリーズとなっているわけです。学術的にも、今でもこれを超えるような翻訳書がない、といってもいいくらいでしょうね。特に私のおすすめはヘーゲルの「精神現象学」の翻訳です。
これは樫山金四郎教授の翻訳ですが、のちに出た岩波のヘーゲル全集の翻訳よりもわかりやすいと、
私は思っていますよ。難解な哲学書の随一?ともいわれるこの哲学書はまあ誰が訳しても、わかりやすく訳せるはずもないのですが、それでもこの訳は素晴らしい訳だと今でも私は思っています。
世界の大思想、第1期 ブックリスト、と、小解説。
1、プラトン 「国家」 これは必読でしょう。プラトンのすべてがここに凝縮されてるんですからね。理想国家論、とは、哲人政治であるというプラトン、
確かに政治とは結局どんな良い制度を作っても、その制度を運用する政治家がワルだったらどうにでも悪用されてしまうという歴史的事実を私たちはいやというほど見てきてるわけですよ。
「制度じゃない、要は政治家なんですよ」
2アリストテレス 「ニコマコス倫理学」 これも必読でしょう、まあわたしてきには「形而上学」(岩波文庫版)のほうが好き?ですけどね。自然学(自然哲学)も必読です。
3、アウグスチヌス 「告白」 これは悩める求道者の自伝文学としても出色です。哲学に無関心な人にも必読です。「神の国」というべらぼうに長編の主著は岩波文庫にありますよ。
4,5、モンテーニュ 「エセー」の完訳です。これも読ませますよね。熟読したいですね。
まさに座右の書、枕頭の書です。知恵の書ですね。、
6、ベーコン 「ノブムオルガヌム」ベーコンの発見した新機軸です。
7、デカルト 「方法序説」哲学がラテン語ではなくてフランス語で語られました。
近代的な認識論の端緒を付けた書です。ただし「コギトエルゴスム」とは
われ思うゆえにわれありという結論にどう結び付くのか?という疑問があるわけです、
ほんとうは「われ思う」と、妄想してるだけなんじゃないのか?
認識とはそもそも客観的な物自体があるという前提で、進めれれてるんじゃないのか、
そうじゃなくって本当は、吾の意識が指向するときだけ認識されるという「指向性」が認識の本質なんじゃないのか?というフッサールの「現象学的還元」が後々出てくるというわけですよね。
8、パスカル 「パンセ」 人間は考える葦である。って、わかったようなわからないような?
9、スピノザ 「エティカ」 この清澄さと清涼感は稀有である、
10,11. カント 「純粋理性批判」 まあこれを読まなきゃ始まらないよね?
存在論と時間論と空間論、認識論と、。難解な哲学書ナンバ-1.
認識とは、空間と時間という私の認識形式で表彰を認識した範囲で認識される。もの自体は認識されない、物自体の存在は肯定するが、私には認識できない。
カントの最大の功績とは、
「時間と空間は人間の認識の形式である」という大発見?をしたことである。
つまり空間・時間という形式で人は対象を認識判別してるその認識形式なのである。
12、ヘーゲル 「精神現象学」難解な哲学書ナンバ-2、とにかく小難しいですよね。
精神が未開なところから、自己発展してやがて絶対精神にまで発展してゆく
過程を描く壮大なドラマともいうべきもの、それが、
精神現象学なのです。「フェノメノロジー・デス・ガイステス」
大学のゼミでこれを読み合わせしたのが昨日のように思い出されます。
13ホッブス 「リバイアサン 」 国家論ですが、人間論や倫理学、宗教学についても
のベられていますよ。
14,15、アダムスミス 国富論 経済学の金字塔ですね。
16モンテスキュー 法の精神 法哲学の金字塔です。
17、ルソー エミール 教育学の金字塔です。ルソー自身が愛人に産ませた、
私生児を貧民院に送り込んだことへの負い目をこの教育論で贖罪しようとでも思ったのであろうか?教育といえばペスタロッチ、フレーベルも重要ですよね。
。面白いという点では、ルソーはむしろ「告白」という自伝のほうが生々しくて?100倍面白いですよ。
18~21 マルクス 資本論 今となっては社会主義もすべてこの地球上から消え去りましたが (中国?あれは中華帝国ですよ) 「北朝鮮?あれは独裁世襲国家です。」 経済学としてこの本を見返すなら、言ってることは正論の極みですよね?「共産主義もまた目標ではなくて単なる過程である」ところが❓社会主義が最終目標になってしまい、共産党が絶対の正義になってしまい反対者は抹殺という、まるでフランス革命の末期の恐怖政治みたいになったことが最大の誤謬だったのだ。ロベスピエールが正義でありそれ以外はすべて悪だという思い上がり?共産党絶対正義、それ以外は悪だという思い上がり。それが個人崇拝に結び付き、スターリン主義、毛沢東の神格化を生んだのだ。毛沢東は神なのか?絶対正義なのか?そうじゃないだろ。
22、レーニン 今さら、レーニンを読んでどうなる?って感じですけどね。、
読むだけ無意味。
23、ウエーバー 社会学の開祖?
24、キルケゴール 不安と苦悩と恐れと戦慄と、そして死に至る病。それがキルケゴール?
25、ニーチェ ツアラツストラかく語りき 超人と永劫回帰と、全肯定と、歓喜と
強者の称揚。
26、ラッセル 今時ラッセルでもないでしょう?
27、デューイ タフツ 「社会倫理学」? いまいちなじみがない。
28、ハイデッガー 「有と時」いわゆる「存在と時間」ですよ。訳者によればどうしても、
「存在」という訳語が合わないのだそうです。「有」のほうが良いのだと、
それはそれで一つの識見でしょうね。難解な哲学書ナンバ-3
岩波文庫の「存在と時間」の翻訳とどっちがわかりやすいか、読み比べるのも一興でしょうね。結局どっちも難解でわからないって?
29、サルトル 「存在と無」いわゆる実存主義の代表作。でも今はもうサルトルなんて
誰も興味持たないでしょう?実存主義も、マルクスも、遠くになりにけり、
ですよね?
以上全巻のコメントでした。
第二期として、続編シリーズも刊行されています。
その中ではニーチェの「権力への意志」と
バルトの「ロマ書」が重要です。
バルトのロマ書は、いわゆる弁証法神学の代表作ですね。弁証法神学なんて今でも流行ってるのだろうか?
世界の大思想、第2期 ブックリスト、
01 『世界の大思想 第2期01 -孔子/孟子/老子/荘子』
老荘思想は現代の混迷を打破する起爆剤になるのかも?深読みするならば>それはニーチェのニヒリズムの淵源>と言えるのかもしれない、
02 『世界の大思想 第2期02 -仏典』
膨大な仏典のさわりだけがわかるというまあその程度、。あまり期待しない方がよい。
03 『世界の大思想 第2期03 -ヘーゲル』 ゲオルク・ヘーゲル(Georg Hegel)
この巻には「エンティクロペディー」が訳されている、これはヘーゲルが自分で書いたヘーゲル哲学への入門書?である。
04 『世界の大思想 第2期04 -マルクス』 カール・マルクス(Karl Marx)
「経済学・哲学草稿」はマルクスの若々しい施策の跡がわかる。
05 『世界の大思想 第2期05 -エンゲルス』 フリードリヒ・エンゲルス(Friedrich Engels)
「空想より科学へ」科学的社会主義?で、世界を革命するのだ。
でも今振り返ればマルクス主義(共産主義)も壮大な空想だったのではないのか?今世界のどこに、共産主義体制の国なんてどこにある?北朝鮮?三代も世襲しているあれはただの狂的な独裁国家にすぎない。中国?あれは単なる帝国主義・覇権主義を、国是とする勝手のような中華帝国を社会主義という甘い?チョコレートでコーティングしただけ。一切の批判を許さない絶対君主と同等ではないのか。あの国の首席という存在は絶対正義の神なのか?。「批判が許されない社会は必ず腐敗する」、「絶対権力は、かならず堕落する」
これが政治学の基本原則である。
06 『世界の大思想 第2期06 -ミル』 J・S・ミル(J. S. Mill)
今更ミルを読んでどうなる?
07 『世界の大思想 第2期07 -ウェーバー』 マックス・ウェーバー(Max Weber)
「職業としての学問」まさにそのとおりですよね?
08 『世界の大思想 第2期08 -キルケゴール』 ゼーレン・キルケゴール(Soren Kierkegaard)
「あれかこれか」人はいつだってあれもこれもほしい。あれもこれも必要だと言い張るが
本当はあれかこれかの絶対的な選択をして生きてゆかねばならないんだよ、そうじゃないかい?
09 『世界の大思想 第2期09 -ニーチェ』 フリードリヒ・W・ニーチェ(Friedrich W. Nietzsche)
「権力への意志」これは未完のアフォリズム集を彼の死後まとめたもの、
しかし彼の思想の総まとめがここにある。「ヴィーレツールマハト、」
私の半世紀前の大学時代の卒論がこれ(権力への意志)の研究だった。
10 『世界の大思想 第2期10 -フロイト』 ジークムント・フロイfontana4ト(Sigmund Freud)
「精神分析入門」今更?精神分析でもないだろうが?まあ深層意識という概念を西欧世界に跡付けたことは評価できる。フロイトは今ではもうあたりまえになってしまって、あえてわざわざ読む意味はない。
11 『世界の大思想 第2期11 -ベルグソン』 アンリ・ベルグソン(Henri Bergson)
「創造的進化」つまり、エランビタールですね。生の哲学です。
12 『世界の大思想 第2期12 -ヤスパース』 カール・ヤスパース(Karl Jaspers)
この人はキルケゴールのあの断片的な,詩的な思想をより論理的に跡付けたのだ。
実存哲学の論理化?体系化。
13 『世界の大思想 第2期13 -カール・バルト』 カール・バルト(Karl Barth)
弁証法神学って>そりゃああ、エックハルトこそが元祖でしょう?
14 『世界の大思想14 第2期 -マルロー/サルトル』 アンドレ・マルロー(Andre Malraux)/ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)
まあ今更サルトル、読んでみても仕方ない?けどね?でも「存在と無」まあ、、哲学の名著だろうね。
15 『世界の大思想 第2期15 -トインビー』 A・J・トインビー(Arnold J. Toynbee)
トインビーって哲学者だったっけ?ああそうか、歴史哲学ですね?
16 『世界の大思想16 第2期 -毛沢東』 毛沢東(Mao Zedong)
今更、、毛沢東、読むバカもいないだろ?文化大革命という未曽有の大粛清した
一説によると500万人が粛清されたという・
まあ中国版のスターリンですよ。社会主義の理想は結局こうした人間臭い権力者の我利妄想で必ず、狂的な粛清で幕を閉じるという恐ろしい真実を我々は知っている。
チャウシェスクの妄想大宮殿、ポルポトの焚書坑儒?つまり学者を抹殺、人民を農業オンリーに、
貨幣の廃止,原始共産主義を追い求めて?反対者を300万人抹殺。そしてスターリンの一説によると1000万人ともいわれる大粛清。
ああそれにしても、、
40年前私は若くて哲学者になろうと、
奮励努力していたんだなあ。
まあ先ほども述べたように、、
いろいろありまして、、
結局私は哲学者にも、。
大学教授にもなれませんでしたが、、
まあ大きなくくりでいうならば
それもまた運命です。
受け入れるしかありませんよね。
「昔を今になすすべなし」、、ということわざ通りですよ。
仕方のないことなのです。
というかそれでよかった?のです。
そういうことですよね。
それしかなかったのですから今更どうこう言っても無意味ですよ。
じゃあ
そういうことで、、、
付記
昭和55年頃「人類の知的遺産」というシリーズが講談社から発行されたようであるが実はそのころ私自身は、とある地方で食うために労働に完全に埋没しきっていたので、このシリーズには全く関知してません。そんな余裕もなかったそのころの仕事人生真っ最中でしたから。