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潔癖な俺が江戸革命!〜チートは魔力じゃなく、熱力学と微生物学だった〜  作者: 済美 凛


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ガラス工房の囲い込みと、計算外の熱量

精密製造の限界とガラスの必要性


洗濯洗剤の成功により、練太郎と佐和の事業は巨万の富を築き上げていた。しかし、練太郎は製造所の現状に、再び潔癖症的なストレスを抱えていた。

「佐和殿。醤油の火入れ、石鹸の鹸化、どの工程も熱量と濃度のコントロールが鍵だ。だが、この時代の技術では、正確な計測が不可能だ!」

練太郎は、温度計や正確な比重計がないため、職人の勘や経験則に頼らざるを得ない現状、そして手作業による品質のムラに苛立っていた。特に、練太郎が次の目標とする水の浄化システムでは、水質検査のための精密な器具が不可欠だった。

「俺が求める精密な化学を実現するには、ガラスが必要だ。正確な目盛りをつけたビーカー、熱に耐えるフラスコ、そして何より、高精度なレンズで目に見えない微生物を観測する。これらがなければ、次の革命は不可能だ!」

しかし、当時のガラス(硝子)製品は装飾品が主で、練太郎が求めるような科学的な精密さを有するものは、江戸には存在しなかった。


「M&A」硝子工房の囲い込み


練太郎は、佐和に硝子職人の技術を独占する策を提案した。

「佐和殿。技術を銭で買い取るのだ。江戸で最も腕の良い硝子職人の工房を探し、その工房を三川屋の資本で囲い込む。これは、技術の独占であり、未来の清潔と利益を担保する究極の設備投資だ!」

佐和は、これを技術獲得のためのM&Aと理解し、すぐに実行に移した。彼女が選んだのは、高い技術を持ちながらも経営難に陥っていた**「玉屋」という小さな硝子工房だった。主人の藤兵衛とうべえ**は、銭では動かない頑固な老職人だった。

佐和は練太郎を伴い、藤兵衛に会った。練太郎は、自分がデザインした目盛りのついたビーカーと、レンズを組み合わせた簡易顕微鏡の設計図を見せた。

「藤兵衛殿。あなたの技術は、酒器を飾るためではない。世界を変える道具を作るためにある!このビーカーは化学反応の再現性を高め、このレンズは目に見えない疫病の真犯人を暴き出す。あなたのガラスこそが、科学の目となるのだ!」

練太郎の熱量と夢、そしてガラスが人命を救う道具となるという論理的な用途に、藤兵衛は心底打たれ、玉屋を三川屋傘下に入れることを承諾した。練太郎は、最高の硝子職人という「チート」を手に入れた。


全自動化の設計と計算外の熱量


ガラス工房の囲い込みに成功し、練太郎は玉屋に高精度な計測器具や、将来の全自動化に必要な精密なギア部品の製作を依頼した。

その夜、佐和と二人きりで帳簿を閉じるとき、佐和は練太郎に語りかけた。

「神崎様。あなたは、いつも最も合理的で、最も人命を救う道を選ばれます。あなたの潔癖症は、誰よりも強い公衆衛生への情熱なのですね」

佐和の瞳は、練太郎の熱量を映していた。彼女の言葉は、練太郎の胸に、科学では説明できない予測不能な感情を呼び起こした。

(佐和殿だ。彼女の冷静な算術は、俺の情熱を常に確実な現実にする。彼女は、俺の人生の全ての不潔と非効率を、愛と利益に変える…)

練太郎は、佐和の存在が、彼の科学的な論理では説明できない**「計算外の熱量」、すなわち愛であることを自覚した。彼の次の課題は、精密な計測と、この計算外の恋心**だった。

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