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たかし、赤ちゃんになる2

目が覚めると、先ほどの慌ただしい雰囲気ではなく、静寂な空気が流れていた。窓からの日差しが暖かく、半開きの窓から心地いいそよ風が顔に触れる。

「オギャー!オギャー!」(アズラ様ー?聞こえますかー?返事してくださーい!)

部屋には再び静寂な空気が流れる。

返答は返ってこない。

(もう話せないのかな…今は彼女だけが頼りなのに…)

仕方がないので母親を呼ぶ前に、物思いにふける事にする。慌ただしい事ばかりだったからな。

(そういえばあの胸の苦しみは何だったのだろう?突然きたものだからビックリした。本当に死んでしまうかと思う程痛かった。意識を失わないように必死で堪えたんだ。予言ってこの事だったのかな。また発作が来るのかな。寝てたらポックリ逝ってました、てなったら嫌だなぁ…)

アズラは生まれて直ぐに死んでしまう。と言っていた。でもその先は何も言っていない。

好意的な解釈をすれば、これから病気や事故で死ぬ心配は無い。という事にしておこう。


僕は子どもの頃から人を疑う事をしなかった。この性格で小学校のクラスメイトにからかわれる事もあったけれども、悪い事ばかりではない。人間関係に恵まれていた為か、僕を慕ってくれる人もいた。相手を信じ誠実であれば、人付き合いは上手く行く。誰に教わった訳でもない…と思う。これは大人になっても代わる事は無かった。もし僕のクラスや会社で派閥が出来るものなら、僕は絶対に中立の立場になる。

でも、アズラの言葉に最初は疑ってしまったけど…、その後は疑いも少しずつ無くなった。

話しを聞いていたら好奇心がどんどんと沸き上がっていた。恥ずかしい事だけれども、自分の欲望に負けてしまったのだ。

(たまには欲を優先するのも良いかもな)

そこは反省すべきなのかもしれないが、これからも好奇心を押さえるのが難しくなる時が来るだろう。

(それから魔法か…この世界の魔法って何だろう。RPGにある敵を燃やしたり、あるいは凍らせたりみたいな感じかな)

実はアズラに少しだけ魔法のレクチャーを受けていた。

人の体内には魔力が循環しており、体内の魔力を外に放出する事で超能力を放てるのだ。

と言われた。それだけしか言わなかった。後は向こうに行ってから学んでくれと言われた。

そもそもアズラは僕が知りたい事はスルーして、自分の要件ばかりペラペラ喋る。

(本当に信じて良かったのかな…)

今さら悔やんでも仕方がない。その魔法とやらはどうやって放てば良いのかな?

いや放つ何て、危ない事はダメダメ。他に方法は…あ、宙に浮く事は出来るかな。

(うーん…)僕は浮くイメージを必死に考える。

(おっ?おお―!)腰が浮き上がる感覚がする。

イメージだ!頭の中で完璧にイメージするんだ。すればその思いは現実になる。

(これが魔法かぁ…もっと試してみたい!…あれ?)

腰だけが重力に逆らって宙に上がっていく。しかし、身体を支える力が弱くて逆くの字に曲がってしまった。

(頭が重くて持ち上がらないぞ!ヤバい!)

咄嗟に魔法を解除してしまった為、僕はそのまま落ちて腰を打ってしまった。

背中の辺りにジーンとした痛みが流れたが、痛みは徐々に引いてきた。

幸い軽症ですんだようだ。でも念のために腰の痛みは治すことにした。

腰の辺りに振れている右手を白く発光させると

痛みは一瞬で消えてしまった。

(難しく考えるな。きっと治っているだろう)

魔法の事は少しだけ分かった。今度その道に詳しい人にでも聞いてみよう。

もう少し探求すべきかもしれないが、それよりも空腹で仕方がない。

(考えるのはやめだ、飯にしよう!)

1人ではどうする事も出来ないので、誰か呼ばなければいけない。

(どう呼べば良いかな、いや何でもいいや)

「オギャー!」(お母さーん!)

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