プロローグ
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どうしてこんなことになってしまったのだろうか。いや、その根本的な理由はこんな世界に来てしまったからであろう。
異世界に来てからしばらく、俺はひたすら歩いた。恐らくこの都市の中心部であろう場所から抜け、今は開けた土地に生えている木の下で横になっていた。
ちなみに街並みは、異世界 街並み とでも検索して出てきた画像のような街並みだ。
そうしていると、異世界で初めて会った、初対面の少女にいきなり、『お兄ちゃん』なんて呼ばれた。この状況は、全く理解できない。
「もう!何度言ったら分かるんです!?私、あなたの妹だよ!?」
さっきからずっとこれだ、もう認めるしかないのだろうか?目の前にいる、この少女は俺の妹だと……認められる分けないだろう。
なぜなら俺には本当の妹がいる、なんなら妹とこの世界に来たのだ。だが、その妹の姿は無かった。だから俺は探さなければならない、本物の妹を。それなのに、こんな奴に構っている時間は無い。
異世界に転移する少し前。
「ふっ、北西から攻める戦術は何回も見ている。もう俺にその戦術は通用しないぞ!」
俺の名前は月上 武神、ブシなんてかっこいい単語が名前に入っているが、実際はただのヒキコモリである。
高校には一度だけ行ったきり、近くも通ってもいない。ちなみに不登校になった理由はいじめとかでは無く、現実逃避したくなったのだ、ただ平穏に生きたいがために。
そんな俺がしているのはゲームだけ。
両親は学校に行かなくなってからしばらくは心配などしてくれたが、もはやそれもなく、今は何も言ってこなくなった。
それはそれで、あ、もう俺の事なんてどうでもいいんですね、ってなりちょっとだけ悲しい。
さーてと次の標的は〜。
ゲームを続けていると、突然俺の部屋の扉が勢い良く開いた。
電気を消しカーテンも閉めていたため、薄暗かった部屋に、扉を開けたせいで西陽が差し込んだ。目がー目がー!
扉の前に立っていたのは……
「おい“クソ兄貴“いつまでゲームやってんだー?」
俺の妹、花である。
花とは俺と一歳差で現在高一、まぁしかし、本当に俺の妹は名前が性格と見た目に合わなすぎている。
花という名前に対し、妹の性格は超攻撃的(色んな意味で)で口調も悪い。実際俺のことはクソ兄貴(涙)と呼んでいる。
見た目はそれこそ花のように綺麗だ。顔立ちも整っており、スタイル抜群、真っ赤に燃えているような髪、人を惹きつけるような魅力、また、人を従わせる力も持っている、気がする。
「おい花!クソ兄貴じゃなくて“お兄ちゃん“って呼びなさい!」
「はぁ?シスコンキッショ、てかそんなことよりさ、いい加減部屋出たら?臭いよ?何日連続で部屋から出てないの?」
「そんなことじゃない!そのクソ兄貴っての地味に傷つくんだよ!あと部屋からは出ん!あと風呂にはちゃんと入っている!」
「はぁぁぁ。クソ兄貴って呼ばれたくないなら部屋から出ろよ、そしたら呼び方変えてあげるからよ」
わからん、全くわからん。なぜ部屋から出なければならないんだ?俺は誰にも迷惑なんてかけていないだろう?そう俺はただ平穏に生きたいだけなんだ、社会という名の地獄になんて行きたくない!
「いやだぁぁ!!死にたくなぃぃぃ!」
「こんなのがうちの兄って、私相当ショックだわ」
ズキっ。今の発言はかなり心にきた。
「てかまーたそのゲームやってんだ、よく飽きないねー」
俺の今やっているゲームは俗に言う『戦略シミュレーションゲーム』というやつだ。信長の○望とかほい○ーみたいなやつだ。
俺はこのゲームをそこそこやり込んでいて、総プレイ時間は5000時間を超す。なんなら世界ランカーだったりもする。
「まぁな、このゲームはやればやるほど面白くなる!なんせ戦略とかも時の流れによってどんどん新しいものが考えられていくしアップデートで新しい武器や新要素が追加されるしな。飽きる訳無いだろう!」
あ、いかん、つい語ってしまった。
「ふーん、そんなゲームより、もっと殺し合うゲームの方が絶対面白いと思うけどな、もっとそう言うゲームやれよ!?」
いやいや、このゲームは戦争というこれ以上に無い殺し合いをしてますよ。まぁ妹が言っているのはこんなスケールのデカい話ではなく、一対一とかそういう殺し合いの話だろう。
「いや、俺はそういうゲームは苦手なんだよ」
にしても殺し合いのゲームの方が面白いとは、やはり妹は凶暴だ。
「てか花、そういえば俺になんか用か?」
俺がそう聞くと花は何かを思い出したかのような顔をしたが、
「あれ、私何しに来たんだっけ……クソ兄貴と話したせいで忘れたわ」
どうやら俺との会話で忘れたらしい。
全く、こういううっかりなところは可愛いんだけどな。
なんてことを思いながら、何となく机に置いているデジタル時計を見ると、時刻は17時39分と表示されていた。
その時計を見たその時────────なんの前触れもなく、俺と花の体が発光し始めた。そのままだんだんと消えるように体が光へとなっていく。
はぁ!?
「うぁ!なんだこれ!俺は夢でも見てるのか!?」
「ちょなにこれ!体消えてくんだけど!おいクソ兄貴私の体に何しやがった!」
何もしてぇよ!とツッコミを言いたかったが、既に俺の体の大半は消え、口も消えていた為言えなかった。
理解出来ずにただ困惑していると、花と目が合った。
その目から、何となく、花が何を言おうとしているのか予想が付いた。それは。
『助けて、“お兄ちゃん“』
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