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エルテ団長はたまに抜けていて、時に大胆で、でも優しくて、たまに鋭い。そんな人だった。
そして何があったかは聞けなかったけど国民のために尽くすという目標をずっと掲げて生きてきた尊敬している人だよ。
魔術師団に入る前は俺は邪魔な存在だったらしく、魔術師団に入るという名目で体良く厄介払いをされたんだ。
団長と僕は同い年で最年少で入って、どんどん出世していくもんだから一部から疎まれていた。
ある討伐の時に本来はB級モンスターは複数人の遠征になるように定められているが、何せ人手不足で僕だけが行くことになった。
本来だったらB級モンスターは僕一人で倒せるはずだったんだが、
そこに実際いたのはA級モンスターだった。
戦ってもあの時の僕には、かないそうにもなくてもうダメかもと思った時に、
「ローズ」
エルテ団長が来てくれた。
僕が苦戦していた魔物を一瞬で倒してしまった。
「大丈夫!?怪我してない?」
そう言って駆け寄ってきてくれた。幸いエルテ団長のおかげで無傷だったが、
エルテ団長から話を聞くと僕を疎んでいた人たちが元団長に偽情報を渡して、
元団長は仕事をあまりしていなかったから、見抜けなかったみたいで僕に討伐を命令したらしい。
なんで団長がわかったのか聞いても
「ただのかんだよ。」
絶対嘘だと思ってジトッとした目を向けたら、あわてて
「いや、、ちょっと今日は頭が痛くてそれどころではなくて……」
いや、すごい勢いで魔物倒していただろ。
っと思ったけれどなんかあったんだろうなと思ってとりあえず黙っておいた。
帰ったらルームメイトがエルテさんが違和感感じて僕を疎んでた人を締め上げていたと聞いた。
その後も何回も命も仕事もエルテ団長に助けられた。
でもエルテ団長はそれを当然のように思っていて、この人こそ団長になればいいのにと思った。
それから数年後元団長の職務怠慢が王宮にバレてエルテ団長が団長になった。
そして僕は副団長になってエルテ団長を助けられることが嬉しかったんだ。
それなのに数ヶ月前僕が離れている間にエルテ団長は禁術によって殺された。
何回も命を救われたのに僕は命を守ることすらできなかった。
後悔している。なんであの時はなれてしまったのだろうと。
あの場にいたからといって禁術を治せる手段はなかったと思うけど、
それでも何かできたんではないかと思う。
そして、調べていたら彼女を殺した犯人は学園内のスパイの可能性が出てきたから
団長の地位は慎んで断った。
そして学園の調査をすることになった。
「って感じだよ僕は。ちょっと長すぎたか?」
話に夢中だったキースは私のポカンとした表情に気づいて言ったみたいだ。
いや長かったというよりは、情報が多かった。
私禁術で殺されたの?今調べてるスパイってもしかしたら私を殺した相手かもしれないの?
というかキースまで私の株上げすぎじゃない?
そしてキースは小さな声で
「無理だとわかっていてもまた団長に会いたいな。」
ギリギリ聞き取れた私は、
私であることはまだ話せないこと申し訳なく感じた。
「ありがとう。話に付き合ってもらって。今日は先日の件の話だったな。
僕と一緒に話のすり合わせをするか。」