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ある日、世界に出現したダンジョンは、開門前にバカスカ敵を倒した僕のせいで難易度が激高したらしい。  作者: シュガースプーン。
一章

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第32話 呼び出し2

 休み明けの学校。ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休みであれば何処へ行ってきたなどの話題で盛り上がっている生徒もいるだろうが、生憎今回は自宅待機で休みの間の話題は少ない。


 唯一と言っていいのがダンジョンやステータスの話で、未来のクラスも例に漏れずその話題で盛り上がっていた。


「高宮さんや日和はどうだった? 当選した?」


 未来と悠里が教室に入るとあまり話した事のない男子生徒がそう声をかけてきた。


「私は当たらなかったよ。日和君もだよね?」


 悠里が質問に返事をした後に未来に確認をした。

 メッセージアプリで話していたから悠里は知っているが、話の流れで未来に振ってくれたのだろう。


「うん。僕も当たらなかったよ」


「そうか。うちのクラスは当選率が低いな。当たったのって井尻だけだろ?」


 未来の返事を聞いて同級生は残念そうに言った。


「あいつスキル使って岩を殴って砕いてたんだぜ!」


「やっぱりダンジョンの生還者はスキル当選者だって話だしスキルって凄いんだな。てか、お前ら自宅待機の時抜け出してたのかよ!」


「バレなきゃ大丈夫なんだって」


 まだ井尻は登校して来ていないようで教室にいないが、井尻の友人が何故か自慢げに井尻のスキルの話をして大きな声で笑っている。


 井尻の名前が出た時に悠里の体がビクリと震えた。


「大丈夫。僕が守るから」


「うん。ありがとう」


 それに気づいた未来が声をかけると悠里はぎこちなく笑って返事をした。

 井尻がスキルを手に入れたという事で不安なのだろう。


 未来は自分のスキルの話をして安心させる事も考えたが、大勢がいる教室での発言は避けた方がいいと考えて口を噤んだ。


「2人ともおはよう! あー、悠里元気ないぞー? 未来君に何かされちゃった?」


 少し沈んだ空気を消し去る様に、虹花がやって来て挨拶をすると悠里のほっぺたを摘んで無理矢理口角を上げた。


「ふうふん、らにもらいよ」


「そうよね。未来君だもんね」


 未来はどう反応したものか苦笑いを浮かべたが正直虹花がきた事で空気が明るくなった事に心の中で感謝をした。


 その後、未来はそのまま席に座り、悠里と虹花はお手洗いへ行った。


 未来は特にする事もないので机に肘を付いて窓から外を見ていると、教室が先程よりも騒がしくなった。


 その様子に未来も教室に視線を戻すと、騒がしくなったのは先程話題に上がっていた井尻が登校して来たからであった。


 井尻はクラスメイトの質問に休みの間に試した自分のスキルの効果を説明しながら自慢げに話している。


 ひとしきり井尻の自慢話が終わった後、井尻の友人が井尻に耳打ちした。


 それを聞いて井尻は顔を顰めた後、未来のほうへやって来る。


「今日も悠里につきまとって登校して来たんだって? もう一回シメないと分かんないみたいだから昼休みに校舎裏に来いよ?」


 井尻の後ろについて来た井尻の友人も椅子に座る未来を面白そうにニタニタと見下ろしている。


 教室内は井尻から聞いたスキルの話で盛り上がっているが、井尻がヒートアップしようものなら注目を浴びるだろう。


 そうなったら大事になり悠里にも被害が及ぶかも知れないと考えた未来は短く「分かった」と返事を返した。


 すぐではなく昼休みなのは長い休み時間だからであろう。

 スキルが手に入って気が大きくなっているのだろうが、未来は強さを感じていなかった。


 未来の返事に満足したのか井尻達は自分達の席へ帰っていくのであった。

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