3、愛
凡夫が仏僧にたずねていった。
「人はなぜ生きているのですか?」
仏僧は答えた。
「生まれてくるのもあるがまま。生まれたからには、一切皆苦。生きることは修行であり、それを放棄することは許されない」
「人は、愛を残すために生きているのだ、と教えられました」
「喝。然り。愛を残すのは良いことである。愛によって、子をなすこともよいことであるし、また、子を作れなくても、何かこの世に与えることができたできごとがあるであろう。それはすべて無駄ではなく、何かこの世に与えることができたできごとがあるならば、それは愛であろう」
「生まれてから悪いことしかしていません。妻も子もいないわたしに愛など残せましょうか」
「生まれてきたのなら、それは愛をこの世に与えたのと同意義です」
「わたしは死刑囚なのにですか?」
「その生き様もまた愛です」
「わたしは民族大虐殺をしたのにですか」
「それもまた愛です」
「では、わたしは愛を残すことができたのですね」
「しかし、愛とは忘れ去られるものなのです。すでに、あなたのことなど忘れてしまったこの世界が仏の道です」
あんまり、うさんくさくならないなあ。
やめようかなあ、この連載。