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人気の無い裏路地を歩いていると、そこには一人の女性が倒れていた。
パッと見た印象は貴族か王家の人間だと思った。さっきの通りを歩いていた人より、明らかにこの女性が着ている服の方が高そうだし、いかにも高い身分の人が着る服装だ。
服装もそうだが、顔も何となくいいとこの娘みたいな顔をしている。顔はどちらかというと優しそうな顔で、勝手なイメージ天然そうに見える。歳も俺とあまり変わらなそうだ。
それに、綺麗な青髪はしっかり手入れされているのか、ロングヘアーだが見ただけでもサラサラと分かる。
そんな人が社会の底辺者達が集まりそうな裏路地で?苦しそうな顔をしながら横たわっている、きっと色々と訳ありなのだろう、ここはそっとさせておいておこう。
そう思って、俺はこの場を立ち去ろうとした。
ザザ。
立ち去ろうと来た道を戻ろうとしたその時、後ろから服が擦れる音が聞こえた。
あ、もしかして、俺の存在に気づいてしまったか……
「うっ、あ、そ、そこの方、お願いがあります」
恐らく今女性は俺の事を見ているのだろうが、振り返らず考える。
起きた瞬間初対面の人に言う第一声が、『お願いがあります』か。俺には次この女性がなんて言うのか、安易に予想が出来た。次この女性が言う言葉は100%『助けてください』だ。
女性は俺が何も言わなかった事もお構い無しに言葉を続けた。
「いきなり、こんなことを言っても困らせるだけだというのは重々承知しているのですが、どうか私を“助けていただけませんか?“」
「ごめんなさい無理です」
「即答!?あぁいいんです!あなたのお気持ちも十分分かりますので……」
女性は最後弱々しい声で、全てを諦めた様に言った。
即答、そりゃそうだ、俺のモットーは『平穏に生きる』だ、わざわざ自分から面倒事に足を突っ込む事なんてする訳ない。
だが、俺も鬼では無い。
俺は女性の元へと向かいながらポケットから例のチョコパイを取り出した。
今になってようやく女性の顔をしっかりと見たが、元の世界ならモデルをしていそうな、そんなを美貌をしていた。
うっ、ここに来てコミュ障が発動しそうだ……だがどうせならここはカッコよく決めたい、そもそもこんなとこでコミュ障なんて言ってたら異世界で生きていける訳ねぇ!
俺は何も言わずに女性にチョコパイを渡した。
「こ、これは?」
そもそもこの世界にはチョコというものが存在しているのだろうか?いやさすがにあるよな?
「ただのチョコですよ、あなたに差し上げます」
本当はチョコ好きだから、渡したくないのだが、生憎持ち物がこれしか無い。
「チョコ……いいんですか?」
よかった、チョコだけで通じた。
「はい、では」
俺はそれだけ言って立ち去ろうとした。なぜなら俺はあくまでもガン無視して立ち去るのは俺自身も嫌な気持ちになると思ったからチョコパイを渡した訳で、命賭けてまで女性を助ける気は無かったからである。
これ以上話して余計な好意を抱かれるのなら、素っ気なく渡すもん(チョコパイ)渡して去るの方がいいだろう。
去っていく俺に、後ろから声が聞こえてくる。
「あの!せめてお名前だけでも!」
なんか定番の質問だな、なんて思いつつ、俺は考えた。
名前……普通に元いた世界の名を名乗るか?いやでもここは異世界だから和名は違和感ありそうだな……うーん、月上武神……か。ここから名前を考えるなら、こうだな。(この間0.2秒)
俺は片手を上げて答えた。
「《ライサム》それが俺の名前です」
そう言い残し、俺は女性の前から姿を消した。決まったぜ。
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