愛する人の生きるとは
お久しぶりです。なんかこんなこと別の小説で毎回言ってる気がします。
連載速度に関しては本当に期待しないでください。
主はどこにもいない。どこを探してもいない。いるわけがない。
「はぁぁぁ…」
ため息をついた。
つらい…悲しい…
「主様はいつもこのような気持ちになっていたのか」
ディランは憂鬱な気持ちになっていた。少しでも気を晴らすため村に行き、買い物をしていた。
「お客さん、元気ないじゃないか。どうかしたのか?」
陽気な店番をやっているおじさんが言った。
「ははは。そうですかね…」
「顔色も悪いじゃないか、ちゃんと食べているのか?」
親のようなことを言ってくる
「山から降りてきたからですかね…」
「山ってあの洋館からかい?あの魔法使いが住んでいる洋館かい!?」
やはり驚かれた
「はい…もう亡くなられましたが」
目を下に向け呟く。
この際誰でもいい。主様の代わりに…主様のような人のもとに行きたい
「そりゃあ良かったな」
ディランは目をぱっと開く
「は?」
「あの悪名高き魔法使いだろ?いやぁ一安心だ」
は?意味がわからない
「これからは自由に生きれるじゃないか!良かったな!」
おじさんはぽんっと背中を叩く
「は、はい…そうですね」
口元から少し血が出てしまい危うく舌を噛んだことがバレるとこだった。
とりあえず帰ろう。帰らなければ…帰らなければ…!
そう思うが足は前に出ない。
上を見ると雪が降ってきた。目が潤んでいる。
目を閉じ、歩き始めた。足は止まらない。止めたら終わりだ。
山へ、かつて主様と住んでいたあの館へ、足は止まらない、絶対に。そして、泣かない。あの方の執事である限り。
山の頂上、館から見下ろすと2つの村が見える。
一つは先程行った村。もう一つは……自分が元々住んでいた村だ。
「拝啓 主様
そちらの世界では今頃どのように過ごされていますか?
僕は冬を越すのに必死になっています。
木は花や葉を土に散りばめ、新たな生命を作ろうとしています。
あの別れからというもの特に変化はありませんでした。貴方様が住んでいた屋敷は常に掃除をし、清潔を保っています。
主様が暮らされていた寝室は今でも変わりはありません。
いつでもどのようなときでもお帰りになさってください。
僕は寂しいです。主様がいなくなってからというもの人と話す機会も減りました。
どうすれば良いでしょうか。おこがましいことは承知の上です。助けてください。
僕に道を教えてください…
敬具」
会えるよ…腕輪のこと…言ったよね…
ディランは振り向いたが誰もいない。だが、わかる。絶対にあの声は主様だ。間違えるはずがない。
ディランは屋敷に戻り身支度をした。
首から下げる革製のバッグ。バッグの中には一週間分の食事、水、主から言われた腕輪、そして、主が常に携帯していた懐中時計。
ディランは旅をする。主と会うために。