陽大とリリアとヌイザガ
陽大はスパナを振り回しながら盗賊たちに突進した。
「返せ!それは俺の仲間なんだ、ちーこを
返せ !」
「なんだよその武器!鍋でも修理する気かよ!」盗賊の一人が笑いながらかわそうと
した瞬間、陽大のスパナが男の腕を直撃し
た。
「いってぇ!冗談だっての !」
リリアは冷静に杖を構え、風の魔法を放
つ。突風が砂埃を巻き上げ、盗賊たちの視
界を奪った。
「今のうちよ !」リリアが叫び、陽大はそ
の隙にさらに前へ進む。
「おいおい、この魔法使い厄介だぞ!」盗
賊の一人が声を上げたが、陽大は聞く耳を
持たず、黒いマントの男に詰め寄った。
「だから、返せって言ってんだろ!」陽大
はスパナを振り上げ、マントの男の腕を狙
った。
「甘いんだよ!」男は素早くちーこを背後
に隠しながら回避する。
「ならこれでどうだ!」陽大はスパナを投
げつけた。スパナが宙を舞い、男の腕に軽
く命中する。
「くそっ!」男がバランスを崩した隙を見
て、陽大は一気に距離を詰めた。
「ちーこ、取った !」陽大は男の腕からち
ーこを奪い返し、しっかりと抱きしめた。
「はるとさん。....ありがとうございま
す。...。」ちーこが弱々しい声で応える。
「ちくしょう、やりやがったな !」マント
の男が怒りに震えながら叫ぶ。「囲め!そ
いつらを逃がすな!」
「ちくしょう、やりやがったな!」マント
の男が怒りに震えながら叫ぶ。「囲め!そ
いつらを逃がすな !」
「リリア、頼む!」陽大が振り返ると、
リリアがすかさず魔法を放った。
「風よ、彼らを吹き飛ばしなさい !」
突風がさらに強く吹き荒れ、盗賊たちが
次々と転倒する。その隙に陽大とリリアは
路地を駆け抜けた。
「危なかったな。...。」陽大は息を切らしな
がら、ちーこを抱え直した。
「でも、まだ終わってないわ。」リリアが
険しい表情を浮かべて辺りを警戒する。
その時、路地の奥から重い足音が響いた。
陽大たちはその音の方向を振り返る。
..なんだ、この音?」陽大が区くと、暗
がりの中から巨漢が姿を現した。全身に刺
青を施し、片手には巨大な斧を持ってい
る
「よぉ、やっと面白そうな獲物に出会えた
ぜ。」男は嘲笑を浮かべながら、ゆっくり
と近づいてきた。「その機械、俺がいただく」
「誰だよ。!」陽大はちーこを抱きしめな
がら後ずさりする。
倒れた盗賊の一人が震える声で言った。
「ヌ、ヌイザガ! なんで!?」
ヌイザガはその声を聞き流し、陽大を見下
ろした。「そいつを抱えてるってことは
お前が持ち主か?」
「そうだよ!だから返せとか言わせねぇ
ぞ!」陽大はスパナを構え、歯を食いしば
った。
「お前の覚悟はどうでもいいんだよ。問題
は、弱え奴が俺に勝てるかってことだ。」
ヌイザガは斧を肩に担ぎ、にやりと笑っ
た。「そいつ、俺がぶっ壊してやるよ。」