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神のゲームに参加する事になった件  作者: 沙綾
1章 新人時代
11/37

1-10 パーティ結成→特訓

注)本日2話更新です。2話目。

 


 パーティを結成して3日。いくつか依頼をこなしてみたが、やはり後衛職の2人が接近戦が出来ないことがネックとなってる。この村周辺の依頼なら問題ないと思うのだが、俺は王都まで言って塔の攻略を視野に入れている。このままじゃ駄目だ。



「と、いうことで特訓だ。」


「なにが、『ということで』なんですかっ! 聞いてませんよ!」


「まぁ、言ってないからな。お前ら接近戦が駄目すぎだ。せめて自分の身を守れるようになってくれ。欲を言えば遠距離の物理攻撃方法を見つけてほしい。」



 突然の俺の提案に2人は若干困惑気味だ、しかし、接近戦が出来ないマズさは自覚していたようで、目をそらしながらもキチンと聞いている。本当に接近戦が出来なくて今まで良くやってこれたな、というレベルなので特訓が必要だ。

 そして願わくば弓等の遠距離物理攻撃を習得してほしい。魔力切れになるとポンコツになるのは本当勘弁してほしい。



「でっ……でも! 今のところ特に問題らしい問題はないし、接近戦が出来なくても別にいいんじゃないかなぁって……。」


「……ダンジョンに潜るようになっても同じセリフが言えるのか? 先延ばしにしてもいいことないぞ? むしろ低ランクの方が教えてもらいやすいと俺は思うがな。」


「「ですよね……。」」



 アスタが反論してきたが、正論で黙らせる。とりあえず接近戦が出来る冒険者に依頼を出して、2人が身を守れる程度に鍛えてもらおう。できればアスタには短剣を、ミルキィには弓を覚えてもらいたい。

 2人にそう説明して了承を得た俺は、ギルドにて依頼を出して来た。何日か継続して依頼を受けてくれる人がいるといいんだけど、それは高望みかな?

 無事に依頼書を出した俺は、2人を含めて現在の状態を整理しようとギルドの個室を借りた。一応個人情報のやり取りをするからな、宿の部屋なんかでやるよりギルドの個室の方が安心だ。



『だいぶパーティらしくなってまいりましたね。お2人からもこう、壁のようなものがなくなってきたように思います。』


「最初はタクトさんと話せるのが不思議でしょうがなくって……。でも、だいぶ慣れました! たくさん助けてもらいましたしね。」



 ミルキィとタクトは組ませることが多かったせいかだいぶ打ち解けているようだ。案内された個室に入ると、ギルドカードを表示するように言う。もちろん表示したくない項目は伏せるように言う事も忘れない。任意切り替えが出来るって言うのはありがたいことだ。



「「「カードオープン」」」



 ○○○



 名前:ミズキ

 種族:人族ヒューマン

 職業:見習い魔法剣士

 レベル:15

 ギルドランク:E(Dランクまで残り2)

 ステータス:

 STR C

 VIT D

 DEX C

 AGI C

 INT C

 LUK D


 スキル:言語理解(S)、剣術(C)[ツインブレイク・刺突]、鑑定(D)、魔法適性(C)、格闘術(C)、解体術(D)、気配察知(F)

 魔法:生活魔法、風術(下級)、水術(下級)

 加護:精霊の加護


 *従者:タクト



 ○○○



 名前:アスタ

 種族:人族ヒューマン

 職業:見習い魔術師

 レベル:12

 ギルドランク:E(Dランクまで残り6)

 ステータス:

 STR E

 VIT E

 DEX C

 AGI E

 INT D

 LUK B


 スキル:短剣術(F)、魔法適性(E)

 魔法:生活魔法、火術(下級)、土術(下級)



 ○○○



 名前:ミルキィ

 種族:半人族ハーフエルフ

 職業:見習い神官

 レベル:11

 ギルドランク:F(Eランクまで残り1)

 ステータス:

 STR E

 VIT E

 DEX C

 AGI D

 INT C

 LUK C


 スキル:植物鑑定(D)

 魔法:生活魔法、神聖術(下級)、探知術(初級)

 加護:主神の加護(弱)



 ○○○



 ……色々と突っ込みたいところがあるが、思っていたよりも2人のSTRの値が低いな。ミルキィは弓を扱えるようになれば少しは良くなるだろう。アスタは魔法適性があるから、少し魔法の扱い方を覚えたらもっと良くなりそうだ。



「ほえぇ~、ミズキさんはステータスの平均値が高いですねぇ?? スキルもたくさんあるし。なんか劣等感がぁ~!!」


「……そ、それより! ミルキィはハーフエルフだったの!? そっちの方が僕はびっくりだよっ!!」



 確かにミルキィがエルフの血を引いていたとはな。普段のお肉大好きっ子な姿からは想像が出来ない。エルフってベジタリアンなイメージだし。あ、でもエルフだと弓とは相性がよさそうだな。

 当のミルキィは俺のスキルの多さに焦っているらしい。武器系のスキルがないのはミルキィだけだしな。まぁ、これから増やして言ってもらうとしよう。



「まぁ、それは置いておいて。これからアスタは短剣術のスキルを伸ばしてもらおうかな。せめて自分の身を守れるくらいにはなってくれ。投擲とかが出来るようになるとなおよし。ミルキィは弓を習ってみるか? 直接攻撃の手段があった方が先々良いだろう?」


「放置なの? まぁいいけどさ。スキルもあるし短剣を磨くのもいいかなぁ。」


「まぁ、別に隠していませんし。人族の血の方が濃いみたいで耳もこんなだから気が付かないですよねぇ?? 弓は頑張りますぅ! 目指せスキル獲得ですねっ!!」


「あとアスタはタクトから魔法講座を受けてみるといいぞ。魔術の使い方とか概念とか制御方法とか詳しく教えてくれるからな。」


『ミルキィさんも制御方法等は覚えておいた方がよいと思いますよ? 探知術などは制御が物を言いますからね。』


「「うぅ……勉強キライ……。」」



 やる気はあるようでなによりだ。武術や魔術の特訓に入るとなかなか依頼を受けに行く時間が取れなくなるな。とりあえずパーティで依頼を受けて、俺だけで行くか?? いっそのこと短期集中で休みにするべきか? 金銭的には……?

 色々と俺が悩んでいる間に、タクトも魔法講座が始まっていたようだ。まだ個室を借りている時間はあるから問題ないか。



『では、まずは魔術とは自分のイメージを具現化させる手段です。呪文はその魔術を発動させるキーワードのようなものとなります。大体魔術書に記録されている物は大まかなイメージとそれに結びついた呪文、キーワードの2つです。だから術者のイメージに寄ってアロー系の魔術は同じ魔術でも形が異なる事がよくある訳です。思い浮かべる矢のイメージが異なっているからですね。ここまではわかりますでしょうか??』


「うーん?? なんとなく??」


「たしかにアスタのファイアアローと、ミズキさんのウィンドアローはどこか違う気がしますぅ。」


『ミズキ様はかなり明確なイメージをお持ちのようですからね。ここが大事なポイントなのです。明確なイメージというのは、思ったよりも難しいものなのですよ? 太さ、長さ、性質、速度、本数などアロー系に絞ってもイメージする事はたくさんあります。ですが、この明確なイメージが出来るようになると、魔力の消費が低くなったり、制御が楽になって、結果魔術の威力が上昇するという利点が生まれるのです。』


「威力の上昇!! それに魔力消費の軽減!! いいことだらけ!」


「でもなんか難しそうですねぇ??」


『そうですね、すぐに身に付くものではありません。毎日の繰り返しが大切ですよ。まずはご自身の適性のある魔術の性質を正しく理解する事。次に……そうですね、ボール形で練習をしてみましょうか。放つのではなく手の上に留まらせ、綺麗な円になるように集中する。お手本を見せますね? アクアボール!』



 そう言ってタクトは手のひらの上に水球を作りだした。綺麗な球体の形で手のひらの上に留まるソレを見せながら、さらに講義は続く。



『このように綺麗な球体に出来るようになると良いですね。さらに制御の力を磨いていくと、このように水を動かして渦を作ったり、圧縮して小さくしたりと色々できるようになります。』



 手のひらの水球を大きくしたり小さくしたりして見せる。本当タクトの魔力制御は勉強になるな。俺はまだあそこまで完璧な制御は出来ない。毎晩練習あるのみだ。2人とも様々に変化する水球に夢中になってるな。

 タクトの説明で気が付くのは無理かもしれないが、この世界の魔術は割と改良が簡単にできる。イメージを具現化するからか、一つの魔術でも出来る事にかなりの幅がある。今タクトが使用している水の初級魔術も、ただの水球から、回転を加え圧縮し形を変えることで貫通力の上がった銃弾のように変形させることが出来る。もはや別物だ。

 そう、この『気付く』ことが難しいようだ。元々魔術はこういうものという固定観念が出来上がっているようで、それを崩すのはなかなか難しいらしい。若く思考が柔軟なうちに固定観念を崩すことが出来れば、魔術の応用が出来るようになる……かもしれない。俺は元々固定観念がないからか、かなり応用が効くようになった。



「むむむ……。綺麗な丸って難しいぃ…。」


「ゆ…油断すると変な形になりますぅ……!」



 それぞれ初級魔術のボール形で練習を始めたようだ。意識すると逆に球体から離れてゆがんだ形になっていってる。俺も最初のころはそうだったなぁ。

 うんうんと唸りながら練習を始めた2人を眺めながら、タクトと相談する。



「どこまで教えるつもりだ?」


『基本的な応用位は出来るようになっていただきたいですね。お2人とも筋がよろしいので、練習を続けていけばいずれ習得できるでしょう。』


「そうか。……新しい魔術の開発は俺が頑張るか。」


『ミズキ様の発想はとてもユニークでいらっしゃいますからね。いい刺激になると思われますよ?』



 ユニークか。元の世界のゲーム知識が役に立っているようでなによりだ。

 そろそろ個室の使用時間が切れるため、2人に声をかける。新しい装備も購入しなくてはいけないし、その足で雑貨屋へ向かうことにした。



 ■■■



 相変わらず鉄を打つ音が響いている雑貨屋に3人で訪れる。ここはいつ来ても鍛練中な気がするな。店内で短剣や弓などを眺めていると、親父が奥から出てきた。



「あっ、テオドラさん! よかったー、今日は早く終わったんですね!」


「なんだ、嬢ちゃんたちか。今日は何の用だ??」


「装備の新調ですよっ!」



 2人の装備を見に来た事を告げて、色々とアドバイスをもらう。短剣は防御用と攻撃用の2本、弓は非力なミルキィでも引けるように弦の張りが弱めの物をいくつか見繕ってもらった。短剣って防御用なんてあるんだな、初めて知った。俺も1本買っておこうかな。

 親父に見繕ってもらったものの中から、さらに俺が鑑定をかけてよりよいものを選別していく。何個か試してみてしっくりくるのが見つかったようで、それら1式とミルキィ用の矢と矢筒も購入した。割と痛い出費だが、物はいいので長く使えるだろう。

 俺も1本防御用の短剣を新調した。



 ●●●

 パリーング・タガー

 回避専門の左手用短剣。大ぶりな鍔と革製の護拳が特徴。

 頑強+1

 ●●●



 頑強が付いているので多少幅広の剣相手でも使えそうだ。しばらく出番はないと思いたいが、夜盗や人型魔獣だと剣を使ってくるから保険として常に携帯しておくか。

 装備の新調で微妙にやる気になった2人を連れて宿へと戻る。武器指南の依頼を受けてくれる冒険者が現れるまで、しばらくは近場で獣相手に練習させてみるか。


今月から復職なので、更新は週末になります。

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