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暴走二話

佐野領へ侵攻せんとした里見軍であったが、すでに北条軍が先手を打ち攻め寄せていた。

「遅かったな、サトミィ。それからだ、和睦したからといって他人の領土を武装して歩き回るのは控えてもらおうか」

「ぐぬぬ……」

北条の攻勢は止まらない。結城、宇都宮、那須と次々に戦端を開き、関東一円は乱戦模様となる。やがて北条方より里見軍に奇妙な依頼が届いた。

将兵を貸し出せ、とのことである。

「ふん、あいつら今は調子づいて士気も高い。利用価値はあるな」

こうして里見軍は一時的に北条の雇われ兵となり、戦場を駆けながら金を稼いだ。

時は流れ、1580年正月。

だが里見兵は根が傭兵気質、北条に貸し出されても決して全力ではなかった。そのため北条軍は結城家を完全には屠れず、攻囲は中途半端に終わる。

好機を逃さぬのが里見義弘である。

「今だ」

弱り切った結城領へ兵を進め、祇園城に立て籠もる結城晴朝を包囲した。

「ふむ……ここがネ氏園城か。なかなか良い城だな」

「ははは、殿、祇園にございますぞ」

「紛らわしい名だな」

だが堅城に攻めあぐね、里見軍はただ包囲するばかり。籠城する晴朝はその間に金銀財宝を城外の土中に隠し、徹底抗戦の構えを見せる。

時を同じくして、足利頼純に男子誕生。頼氏と名づけられる。さらに義弘の嫡子・義重が元服し、新たに御子神典膳という若武者も里見軍に加わった。新たな世代の風が吹き始めていた。

祇園城では兵糧が尽きかけ、結城方は絶望に沈む。だが突如として援軍が到来する。佐竹義久、およそ2400。

「なんか来たわ。だがこちらは6000。適当にやっても押し潰せるだろう」

この戦場で、御子神典膳は颯爽と立ち回った。若き剣士の采配と武勇は際立ち、里見軍の未来を示すかのようであった。

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