believe
奇跡はいつも起きていた。
だから今回もきっと起きてくれる。
アタシはそう信じて疑わなかった。
それはboss達3人も同じだった。
とは言え下弦の月を迎えてしまい、満月までは時間がない。
満月の夜がリミットってのはあくまでもウチらが勝手に言っている仮説。
ホントかどうかはわからない。
だけどきっと合っている気がする。
もしもそうじゃないにしてもそのつもりでいた方がイイのは間違いない気がするから。
今夜は眠れないまま時間だけが過ぎていた。
夜空はいつも以上にキレイだ。
だけど、掌のストーンからも目が離せず。
bossは琉按星に戻り、神楽はアタシの隣でPPをストーンに当てながら解析中。
如月は神楽の指示でbossと一緒に一旦琉按星に戻ってbossのお手伝いに。
アタシもみんなみたいに行き来出来ればイイのにな。
度々そんなコトを考えてみる。
前に言われちゃったけどさ。
“行き来するには特殊なトレーニングが必要”
って。
移動には計り知れないパワーが要るみたいで、フツーの人は片道がいいトコらしくて。
だからお兄様も完全に直接は来れないのかなぁ。
この光が行き来させてくれたりしないかなぁ。
なんてそうは言ってもどっちにしろ時間がナイ。
『神楽ぁぁぁ』
「ハイ妃音様!」
PPに集中していた神楽は突然のアタシの呼び掛けに動揺したようでちょっと驚き声になっていた。
思わずアタシ失笑。
「失礼致しました!」
神楽、恥ずかしさMAX。
『ごめんなさい』
笑いながら。
『アタシ、戻ろうか?』
突然の発言に神楽は更に驚きを隠せなかったようで、声がかなり裏返っていた。
「はぃ???」
失笑を通り越して吹き出すしかなかった。
何とも神楽らしくない気の抜けた返事だったから。
「失礼致しました!」
慌てる神楽。
『アタシも神楽達みたいにカンタンに行き来出来れば問題ないんだろうけどそうは行かないでしょ。だったらお祖父様とかに協力してもらわなきゃいけないならアタシが戻ればイイのかなって』
アタシの素直な気持ちに神楽は手を止めて黙ったままだった。
いずれは戻らなきゃいけないんだもんな。
そう思うと自然とそう言う考えも出て来る。
「ソレが妃音様の本意なのであれば我々は従います」
ようやく発したコトバだった。
まぁそりゃそうですよね。
「ですが、、、」
ん?
自然と神楽の表情に注目してしまう。
「もう少し、御時間を頂けないでしょうか」
ドキ→→→→→ン
不覚にもちょっと動揺。
キュンとしてしまった。
あまりにも凛々しく見えちゃって。
『ありがとう』
それしかコトバが見つからなかった。
アタシの発言はまたしても神楽を煽ってしまったようで、また徹夜で作業させてしまうハメに。
たまにはアタシがコーヒーを淹れるか。
PPに向かう神楽をよそに、アタシは真夜中のキッチンに1人で下りた。
正直怖かった。
だけどそんな間もなく神楽は駆け下りて来てくれた。
必死の形相で。
『ごめんなさい』
そんな顔されたらそれしか言えないよ。
「仰って下されば」
何か見ちゃいけないモノを見たかのような形相。
『たまにはアタシが淹れようかと思って』
シュンとしてしまう。
「恐れ入ります」
安堵の表情になった。
言って出て来たらやらしてくれない気がして。
「ではこちらで待たせて頂きます」
笑顔でスッとテーブルに座った。
『ありがとう』
準備をしている間、お互いにずっと黙ったままだった。
さっきの“もう少し、御時間を頂けないでしょうか。”発言のせいか、神楽を見ると勘違いなキュンキュンが再発してしまう。
落ち着けアタシ!
言われた相手が神楽じゃなくて如月やbossだったらキュンキュンするの?
・・・・・どうだろ。
わかんないならキュンキュンしない!!
と自分に言い聞かせて。
『神楽のには足元にも及ばないけど』
照れながら差し出した。
匂いから違うもんな。
いつも神楽が入れてる姿をマジマジと見て、見様見真似でやってみたけど。
一口。
やっぱり違うな。
「とんでもございません。ありがとうございます」
まぁ冷静なコメントで。
『ありがとう。でもやっぱり神楽のが一番だね』
bossのはbossので美味しいケドね。
コーヒーを飲んでまた部屋に戻った。
時刻はもう午前4時になろうとしていた。
間もなく夜が明ける。
不思議と、全く眠くない。
ソレだけ気が張ってるってコトなんだろうな。
今日も学校なのに。
とりあえずまたベランダでストーンに祈りを込めようっと。
この光をアタシがどうにかコントロール出来ればイイんだケド。
この光のパワーがイマイチ把握できない。
右掌に再びストーンを乗せて。
お願いします!
アタシにこの光を使いこなさせて下さい!!
何かしら意味があってこの光が発生してるんだよね?
きっとアタシを護るためなんだって思う。
ひたすら右掌のストーンに向かって。
神楽はひたすら部屋で作業。
アタシはひたすらベランダで掌を見つめて祈り続ける。
お兄様を助けて!!
dead stoneからお兄様を解放して!!
相変わらず襲う吐き気と寒気と闘いながら。
気がつくといつの間にか夜が明け始めてきた。
と、ふと気が抜けたその時だった。
右掌が急に熱さを感じてきた。
来たっ!!
とっさにそう感じたアタシは神楽を呼ぼうとした。
ケド、、、
『か・・・・・』
口を開いたと同時くらいに掌の光が一気に大きくなって、ストーンが光に包まれるようにしてあっと言う間にアタシは光に包まれた。
「妃音様!」
神楽が駆けつける。
神楽が光に触れかけた、
わずかにその瞬間だった---
アタシは何度かみている“あの眩い光”に包まれた。
声が出せなかった。
えっ???
ドコ?ココ。
まだ光に包まれてる。
浮いてる???
空中にいるよ、アタシ。
祈りが通じたんだろうけど、現状が理解出来ないぞ?
「妃音様!?」
神楽の声だ!
『神楽?ドコ?ってかアタシどこにいる?』
キョロキョロしようとも神楽の姿はない。
何せアタシは空中にいる。
「何が見えますか?」
依然声の出演な神楽。
何って・・・。
辺りを見渡す。
『光に包まれてて空に浮いてるっぽい。周りは、え゛っ???』
「どうなさいました?」
『もしかして』
下に見えるあの建物、
『皇邸???』
「皇邸???」
神楽の声は鬼気迫っているように聞こえた。
神楽と会話出来てる。
今までと違うパターンだぞ?
やっぱり祈りが通じて琉按星に来ちゃったんだよ、きっと。
ありがとうストーン!
って場合でもなさそうだけど。
とりあえずマウンテンに行きたい!!
おっ!!動いた。
意思が通じてる。
「どなたかお姿は確認出来ますか?」
再び神楽、声の出演。
『ん~~』
何せ空中ですからねぇ。
一応確認。
ん?????あれは・・・
『はぁぁぁぁぁっっっっっ↑↑↑↑↑』
尋常じゃなく驚いた。
ある意味表現不能な程に。
『今すぐ来て!てか如月とbossは?多分ココ、今の琉按星!』
「えっ???どうかなさいましたか?」
アタシの目に映っているのは、恐らく・・・
『お兄様が、マウンテンに向かってる!お一人で』
空中からで、しかも後ろ姿だから確証はナイのだけれど、
完全に勘だった。
「かしこまりました!すぐ向かいます」
間もなくしてbossと如月らしき姿が見えた。
神楽が連絡してくれたんだね。
あっっっっっ!!!そうだっ!!
光の中からだけどお兄様にPPを翳してみようかな。
なぜだか思い浮かんだ。
もう少し近寄るか。
あ゛っっっっっ↑↑↑
ストーンが、、、
マウンテンとシンクロしてかなのか、ストーンが見たことのない光り方をしている。
『神楽!!ストーンが!』
相変わらず神楽の姿はない。
「どうなさいました?」
あっ!
『神楽ぁぁぁ!!』
boss達とは違う方向から神楽が現れた。
空を見上げてアタシを捜してる。
ココよぉぉぉ!!!
大きく手を振る。
「どうなさいました?」
そうだった!
ってかもしかして見えてない?
『もしかして見えてない?空に浮かんでんだけど』
アタシからはしっかり神楽もbossも如月も見えている。
「ハイ。確認出来ません」
キョロキョロしている神楽。
アタシからははっきりと見えているのに。
会話はバッチリ成立してるしアタシからは神楽も含めて全て確認出来る。
いるのは間違いなくリアルタイムなんだよな。
『ストーンがスゴい光り方をして、、、』
今度はマウンテンがストーンと同じ光り方をし始めた。
お兄様がたじろぐ。
神楽達もただ立ち尽くす。
『神楽、PP!!!』
アタシの叫びに近いコトバにハッとする神楽。
「失礼致しました!」
まるですぐそばで話してるかのようなクリアな神楽の声。
神楽はすぐさまマウンテンにPPを向けた。
??????????
ストーンから光の玉が現れた。
ストーンとマウンテンの光と同じまるでレインボーみたいな光。
何なに?どーしろと???
訳が分からないまま光に手を近づける。
そんなコトとは知る訳もないお兄様。
神楽達が駆け寄ろうと走り出した。
『待って!!!』
慌てて止めようと声を張り上げた。
、、、聞こえてない?
boss達には届かないの?
『神楽!』
boss達にお兄様が気づいてしまった。
あ゛ぁぁぁぁぁ↑↑↑↑↑
お兄様の右手がすっと真上に突き上がった。
すると瞬く間にお兄様の周りに黒い光が現れた。
アタシは一瞬にして血の気が引く思いに駆られた。
まさか。
あっ!
『神楽、如月にあの光を解析させて!』
神楽経由で言うしかない。
「かしこまりました!」
アタシはこの光を手に取り、また祈りを込めた。
“お兄様を助けたい!!”
ただそれだけだった。
お兄様の周りの光がどんどん大きくなっていく。
「邪魔するなって妃音にも言ったのに」
えっ???
黒い光に包まれてお兄様が消えてしまった。
どういうコト???
全く以て理解不能。
唖然とする如月。
『神楽!boss達にあの場所を調べさせて!!』
すかさず神楽に指示。
不思議なくらい次から次へと考えが浮かんでくる。
「かしこまりました!」
アタシは再びストーンに念じてみた。
“お兄様のトコロに行かせて!!”
光を両手で触れながら。
とりあえずお兄様がいた辺りまで移動してみる。
やっぱりbossもアタシに気づかない様子。
どーなってんだ???
気にしながらも光を両手で持つように触れたままあの塊を埋めた場所の上まで来た。
!!!!!!!!!!
突然全身が激しく揺れ出した。
アタシだけ?
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・、、、
あまりの激しい揺れに意識が薄れていく。
た、す、け、て、ぇぇぇ。
「妃音様!!」
神楽の声!
あぁあぁあぁあぁあぁ、
、、
揺れが収まらない。
もう、、、アタシ、、限界。
揺れが収まったかと思ったら今度は一面真っ暗な中にいた。
ストーンと手のひらの光がわずかにその周りだけを照らしている程度で、それ以外は真っ暗。
まさに“暗黒”って言ってもおかしくないほど。
ココ、ドコ?
神楽?如月?boss?
怖くて声に出せずに心の中で呼ぶ。
真っ暗と言えばレジスタニアとかお兄様。
アタシの中の勝手な公式が危機回避してる。
神楽!如月!!bossぅ!!!
今度はダメか。
って、心の中じゃそりゃダメか。。。
“妃音様ぁ!”
神楽の声だっっっ!
どうしよう…。
とりあえず心の中で返事してみる。
“神楽?”
“どちらにお出でですか?”
えっ?会話出来てる?
“わかんない。真っ暗”
もしかして!?
このストーンを介して話せてる?
今もさっきも!?
神楽が解析してくれてたから!?
「妃音?」
ドキぃぃぃっっっ↑↑↑
お兄様の声。
思わず身構えてしまう。
両手が自然とストーンを掴んでしまう。
あの時みたいにお兄様に掴まれないように。
「どうしてココに?」
声が引きつっている。
姿は見えない。
でも気配がする。
『ワタシが見えるの?』
「姿は見えない」
えっ???
お互いに気配を感じてるだけってコト?
「妃音まで邪魔しに来たのか?」
お兄様の声はとても低くて地を這うかのようで迫力が凄まじかった。
凄みのあまりに気迫に飲まれそうだった。
落ち着けアタシ!
『お兄様を、助けたいの』
ゆっくりと答えた。
「助けたい?」
半笑いで聞き返す。
恐怖に潰されそう。
“妃音様っ!!”
ぅおっっっつ!絶妙なタイミングでの神楽の後押し。
よし!!
軽く深呼吸して。
『お兄様はレジスタニアとdead stoneに操られてるダケなの!!』
言ったった…。
心臓破裂しそう。
「随分と面白いコトを言うんだね」
お兄様。
完全に失笑。
「妃音がマウンテンとシンクロしたように、オレはdead stoneとシンクロしたダケだよ」
dead stoneとシンクロ・・・・・。
“怨念が怨念を呼ぶ”
“後継者がいない間を埋められない行き場のない憤り”
“何も出来ない無念”
お兄様が抱えていたカオスとシンクロしちゃったの?
だとしたら・・・・・
『ゴメンナサイ』
アタシはたまらず胸が張り裂けそうな想いに襲われた。
あまりの失意に全身に力が入らなくなってしまって、アタシはその場に両手を着いて土下座するかのように倒れ込んだ。
“妃音様!!”
すかさず神楽。
“大丈夫”
間髪入れずに答える。
「妃音???」
どことなく困惑そうなお兄様の声。
『ゴメンナサイ』
涙が出て来た。
「妃音???」
“妃音様”
神楽もお兄様も声が弱々しい。
『お兄様の気持ちはアタシには理解出来ない程に辛くて切なくて哀しくてやりきれなくて、でもどこにもぶつけられなくて』
涙を何とか堪えながらも必死に訴えた。
『出来ることならお兄様が言うようにアタシは地球に残って、お兄様が後継者として琉按星を護ってくれるのが確かにイイんだと思うの』
“妃音様?”
神楽の声がかすれている。
お兄様は黙ったまま。
『だけど、レジスタニアと手を組むお兄様に、、、』
さすがにコトバに詰まるな。
静寂の中アタシの嗚咽ダケが響く。
『今の、狂気に満ちたお兄様に、後継者はさせられない』
言っ、たっ、た・・・・・、よぉぉぉぉぉ。
“妃音様!!”
神楽の声がコーフンしてるように聞こえる。
「妃音!!」
お兄様の声が再び鬼気を帯びていた。
『だからレジスタニアはアタシが消し去る!』
えっ???
コトバの力なのか、カラダが急激に熱く火照りを感じてきた。
ストーンの光が途端に大きくなってくる。
光に照らされて周りが見る見るうちに明るくなってきた。
えっ???
周囲の景色が明るみになった途端、カラダが硬直した。
周りはレジスタニアだらけだった。
お兄様の姿はなく。
あわわわわわわ。
でもこの光がバリアになっているのか、レジスタニア達は光の中に入って来れないでもがいている。
『お兄様?』
あれ?反応がなくなった。
ってコトは、、、、、
瞬時にして思い浮かんだ。
“神楽!!力を貸して!”
“えっ???”
一体どうやれと言うのか。
そんなことはどうでも良かった。
とにかく目の前のレジスタニアを消し去りたい一心だった。
お願い!!!!!
強く念じた。
“レジスタニアを残らず消し去って!!!!!”
念じれば念じる程光が大きくなっていく。
“お願い神楽ぁぁぁ!”
次第に轟音にも似た地響きが起き始めて、凄まじい大きさに膨れ上がった光りの玉は全てのレジスタニアを包み込んで消えてしまった。
「妃音様!」
神楽の声だ。
アレ?アタシどうなったんだ???
ん???
目を、、、開けてみた。
ゆっくりと。
「妃音様!!!!!」
神楽の顔が半泣きに見えるのは気のせいかなぁ。
カラダが、、、
痺れてるみたいだ。
上げようとする手が自分の手じゃないみたいで。
ココ、アタシの部屋?
スッと神楽が肩に手を掛けてくれた。
思いっきり力を入れる。
ハズなのに神楽の力ダケで起き上がったみたいだ。
『ありがとう』
声にも力が出せてない。
『ずっとそばにいてくれたんだよね、ありがとう』
力無いながらも一生懸命声を出す。
「ようやく僅かですがお力になれたようで」
いつになくクール。
「何かお飲みになりますか?」
どことなく戸惑いが見えてる気が、、、する?
『カフェオレ』
「かしこまりました。下りられますか?」
気のせいかなぁ。
ホントは今すぐにでも詳しく聞きたいゆえの戸惑い?かな。
『待ってる』
「かしこまりました、すぐ参ります。何か御座いましたらすぐにお呼び下さいませ」
やんわり笑顔で軽く会釈し、スッと部屋を出ていった。
ふぅぅぅぅぅ。
今更ながらひと息。
あまり考え事はしたくなかった。
ただただぼぉ~~~っとしていたいのが本音だった。
せめてもと思って、待ってる方を選んだ。
“何も考えたくない”
出来ることなら。
でも、、、、、
もうそんな余裕はナイ。
レジスタニアやお兄様を刺激してしまった。
もう後がない。
この時代との別れも、、、
視野に入れとかないと。
何故かしら涙は出なかった。
ワケが分かっていないダケなのか、
いい加減覚悟が出来ちゃったのか、
真意は分からない。
はっっっ!!!そう言えば学校は???
今何時?
・・・すっかり夕方だよ。。。
ってコトは学校欠席か。
乃亜、心配してるかなぁ。
メール来てるかな。
、、、、、何か時計見たら一気にお腹が空いてきちゃった。
下りるか。
痺れが残る全身。
ゆっくり両足を床に着けてゆっくりと立ち上がる。
ふぅぅぅぅぅ。
直立してひと息。
そう言えばストーンは?
・・・・・うっすら光ってる。
掌の光は???
小さくなってるけどまだ光ってるか。
でも一時期よりは弱まっているのは確かだね。
あっ!ノックの音。
「妃音様、よろしいでしょうか?」
いつもと変わらない神楽の声とイイ香り。
『どうぞ』
とりあえずベッドに腰を下ろした。
「失礼致します」
『ありがとう』
ベッドから出てるアタシを見てハッとする神楽。
『大丈夫だよ。ありがとう』
おっ!ちょっと声が出始めてきた。
「失礼致しました」
淡々と。
わかんないなぁ、神楽って。
真面目で堅物なのは間違いナイのだけれど。
助けた恩義でココまで一心にアタシに仕えたいなんてね。
天然記念物だな。
アレッ?
「お食事はいかがですか?宜しければ軽く召し上がりませんか?」
コーヒーだけじゃなくてさり気なく食事も持ってきてくれていた。
『ありがとう!今ちょうど下に下りようかと思ってたの。スゴいタイミングね』
はしゃぐアタシに照れ気味な神楽。
あ゛っっっ!!
『神楽達は?食事とか睡眠とか休憩とか』
ハッとして軽くあたふた。
「いつもいつもお気遣い深謝致します。お気遣いなく。ワタクシも今ご一緒させて頂きます」
何気に2人分。
こういうさり気ないトコロ、ホント神よね。
ありえない。
『じゃ遠慮なく♪頂きます』
ワクワクしながら。
「学校は欠席申請しておきました。乃亜様には如月が心配させませんよう対応致しております」
全く・・・・・。
『いつもいつもありがとう。もうこんな時間だったんだね』
食べながらアタマを下げて。
「恐れ入ります」
堅すぎだろ・・・・・。
まぁコレが神楽なんだよね。
出逢った時から主従関係。
コレがアタシの宿命ってヤツなんだもんね。
仕方ないか。
抵抗感ハンパないけど。