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6時間目もA、Bクラスで授業だ。
今日はAクラスの先生の授業だからわくわくする。
初日からAクラスの先生は見ていないのでどんな人か興味がある。
「では、授業を始めます。Bクラスの人は初めまして。Aクラス担任のキリスと申します。」
誰だろ……ってキース!
前世団長だったときにたいへーんお世話になった魔術師団の副団長だ。
キースも潜入していたのか。大変心強い。
「今日は相棒になって貰う精霊を呼び出します。呼ばれたら順番に陣の中に入り強く念じてください。
そしたら精霊も呼びかけに答えます。」
みんなどんどん出しいっているな。
イーズはひよこの精霊、リーズはオオカミの精霊、ユネル様はたかの精霊、ユミルはウサギの精霊
ユミンはハムスターの精霊を呼び出していた。
私も前世でしたことがあるけどそのときは、妖精が出たな。
多分契約者が死んで妖精の世界に帰ったのだと思うけど元気にしてるかな。プルー。
プルーは妖精の名前だ。
「次ロザリー・レディアナ前へ。」
「はい。」
魔法陣の真ん中にたって、心で念じる。
「はあーい!エルテの念を感じてやってきましたー!プルーです!」
プルー!
「こんにちは!プルー。今日は来てくれてありがとう。」
「エルテのためならどこへだって参上するよー!それにしても転生したんだ!」
「ええ。詳しく話すのは後でもいい?」
「もちろん!私はまたエルテに会えてうれしいよー!」
「私も。」
とっても可愛い女の子の妖精だ。
ついでに契約者としか基本精霊は話せないので今の内容は私の声しか聞こえていない。
「君。その妖精は…。」
目を見開いている。キースはこの妖精は見たことがあるが、私以外になつくことがなかったのでとても驚いているのだろう。
それに加え妖精は基本精霊召喚では出てこない。出てくる確率は0.1%ともいわれている。
「妖精だってスゲー!」
「綺麗ね。」
「僕初めてみたよ。」
などクラスがざわざわしていた。
「ありがとうございました。」
「ああ…。次。」
なんだかキースがとてもうろたえていたけど、そりゃそうか。
戻るとユミルとユミンが出迎えてくれた。
「妖精ってすごい!とっても綺麗だね。」
「ほんとに綺麗。」
「そうだね。羽とかキラキラしてるし、プルーは可愛いからね。」
「そうでしょー!ありがと。エルテ。大好きー!」
本当にとっても可愛い妖精だ。
そのときドンッと大きな音がしたと思ったら、魔人が現れた。
「ラビリンス」
そこから浮遊感がおき、私は意識を手放した。
「……て!…ルテ!エルテ!」
「プルー無事!?ここは何処?」
「無事だよー。ここは多分さっきの魔人の迷宮の中だね。」
そっか。でも結界が張ってある学校に魔物が入るならまだしも魔人が入るとなったら、
大きな穴が必要だ。
だが、ローズを使ってちょっと結界を見せて貰ったときは、結界は新品も同然の姿だった。
老朽化して大きな穴が開いたというのは無理がある。
イケメンめがね上司のいっていた学校にスパイがいるかもしれないという話は、
あたっているのだろう。
それにしてもラビリンスはやっかいだ。
大体の魔物が使うのは10階層が多い。それぞれの階に魔物が出現し、
最後の階に魔法をかけた魔物がいるという物だが、魔人は魔物よりも強い。
なので、それぞれの階にいる魔物のレベルも格段に上がっている可能性が高い。
対処法は、魔法をかけた魔人を倒すほかない。
だがやっかいなのは魔力の多い魔法を使うと、その魔力を迷宮が吸い、
また魔物が強くなるということだ。
たぶん他の生徒も入れられているだろうから、はやく倒さないと死者がでる。
「プルー!早く脱出するために力を貸してくれる?」
「もちろん!」