【01】忌み子の誕生
ねぇ、【忌み子】って知ってる?
望まれずに産まれた子、不吉や忌まわしい子のことを言うんだって。産まれてきてしまった忌み子は、愛情ももらえず殺されてしまうの。
ここは魔法が使える人たちが住む小さな村。
この村では【性別が“同じ”双子は後に生まれた方を忌み子とする。】というしきたりがある。忌み子が産まれたら村の奥にある“レッドマジックリリー”が広がっている崖から赤子を落とさなければならない。
夏が終わり、秋がもうすぐというところに村の大きな屋敷から産声が聞こえてきた。
歓声や安心している声が聞こえる中、お産を手伝ってた産婆が鋭い声で言った。
「双子や、女の子の双子や、、、」
その一言で村の人たちは一瞬で目が殺気を浴びていたー
この物語は忌み子として産まれた少女が神様に愛され、神からのご加護をもらい旅をしながら多くの人に愛され幸せになる物語。
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見ていただいてありがとうございます。
初めての作品なので誤字脱字や分からない表現などがあると思います、、。その場合は教えていただけると嬉しいです。
ある小さな村。
この村は昔から双子の同性が産まれたら後に生まれた方が忌み子とする。というしきたりがある。
季節が変わろうとする時期。
小さな村の大きなお屋敷で産声が聞こえてきた。新しく生命が誕生した。産声をあげている赤子の夫婦はとても嬉しそうに笑っていた。妻の名前はアナスタシア・クローネ。夫の名前はシュラフ・クローネである。
「名前は何にしようか」
「あら、決めていたでしょう?女の子なら笑顔を絶やさず可憐に優しい心を持つように。セレナよ。」
「あぁ、そうだ。そうだったね。」
シュラフは嬉しそうに泣きそうになりながら待望の長女を抱いていた。アナスタシアもとても嬉しそうにしていた。だがその場の空気を壊すようにお産を手伝っていた産婆が鋭い声で言った。言ってしまったのだ。
「双子や、、!女の双子や!!!!」
その声を聞き今まさしくお祝いをしようとしてた村のものや村長大勢の人が押しかけてきた。
「なに!?双子だと!!!!」
「しかも双子の女の子、、!?」
「そんな、、、」「忌み子や、、、」
「忌み子が産まれてしもうた!!!!!!!!」
夫婦は驚いた。大勢の人が押しかけてきたこともそうだが何より自分の子供が忌み子だと言うことに。
夫婦は自分達が“愛している”子供の他にもう1人の女の子供がいると言うことに悪寒が走った。
「あぁ、あなた忌み子よ、、忌み子を産んでしまったわ、、、」
「分かっている。愛されない忌み子だ。神にお返ししよう。落ち着いたら村の奥にある崖に皆で行こう。」
「えぇ、、、」
夫婦は迷いなく後に生まれた子供を自分の子供ではないと思い愛情もあげずに崖から落とすことを決めた。
「あぁ、なんて愚かななんだろうか、同性の双子が産まれただけで殺気を放ち迷いもなく崖に落とすという考えを持つとは、、、」
『愛してあげよう』
誰かがそう言った。忌み子が産まれいつ崖に落とそうかと話し合いをしている愚かな大人達を見ながら呟いていた。
その姿を見ていたのはたった二人だけ。
愛されて育っていく子供と愛されずに殺されてしまう子供だった。
愚かな大人たちがいつ忌み子を崖から落とすか話していたその時ー
「オギャー、オギャー」
と泣き声が聞こえた。
「泣いている…。」
「セレナはここで寝ているぞ…。」
「……ということは泣いているのは忌み子か?」
泣いていたのは忌み子だった。
普通は泣いている赤子がいたら大人はすぐに駆けつけてあやすのだろう。
ただこの子は忌み子。望まれずに生まれてきた忌み子が泣いている。
大人たちは慌てていた。
「大変…」「どうしましょう……」「嫌だ…」
などとざわざわと話している。
誰かが言った。
「村が滅んでしまったら………」
その一言でざわざわしていた部屋が静まり返った。
ただ聞こえているのは泣き止まない赤子の声だけ。
「今だ…。今すぐに忌み子を神さまにお返ししよう。」
この一言を放ったのは忌み子の父だった。
この言葉に大人は皆賛同していた。
父だけではなく、村の大人たちも忌み子を恐れているからだ。
ただ1人を除いてはーーー
そこからはトントン拍子だった。忌み子は今すぐに神様に返されるものとし、神聖だと言われている白いおくるみを着せられた。額には"赤い"液体で「×」と書かれた。
この赤い液体は、村の奥にある"レッドマジックリリー"と言われる花と忌み子の片割れ"愛される"方の子供の血を混ぜた物である。なぜ、片割れの血を混ぜるのか。それは忌み子の片割れは村に幸せを呼び込むとされているからだ。片割れの血を混ぜることにより、忌み子が村に災いを呼ばないようにするためとされている。
「準備は終わったか?」
「全て終わっております。忌み子におくるみを着させ額にはセレナ様の血も混ぜてある神液で額に"目印"も描いてあります。」
「準備は整った。では忌み子を神にお返ししてくる。」
忌み子の父と村長は屋敷を出た。
忌み子を殺すために村の奥にある赤い花が咲き誇っている美しい場所に向かっていった。
屋敷に残された大人たちは安心の声をあげていた。
ただ1人の青年だけは忌み子が産まれ家を出るまで一言も声を発さなかった。
(そんなことをしたって決めるのは全て、神なのに…)
少年が心の中で呟いていたことは誰も知らないだろう。