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ある日、世界に出現したダンジョンは、開門前にバカスカ敵を倒した僕のせいで難易度が激高したらしい。  作者: シュガースプーン。
2章

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第54話 避難

 ランキングが発表された後、未来の家族は欅神楽の屋敷に避難させてもらった。


 未来の両親は妃子の両親に挨拶に行っている。


「なあ、アレマジなのかよ」


「うん、まあね」


 海智の質問に、未来は苦笑いで返した。

 両親には話していたが、海智にはダンジョンの話をしていなかったのでランキングを見て驚いた事であろう。


「マジかよ! 未来の彼女があのハーフ美人だなんて! しかも、夏に旅行? 羨ましすぎるだろ! へ、へん!俺の彼女の方が胸は大きいからな!」


「え? それ、違うから。妃子先輩は彼女じゃないから、僕が彼女なんて言ったら失礼だから。友達だよ」


 海智は信じられないと言った様子で話した後、最後に見栄を張った。

 未来は海智の質問の意図が違った事を理解して慌てて否定する。


「そう、まだ友達よ。美人だなんてありがとね。胸の話は聞かなかった事にしてあげるからこれから言っちゃダメよ?」


 未来達が荷物を片付けている部屋に、妃子がやって来た。

 何処からか話を聞いていたようで、海智に笑顔で話しかける。

 それの笑顔を見て、海智は勢いよく頷いた。


 未来には見えない角度つであったが、とてもいい笑顔だったのであろう。


「私の名前は妃子。よろしくね、弟くん」


「は、はい……」


「それじゃ私も手伝うわね。未来、それお母様達の荷物?」


 妃子は自己紹介を終えた後に荷物の整理を手伝う為に未来が片付けていた未来の両親の荷物の方へ向かった。


 それを見送った後に、海智は小声で「妃子さんの方が《《まだ》》って言ってんじゃん。気づけよ、未来」と呟いたが2人には聞こえなかったようだ。


「お嬢、ボウズ、とその弟! なんか手伝う事あるか?」


 片付けも終わりかけた頃、そう尋ねて来たのはいつものチンピラ風の服にエプロン姿というアンバランスな格好のチンピラAこと濱谷であった。


「もう終わるから大丈夫よ。濱、その格好は仕事が終わったらすぐ来てくれたんでしょ? 着替えてきなさい」


「着替えるってもエプロン脱ぐくらいスからね! ボウズとその弟は終わったら食堂案内してやんよ。では、エプロン脱いで来ますね、お嬢!」


 そう言って濱谷は走って行った。未来達が借りているのは使用人寮なので自分の部屋へ向かったのであろう。


「今日は私が案内するから濱は大丈夫って、もう行っちゃったわね。ごめんね、濱はそそっかしくて。 悠里と虹花も荷物の整理が終わると思うから未来も一緒にご飯に行きましょう。もちろん弟くんもね」


 悠里と虹花も別の部屋に泊まることになっている。旅行へ行くまでの前夜祭みたいなものなので妃子もその間はこちらに泊まるみたいである。

 虹花は部活が終わってから来たので泊まる間の荷物の整理をしているらしく、そちらは悠里が手伝っているそうだ。


 本当は、向こうの荷物の整理が終わりそうだったので、未来をご飯の為に呼びに来たのだが、こちらの荷物の整理がまだ終わってなかったので役得とばかりに手伝ったのである。


 未来の両親や海智はしばらく住む事になるが、未来や悠里、虹花はすぐ旅行なので出す荷物は少ない。


 両親達が挨拶に行ったきり話が盛り上がっているのか帰ってこない為片付けが残っていたのであった。


 片付けも終わり、妃子は合流の為に未来と海智を連れて自分達の泊まる部屋の方へ向かう。


「ちょっと待っててね」


 妃子は、部屋の前で未来と海智を待たせて部屋の中に入って行った。


 流石に、女子の部屋に男子が入いるのはマナー違反だというのは分かるので、未来と海智が外で待っていると、中から妃子と一緒に悠里と虹花が出て来た。


「やっほー、未来んも大変だねぇ。このタイミングでランキング発表とは」


「お待たせ。未来くん」


「それじゃ、食堂へ行きましょう!」


 部屋から出てきた3人を見て海智が隣に立つ未来の脇を肘で小突いた。


「なあ、未来、ハーレムだよ」


「そんなんじゃないよ、友達だから」


 未来の返事に海智は胡散臭そうな顔で未来の顔を見る。

 ブロンドハーフ美人と、真面目清楚系少女、活発巨乳少女。

 この面子が好意もなしに一緒に旅行に行くだろうか?

 行くかもしれないがその可能性の方が少ないだろう。


 海智は、何にしても、兄は大物なのかもしれないと思いながら、4人について食堂へ向かうのであった。

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