【11】試験会場
ラズが受ける魔女見習いの試験は毎年二回夏と冬に行われていて試験会場は各都市にある。
「えっと、私の試験会場は一番近くにあるセレーネ都市か」
セレーネ都市は、大きくは無いもののそこそこの人口で有名な魔法学校もある由緒正しき魔法の都市だ。昔一度だけフロムに連れられてきたことがある。ラズは昔のことを考えていた時に後ろから声を掛けられた。
「ねぇ!ひょっとしてあなたも魔女見習いの試験を受けるの?私も受けるんだ!あなた名前は?」
ラズは急に話しかけられて硬直していた。それもそうだ。後ろから急に話しかけられたら誰でも驚く。
(なんだ、この子……)
ラズは驚きながらも自己紹介を始めた。
こういうのは第一印象が大切だ。幼い頃からずっとウィリアム様も言っていた。
「いいかい、ラズ。初対面の人には必ず自己紹介をしなさい。」
「どうして?」
「初めて会う人は僕たちのことを何も知らないだろう?無論僕たちも相手のことを知らない。こういうのはね、
第一印象が大切なんだよ。」
「どうして、大切なの…?」
「それはね、敵か味方か判断するためだよ。でもねこれだけじゃない。もう一つの理由はね、」
(友達になるためだっけなぁ。私にもお友達ができるかも知れない!)
「初めまして。私の名前は、ラズ。よろしくね!あなたのお名前は?」
「ラズ、素敵な名前だね。私はベルって言うの。よろしくね!」
「ベルも魔女見習いの試験を受けるんだよね?」
「そうだよ〜。ラズもでしょう?お互い頑張ろうね。」
二人は雑談をしながらセレーネ都市の門までやってきた。ここにくるまでに二人はだいぶ仲良くなっていた。ベルには三人の兄がいるらしい。しかも全員王宮勤めの優秀な魔法使いだ。ベルはそんな兄たちに憧れて魔女になると決めたらしい。
「嬢ちゃんたちここには何をしにきたんだ?」
門番が話しかけてきた。
「私は今日の魔女見習いの試験を受けにきました。」
「彼女と同様魔女見習いの試験を受けにきました。」
「そうか。試験頑張れよ!」
二人は顔を見合わせた。
「「はい!」」
都市に入り試験会場に向かう。試験会場は、都市の中心に位置する魔法学校で行われている。
「緊張してきたねぇ。ドキドキしてるよ」
「大丈夫だよ。ベルも私も受かるよ。だってこの日のために頑張ってきたからね!」
「そうだね、まずは第一試験の筆記だね。」
二人は緊張しながらも、試験会場に足を踏み入れた。
お久しぶりです。最近ドタバタしていて、(泣)落ち着いてきたのでこれから頑張っていきます!