暴走七話
北条氏政の関東帰還が思ったより遅れている中、佐竹義重隊も兵糧攻めで小田城を陥落させる。
「またしても小田城は佐竹のものだ」
「ぐぬぬ」
悔しがる小田氏治。
その頃、上杉軍の樋口兼続隊はひっそりと城攻めに失敗し帰還した。
里見義弘も三崎城を攻略し、次なる獲物は玉縄城。
「殺してやる‥‥殺してやるぞ‥御子神‥」
数日たってすっかり御子神が憎くなった義弘は御子神を探し回っていた。
「アイツらついにここまで来やがったかー!」
玉縄城守備隊の芳賀高定、戦意は高かったものの兵糧はほとんど北伐のために使われておりそんなに残っていない。
玉縄城自体は鎌倉の西方丘陵地帯に築かれ、城そのものが天然の要害であり、突破が難しい。
外郭が広いため兵糧の備蓄や兵力の収容能力も十分だが今回ばかりはどうにもならない。
数日後、玉縄城は陥落した。
「くうぅ‥やはり里見義弘はくずだなぁー」
急にキレだした結城晴朝は里見家から離脱し北条家にひっそりと下った。
「申し上げます!結城晴朝が裏切りましたァ!」
しかし義弘はどうてもよかった。
「結城晴朝‥?誰だっけ‥」
戦国の修羅場にあって、名も功も残せぬ者など、忘却の彼方に消えるのみであった。




