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記憶が無い?何を言っているんだこいつは。ついに記憶があーだこーだ言い始めたぞ。
「お兄様、私の事、覚えていませんか?」
「覚えているも何も、俺達会うのは初めてだよね?」
「お兄様、やっぱりそうなんですね……」
そんなに悲しい顔されても、困るのだが。
「記憶が無いって言うんだろう?もういくら言っても無駄だぞ、お前にお兄様と言われる筋合いはない!俺には妹は一人しかいないからな、お前みたいなやつは知らん」
そうだ、俺には花という正真正銘の妹がいる。こんな訳の分からない子供の相手なんてする必要は無い。
「ライサム、ですよね?あなたの名前は」
俺は目を見開いた。
俺、こいつに自分の名前名乗ってないよな?なぜ分かったんだ……
「年齢は17歳で、好きな食べ物はチョコ、嫌いな食べ物は辛いもの、当たっています?」
…………当たっている。こいつが言った通り俺の好きなものはチョコ嫌いなものは辛いものだ。
まさか、本当に俺は記憶が……いやありえない。俺が生まれたのは元の世界だ。それは自信を持って言える。だとすると、こいつは魔法か何かを使って俺の事について知ったんだそれしか考えられない。
だが、絶対にこの子の兄ではないと言える証拠たるものを、俺は持っていない。
ここからが長かった。
証拠はないと言えどもそんなあっさり妹だと認められる訳もなく、俺達は長い間言い争いをした。
俺は兄では無いと言うと、少女は俺と一緒に暮らしていなければ知るはずもない事を言ってくる。
正直言って、怖かった。この子に逆らったら、この世界で生きていけないと思った。だから俺が“折れた“。
10分に及ぶ言い争いの末、結局俺はこの子を妹と言うことにした。
「分かった、もう俺の妹って事でいいよ……ラヴィーナ」
ラヴィーナとは言い争いの間に教えてもらったこの子の名前である。
「ことではなくそうなんですけど、まぁいいです」
ラヴィーナはそう言うと身を翻した。
「では、帰りましょう。村の人達も喜びますよ」
■
先程の話し合いの時、ラヴィーナ自身のことについても知った。
ラヴィーナは孤児で、両親は1年半前に起こった大戦で亡くなったらしい。ラヴィーナの両親、つまり俺の両親でもある訳なのだが、どうやらもうこの世にはいないらしい。泣いた方がいいのだろうか。
今ラヴィーナが住んでいるのはリコン村という名前で、村人30人の小さな村らしい。そして今から俺達はそこに向かっている。
今は元の世界で言うと馬車で移動している。
この馬車は、元の世界で言うタクシー的なものなのだろうか。さっきラヴィーナは道を通った馬車に対し、カッコつけた感じにグッドサインを出していた。
まだ聞きたいことが山ほどあるが、どこから聞くべきか。
俺は正面に座っている妹(本気でそう思ってないがそう呼ぶことにする)を見ながら頭を整理する。