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ただでさえ俺は一般人にも変な目で見られるのに、どうやってこの門をくぐるんだ。
俺は考える。考えた作戦は二つ。
一つ目、堂々と通る。二つ目、今から服を入手する。だ。
だが二つ目を実行するには俺は犯罪を犯さなければならない。
なぜなら俺は自信を持って言える程の一文無しだからな。服を買うことは無理だ。まぁそもそも金があっても多分買えないだろうけど。
ならばやるのは一つ目、堂々と通るだ。
悩んでいても進まないし、やるしかないか、意外とバレない可能もあるからな。
俺は意を決して裏路地から出て、東門へと向かって歩き始めた。
チラチラ周りの人たちの様子を確認すると、やはり俺は注目されている気がする。だがさすがにそろそろムカついてきたぞ、そんな何度も何度も意味も分からず見てこられるのはこっちも気分が悪くなる。
ヒキコモリの俺にはキツイぞ。
さぁそんなことを言っている間に見張りの兵士が立っているすぐ近くまで来た。
ゴクリ。
こんなに緊張するのはいつぶりだろうか。多分俺が不登校になる前、いや、去年俺が出場した世界大会ぶりか。
俺、ちゃんと歩けているだろうか、ロボットみたいになっていだろうか……今まさに俺は見張りの横を通っている。
できるだけ見張りのことは気にしないようにしよう、そう、気にしなければどうということもないのだ。
ほら、見てみろ!もう見張りの前は通り過ぎた、勝った、計画通り。
「おい、ちょっとそこの変な奴、止まれ」
え。
俺の後ろから、あまり歳をとって無さそうな見張りの声が聞こえた。
変な奴って……俺の事じゃないよな?
「おい!そこの黒いの!お前だよお前!」
黒いの、俺の着ている体育着は黒い、あぁ俺の事かよ。そりぁそうだよな、そんなに上手くいく訳ないよな……
「はい」
俺はまたできるだけ平然を装って対応する。
見張りの兵士は大きな槍を持ち、頑丈そうな防具を装備している。顔は声と同じで、やはりそんなに歳はいってなさそうだ。
「見ない服だが、お前どこの者だ?」
見ない服か、そりゃそうだ、なんせこの服は異世界の服だからな!見た事なんてある訳ないだろう。
んで?どこの者かって?名前の次は出身地も偽造しなければならないのか、あぁ考えている時間は無いぞ、ここで変な間が空いたらめっちゃ怪しまれるだろう。
だから俺は、そのままの出身地を言った。
「えーっと、東の者です……」
日本は世界から見れば東に位置しているからな。
「ほう東者……東者がどうして王都に来たんだ?」
ん?その反応的に東者で通じたっぽいが、なにか別の意味もありそうな気がする。
んで、何しに来たって?そんな質問答えられる訳ないだろう。むしろ俺が知りたいレベルだ、なぜ俺はこの世界に転移させられたんだ。
くっ、また適当な理由考えるか……
「おい東者、なにをしにここへ来たんだ?」
「え、えーっと、て、いうか、それ今聞くことですか?自分今から帰るんですけど……」
何も理由が浮かばなかった俺は、さすがにこれ以上答えないのはマズイと思ったので最終手段、質問返しをした。
これが吉と出るか凶と出るか……凶と出たら終わるけど。
「……それもそうだな、すまなかったな、せいぜい気をつけて帰れよ、東者」
東者か、やはり何かあるのは間違い無さそうだが、まぁいい。
王都から抜け出せた今、もはやどうでもいい!
これで俺も自由の身だぜ!
俺は異世界に転移してから最も気分が良い勢いで走って王都から去った。
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