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white heart

「行って来まーっす」

「行って来まぁぁぁ」

「行って来ます」


3人での通学も、


「あっ!!神崎3兄弟♪」


周囲からのムダな歓声も今じゃすっかり日常的になり、


「おっはよっ!」


如月と乃亜のイチャイチャな光景も含めて。


“妃音はずっとここにいてイイからねー”


お兄様のあのコトバじゃなくても、こんな日々がずっと続くかのように。


新月が過ぎ、上弦の月まであと数日。


そろそろお兄様達が再び動き出すだろう。


アタシも神楽も如月もbossも、常に緊張感満載。


bossが中心になって秘密裏に進めてくれているお兄様の身辺調査は何の異変もなく、


神楽と如月が中心になって開発してくれていたストーンの解析システムは完成したけど活用は出来ておらず、


マウンテンとアタシのストーンとのシンクロの謎解きは未だに進行中で、


アタシは依然ストーンに祈りを込めている。


アタシ達の中には“上弦の月までには”って言う、暗黙の共通の想いが強くあって、


誰の口からもコトバとしては出ないモノの、想いはそれぞれに伝わってきていた。


この数日間、アタシはずっとストーンを握り締めている。


ストーンの光も手のひらの光も全く変化はない。


祈りは通じないのかな?


なんてちっとも想ってない。


100億万%信じてる。


神楽がアタシの“念”を感じてくれた時は、ソレがパワーになって、サーチするシステムを神楽達が開発してくれていたから感じられたダケ。


今のアタシが祈り続けている“念”は、受け取る準備のないお兄様や、スケールの大きすぎるマウンテンそのものに送っているモノだから、そう簡単には通じるハズがない。


「では、本日は1日研究室におりますので何か御座いましたらすぐに御連絡下さいませ」


校門での神楽との別れ際。


毎日抱く緊張感のあまり、神楽はココ数日、講義よりもゼミでの研究を優先してくれている。


いつでも動けるようにって。


講義の方が動きやすいような気がするんだけど、ソコはさすがの堅物神楽。


『ありがとう。また後で』


自然な笑顔で手を振った。


、、、その直後だった。


右手の手のひらがぼわぁっと熱く感じた気がした。


慌ててストーンに目を向けると、ストーンに異変はなかった。


気のせい?、、、かなぁ。


手のひらの光も変化なく。


気のせいか。


右手を見つめながら歩き続けた。


えっ???


『ゴメンナサイ!』


まっすぐ歩いてるつもりだったのにすれ違った男子にぶつかった。


「大丈夫?」


ぶつかったのは体育科3年の乃亜が憧れている先輩だった。


『ありがとうございます。すみません』


アタシと先輩の会話に前を歩いていた乃亜と如月が気付いてこっちに駆け寄ってきてくれた。


「すみません先輩!」


嬉しそうな乃亜。


「すみません!大丈夫か妃音?」


駆け寄りながら如月も。


『大丈夫』


爽やかすぎる笑顔で先輩は去っていった。


「カッコ良すぎるわぁ」


先輩の背中に向かって“恋するオトメ”モード全開の乃亜。


「妃音、まさか先輩狙い???」


はぁぁぁ?!


コトバにならなかった、くだらなすぎて。


アタシのおマヌケな表情に、


「んなワケないかっ!」


とあっけらかんと言い放ち、また先を歩き出した。


幸せなヤツ。


一方如月は納得いかなそうな表情のまま歩き始めた。


まっすぐ歩いてたハズだったんだけどなぁ。


先輩が当たってきたハズもないし。


何となくイヤな予感が。


一応神楽にメールしとこう。


“ビミョーーーーーにイヤな予感”


返信はソッコーで来た。


“PPをオープンにしておいて下さい”


“OK!”


言われた通りにPPを開けておく。


周囲には何も気付かれない。


如月以外には。


それでも祈り続ける。


お兄様のコトを考えながら。





「ここまでが一連の流れで、」


授業中もお兄様のコトを想いながらストーンを握り締めてひたすら祈る。


ん???


ストーンが光った。


またさっきみたいに掌に熱さも感じて。


手を広げてストーンを見ると、何かが映っていた。


どどどどどーしよー!!


とは言っても授業中。


“如月‼”


如月の背中に向かって心の中で如月を呼ぶ。


と、次の瞬間ー


ストーンから直視出来ない程の眩い光が放たれた。


まるで3歳の“あの時”のような。






えっ???


光が消え、目を開けるとアタシは宙に浮いていた。


痛っっっ!


ちょっとアタマを上げたら何かに頭をぶつけた。


天井?


リアルに浮いてんの??


にしてもココ、何処だろう。


授業は?教室は???


んっっっ!!


誰かの足音。


右側に見える螺旋階段からかな。


左側には2つの扉。


って、アタシどうしよう。


隠れようがない。


アワアワしてるだけで、動けずにいる間に誰かが階段を駆け降りてきた。


お、兄、、、さ・ま?


何歳だろう、幼いお兄様だった。


「琉雅様!琉雅様?」


お兄様を呼ぶ声がどこからかする。


もうこうなったら天井にくっつくしかない。


おっ!!カラダが動いた。


思うように動く。


コレは夢か?


とか思ってるウチにお兄様は一番端の扉に入っていった。


って言っても扉には取っ手もドアノブもなく。


通り抜けるようにお兄様は入っていった。


もしかして扉も触れるだけで開くのか???


「琉雅様?」


さっきからお兄様を呼んでいる声は階段を降りながら走ってくるエージェントの服装の男性2人だった。


「まさかココか?」


「地下室には琉雅様とは言え侵入禁止のハズ」


エージェント2人の会話でココが地下室だと言うことを知る。


地下室・・・。


てコトはココは皇邸?


階段の下で2人がうろたえている。


「なぜ琉雅様がココへ?」


「地下室はセンサー管理されていて、我々はもちろん皇王様でもカンタンには入れないハズじゃ」


そーなのか。


って、、、アタシ、気付かれてないな。


どうしよう!


こんな浮いたままで声を掛けるのもおかしな話だしなぁ。


「琉雅様?」


フロア内を走り回る2人にアタシは思い切って声を掛けてみた。


『おに、、、』


“お兄様”なんて、居ないハズの妹が言ったら余計うろたえるか。


『あのぉぉぉ』


恐る恐る呼ぶ。


「戻ろう!」


えっ???


聞こえなかった?


もう一度。


『琉雅様は一番端のお部屋ですぅ!』


天の声的に。


「ダメだ。いないな」


・・・聞こえてない、、、ようだ。


どーなってんだ?


ならばアタシが代わりに。


お兄様が入っていった部屋の扉に触れてみる。


痛っっっ!!!


まるで電流かのような衝撃的な痛みに阻まれた。


『お兄様?』


全力で叫ぶ。


痛っっっっっ!!!


今度はアタマを何かで殴られたみたいな痛みが。


懲りずに再び扉に触れてみる。


!!!!!!!!!!!!!!!


弾き飛ばされて数メートル先の反対側の壁にぶつかった。


ぶつかった衝撃で咳き込む。


いったぁぁぁ・・・。


強く当たったワァ。


宙には浮けるのに扉には入れないの?


あっっっ!!こうなったら体当たりだ!


猛ダッシュして扉に突撃した。


ドンっっっ↑


いっつぅぅぅ↓↓↓


作戦失敗。


衝撃再び。


背中と右腕が痛い…。


何なんだっての?一体。


ワァっっっ!!!


おっ!お兄様がぁぁぁっっっ↑↑↑


えぇぇぇぇぇ??????????


お兄様が部屋から出て来たかと思ったらお兄様は目の前にいるアタシにお構いなく、しかもアタシをすり抜けて階段を上がって行った。


すり抜けた。


痛みも何もなく?


アタシ、実体じゃないの?


だったらどうしてあの部屋に入れないの?


もしかして、、、


さっきのエージェントの会話が浮かんだ。


“「地下室は侵入禁止のハズ」”


“「センサー管理されていてカンタンには入れないハズ」”


なのに入れてるお兄様。


しかもあの部屋にも。


と言うコトは、出せる答えはただ1つ。


あの扉の向こうにお兄様とレジスタニアを繋ぐ“何か”があるー


としたら、アタシがココにいるのはきっとストーンのお陰。


“念”が何かしらの形で通じたんだ!


お兄様の幼少期にタイムスリップしたのか、


お兄様の潜在意識にフォールイン出来たのか


どういう形なのかは分からない。


だけど、この際どっちでもイイ!!


少なくとも今は。


祈りが通じたんだとしたら、


お願い!!あの部屋の中にも入らせて↑↑↑↑↑


もう一度改めて強く念じる。


再度挑戦!


入った・・・。


ちょっとよろめいちゃったケド。


でもアタシは入った途端言い様のない恐怖感に襲われた。


意味不明な震えと共に。


中は真っ暗だった。


静寂


でも混沌としていて。


何かが蠢いているような言い知れないオーラが漂う。


《後継者は琉雅だ》


??????????


何、この地を這うような狂気に満ちた気味悪さすら感じる声は。


《プラチナムマウンテンのパワーを封じなければ》


息が苦しい。


この狂気に潰されそう。


右手はストーンを握り締めたまま。


遠退きだした意識の中それでもこの暗闇の謎の答えを求めていた。


お兄様と何が関係あるの?


ココにあの“塊”があるの?


手のひらの光では辺りすら照らせない程の真っ暗闇。


ダメだ、朦朧としてきた・・・。


息が荒い。






「ここまでが一連の流れで、」


んんん???


さっきと変わらない光景に戻った。


鼓動が早いまま。


息苦しさもそのままで。


チラリと隣の席のコのノートを覗く。


先生のボードも隣の席のコのノートもさっきから進んでない?


ってコトは時間は止まってた???


何なんだいったぁぁぁぁぁい↑↑↑


当然、授業どころじゃなかった。


休み時間に入るなり、アタシは教室を飛び出した。


無言で如月の手を掴んで。


「妃音???」


目にはうっすら涙が浮かんでいたケド、コレは我慢して。


神楽も呼び出して。


センターホールに向かう。


息が荒いまま走ると余計に苦しいね。


でも一心不乱にセンターホールまで走り続けた。


センターホールに着いてすぐ、神楽を確認しないままでアタシは給茶機に向かって、まずは水分補給した。


喉渇いたぁ。


「あっ、アニキ!」


如月が神楽を呼ぶ。


アタシはお茶を一気飲み。


息を整える。


「いかがなさいましたか?」


小声で神楽が言った。


2人を近くのテーブル席に促した。


まだ軽く息が上がっている。


「何か飲まれますか?」


と如月。


神楽も如月もなぜかエージェントモードだ。


お茶を取りに行った如月を待つ間深呼吸。


「ありがとう」

『ありがとう』


さっき一気飲みしたばかりだけど、またお茶を一口。


少しずつ呼吸が整ってきた。


『皇邸の地下室って、何があるの?』


アタシの発言に、2人とも驚いていた。


「なぜ地下室が?」


すぐにさっきの話を2人にした。


「琉雅様が地下室に?」


2人とも眉間にシワを寄せて神妙な面持ち。


「如月、bossに報告だ」


「ハイ!」


PPを操作し出した如月の横で神楽は話を進めた。


「我々も地下室には容易には入れませんし、そもそも地下室は立ち入り禁止でして、何があるかすら恥ずかしながら存じ上げておりません」


神楽も如月も完全にエージェントモードだった。


そりゃ話の内容が内容だもんな、仕方ないよな。


『真っ暗で何も見えなかったけど、あの部屋に間違いなく塊の謎が隠されている気がするの』


2人なら信じてくれる。


そう思って疑わなかった。


「しかしそれにしても妃音様のパワーは無限の可能性を秘めておられますね」


う゛っっっ。


そんなキレイな瞳で見ないで下さいぃぃぃ。


照れちゃいますからぁぁぁ↓↓↓


「お身体は大丈夫で御座いますか?」


『はいぃぃぃ』


そんなに見つめないで下さい、勘違いしちゃいますからぁぁぁ。


「でも妃音様がトリップなさっている間、全く何の反応も出来ませんでした」


深く考えてしまう神楽。


『オープン状態にはしてたんだけどな』


アタシも軽くしょんぼり。


「妃音様、チーフ!」


如月が小声で早口で呼んだ。


「代々皇王様と最高責任者にしか言い伝えられない超ウルトラスーパー機密事項らしいのですが、地下室の一番端の部屋には妃音様の読み通り、プラチナムマウンテンの逆鱗に触れて宇宙の彼方に飛ばされた塵の破片が収められているらしいです」


アタシも神楽もコトバにならなかった。


「全てが吹き飛んだワケではなかったのか」


神楽がそう発し、また沈黙が続いた。


「破片て」


沈黙を破ったのは如月の愕然と言い放った一言だった。


ようは謀叛を企てて失敗した人の怨念てコトよね?


う゛っっっ!


意味不明な吐き気。


思わず口を押さえる。


「妃音、様?」


心配そうな2人の表情。


『大丈夫』


そろそろ教室に戻んなきゃ。


立ち上がり、足を動かしたその時だった。


めまいに襲われ、アタシは気を失ってしまった。







気が付くと目の前には神楽がいた。


保健、室?


「大丈夫?」


アニキモードだった。 

  

ゆっくり起き上がりながら答えた。


すかさず神楽が手を添えてくれる。


『大丈夫』


「軽い貧血ね。疲労ってトコかしら?神崎が寝てる間に兄が車取ってきてくれたわ。その間如月がいてくれて。カバンは如月が持ってきてくれたから今日はもう帰ってしっかり寝なさい。担任の先生には私から言っておくから」


と保健の先生。


疲労、か。


エネルギーの使い過ぎかな。


『ありがとう。授業は大丈夫なの?』


ゆっくり立ち上がりながら神楽に尋ねる。


「研究室に戻ってもちょくちょく来ちゃうだろうからと思って。如月もいたいってゴネてたけどね」


すかさずアタシの肩に手を添えながらそう言って神楽は失笑した。


「ホントにアンタ達は仲がイイわね」


そうイイながら先生は仕事に戻った。


『ありがとう御座いました』


二人で頭を下げて保健室を出た。


神楽が支えてくれながら。


アニキでありアタシに仕えるエージェントだって分かってるのに、


そんな余裕とか無いハズなのに、


不謹慎であろう、ドキドキしちゃう。


神楽がアタシの肩を抱えてくれているコトに。


「あくまでもワタクシ個人の見解からなる仮説なのですが、先程妃音様がお倒れになったのは、妃音様自身のパワーの暴発かと想われます」


えっ?


エージェントモードで敬語だから小声で話す神楽に、アタシは無言で反応した。


「妃音様がお倒れになった際の解析システムのデータがかなり乱れておりまして。保健室でお休みになってからは徐々に落ち着いて参りました」


『発動したのね!』


解析システム、始動開始だ!


「ハイ。ですが、先程の授業中の件に関しては全く反応しておりませんで、精度にかなりの欠点があるかと思われますので、まだまだ改善の余地があるようですね」


浮かない顔の神楽。


『朝、神楽と別れた後すぐに右手が熱っぽくなったの。一瞬で治まったからあまり気にしなかったんだけど、その後まっすぐ歩いてたハズなのにすれ違った先輩とぶつかって。授業中もトリップする直前にまた右手が熱くなって』


「右手の光のパワーがポイントのようですね」


右手の光のパワーか。


コレは解析システムには反応しないってコト?


ストーンとこの光の関連は???




帰宅後、bossにきてもらい光を分析してもらった。


『アタシの勝手な勘なんだけど、、、』


さっきからぼんやりと思い浮かんでるコト。


もちろん根拠はあるけど確証はナイ。


この光を見つめながらずっとこの光の記憶を辿ってみた。


さっきの神楽の推測も重ねて。


『この光って、マウンテンのパワーとアタシのストーンのパワーとがスパークしあったものなんじゃないかなぁ』


アタシ的にはド真剣なんだけど、アタシらしからない発言よね。


みんな黙ったまま。


『もちろん何となくよ。だけど、お兄様がセンサー管理されているはずの地下への扉もあの部屋の扉も開けれたのが塵の塊から発せられるパワーによるものだと仮定したらそう言う仮説が浮かんできて』


「だとしたらシステムに反応しないのも納得ですよね」


と、神楽。


「スパーク・・・」


呆気に取られているのは如月。


「どこまで妃音様のストーンのパワーは未知数なんでしょう」


呆れにも似た驚きのboss。


「やはり我々は幸せ者ですね、チーフ、boss!」


メチャクチャ笑顔の如月。


神楽とbossも満面の笑みで頷く。


『照れるからヤメてよぉ』


恥ずかしがるアタシに3人の間でクスッと笑いが起きた。


『この青みがかった光が現れたのは、下弦の月の翌朝。しかも自分に起きる異変に耐えきれなくなって限界点に達してアタシが心の中で叫んだら2人が駆け寄ってきたよね、“アタシの波動が強すぎた”って』


『その後レジスタニアが現れた時にはこの光がレジスタニアを消し飛ばしてくれて。その後もまた光が現れて』


「と言うコトは、その光には月のパワーも加わっているってコトでしょうか」


眉間にシワを寄せたままのboss。


「だとすれば下弦の月から新月にかけてパワーが弱まっていたとすればそれもまた琉雅様側の仮説と同じですね」


如月も引けを取らない。


男子3人が次から次へと仮説を繰り出す。


畳み掛けるように。


あくまでも仮説なのに仮説じゃないみたいに話が進む。


『ってコトはお兄様もやっぱり動き出してくるってコトよね』


この空間の空気が張り詰めている。


「ましてや我々が地下室に気付いてしまいましたからね。間違いないでしょう」


緊張して来て鼓動が早くなる。


部屋にいながらにして、喉も渇いてくる。


「ワタクシは常に待機しておきますね」


緊迫した雰囲気の中にも関わらず安心感のあるbossの温かい声。


「お願い致します」

「お願い致します」


神楽と如月の声が重なる。


『ありがとう』


緊張のあまり声が小さくなってしまった。


bossが戻り、3人でキッチンに立っていた。


アタシはしきりに右手に目が行ってしまう。


PPでマウンテンの様子を常にチェック出来るようにセットして。


「妃音様!神楽!如月!!」


ん?bossの声だ。


3人一斉にPPにカラダごと向ける。


「地下室と地下室への扉の撤去作業が完了しました」


3人同時に息をのむ。


“いよいよだ”


そう言う想いが伝わってくる。


思わずストーンを両手で握り締める。


「琉雅様は?」


如月が切り出す。


「今日はマハラ星に出張だ」


マハラ星?


「地球からも月からもかなり離れてますよね」


如月が弱々しい。


「油断は禁物だ。ますますマウンテンの様子を要チェックだな」


鬼気迫る雰囲気の神楽。


アタシですら恐怖に似た感覚にとらわれる程。


近寄りがたさマックス。


でも、改めて想う。


神楽はやっぱり神楽なんだ。


アタシのエージェントの神楽なんだ。


アタシの為のこの気迫なんだ。


って。


そう思ったらアタシもその想いに応えなきゃって、イヤでも思えてくる。


!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?


また手に熱さが。


すかさず掌を見る。


・・・変化なし。


でも熱さはまだ続く。


あれ?


周囲の音が小さくなっていく。


ん???


『神楽?』


呼びながら神楽の手を掴もうと手を伸ばしてみると、、、


あ、、、れれれぇぇぇ。


神楽が遠ざかるぅぅぅ。





またどこかにトリップしちゃったよぉ。


手の熱さの後には必ず何かが起きる。


光は?


おぉぉぉぉぉぅぅぅ。


大きくなってるよぉぉぉぉぉ↓↓↓


そしてまたアタシ1人ぃぃぃ。


きっと試されてるんだ、アタシ。


マウンテンに。


不思議とそう感じた。


“ストーンは持つ人によってその力が異なる”


“妃音様ほどストーンに導かれた御方はいない”


そのコトバを思い出す。


もしホントにアタシがソレだけの価値があるとしたら、


このくらいは乗り越えないと。


何よりお兄様の為だし!!


にしても、何処なんだ?一体。


皇邸でもなく、プラチナムマウンテンでもない。


どこだろう。。。


ん?


複数の人の声がする。


何処からだろう。


真っ暗闇に程近い薄暗い空間。


この前のあの地下室の雰囲気に限り無く似ている。


だんだん声が大きくなっている。


近くに感じてきた。


んんんんん???


「琉雅様!」


お兄様を呼ぶ声?


てコトはまさかお兄様を呼んでんのはレジスタニアだったりする?


「お呼びでしょうか?」


息を潜めて出来るだけ姿を隠す。


光でバレないように手は握り締めたままで。


心臓の音が漏れてそうで怖い。


忍び足でバレないように近付く。


「良くぞお越しいただきました。お待ち申し上げておりました」


えっ?


「オレは選ばれし皇子だ。このストーンに」


お兄様?


の声とはとても思えない、狂気に満ちた声。


はぁぁぁっっっ!!!


思い出したっっっ!!!


“あの時”と同じだ!


【妃音にはわからないだろ、オレの気持ち。 そっちにいた十数年のオレの気持ちを】


ヤバいっ!!!


吐き気と涙が同時に。


お兄様が手にしているモノのせい?


ぃやっ、違う。


イマイチお兄様の姿が良く見えないから、多分違う。


この場の雰囲気とお兄様の狂気と悪寒のせいで吐き気が起きてる気がする。


どうしよう、お兄様の姿が気になる。


「琉雅様が我々側について頂ければ我々の勝利も同然。お越しいただき大変喜ばしく存じます」


一体どれだけの人がいるんだろう。


かなり大きい歓声。


いつのお兄様なのかもわからない。


お兄様がレジスタニアに加わる時みたいだけど。


「オレはストーンに導かれて来たまでだ」


う゛っっっ!!!


吐きそう・・・。


でもお兄様が気になる。


はぁぁぁっっっ!!!↑↑↑


今のこの時を食い止めればお兄様を助け出せるってコトかぁっっっ!!!


そっかぁ!!だからココにいるのね、きっと。


ってコトはこの光でレジスタニアを消し飛ばせばイイってコトよね↑↑↑


そう思ったら吐き気どころじゃないワ。


よしっっっ!!


光よ、お兄様を助けて!!!


強く祈る。


ぅわぁぁぁぁぁぁぁ。


どんどん光が大きくなってきた。


「何だ?」


ヤバいっ!気付かれた?


「誰にも邪魔させない。オレが次期後継者だ!!!!!」


えっっっっっ?????





ぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


お兄様と目があった瞬間、


だった・・・。


ものすごい波動にアタシのカラダは吹き飛ばされていたーーー


























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