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今日も鐘が鳴り響く

新シリーズです。更新頻度には期待しない方がいいと思います。

「大丈夫?」

「……」



ゴロゴロドッカーン!

「!?」

今日は豪雨だ。外に出るのも危ういくらいだ。

パタンと本を閉じた。

「はぁ…」

僕の家は広いので掃除するのも一苦労だ。なんでこんな家に住んでるかって?僕の親が残して死んでいったからだ。元々使用人がいたがみんな辞めてしまった。なのでこの家に管理は全て僕がしている。また雇おうかとも思っているが先に死なれてしまうのが怖くて雇えていない。そして、僕は普通の人よりずーっと長く生きている。だから周りからは魔法使いと言われている。もう300歳近くだ。もっと早く死んでいてもおかしくなかった。僕の親は自分の子供にさえ残虐な人だった。僕は人体実験をされた。そのせいで今でも自由に体が動かせない時もある。

「ん?」

窓の外から物音が聞こえた。ここらへんには滅多に動物すら来ないのに…珍しいと思った。

ガサガサと茂みが揺れる。

「…!」

その正体は1人の少年だった。しかも血まみれだ。僕は居てもたってもいられずに助けに行った。その少年はベットに寝かせ、できる程度の治療をした。それにしても傷が深い。一体何があったのだろうか。

しばらくするとその少年が目を覚ましていた。

「大丈夫?」

「……」

話しかけても返事はない。どうしてだろうと考えているといきなり

「あの…助けてください…」

と少年が言った。

「う、うん?助ける分には別に良いんだけど事情を話してくれないかな?」

「すみません。僕はどこにでもある普通の村に住んでいたのですが、家に帰ると僕以外の家族が全員領主によって殺されていて、僕も領主に狙われているんです…」

随分と苦しかったみたいだ。

「そういうことならいいけど…」

と言って腕輪を渡した。

「その腕輪をはめると人よりも長く生きられたり戦闘能力を大幅にアップしたりするけど、死ぬときはとても苦しくなって死ぬよ。あとはまぁ、執事にでもなってもらおうかな。」

「僕家事出来ませんよ。」

「後で説明するから。それで?どうするの?」

「わかりました。僕の名前はフロックです。貴方様の執事です。」

「よろしく。フロック!と言いたいことだけど名前は変えた方がいいかなぁ」

フロック…フロック‥

「ディラン!今日からディランは僕の執事!よろしく!」

こうして始まった執事との生活だったが結末は必ず訪れる


まずは掃除のやり方、ご飯の作り方、庭の整理の仕方、そして洗濯の方法を教えた。一人でやるには結構な量なのにディランはちょいちょいとこなうのだ。正直驚いている。「疲れない?」と聞くと「はい!」と元気に答えるだけ。

2人で生活し始めて1ヶ月が経った日、僕は昼まで爆睡していた。昨日はそんなに体力を使っていないのに不思議だ。

「主様、起きられましたか?」

「うん」

「先ほどお医者様がいらっしゃいまして主様にこれを…あと」

そういって渡されたのは僕がいつも飲んでいる薬だった。僕を診察してくれている医者は唯一僕の味方の一族だ。僕はここ1ヶ月体が重い。きっとその原因を調べに来たのだろう。

「あと…どうしたの?」

「……いえ、なんでもありません!」

ディランが言葉を訂正するのは珍しい。どうしたのだろうか。

「少しだけ食べる。そんなお腹減ってないんだ。それと、窓を開けてくれないかな?」

「わかりました。」

そう言って窓を開けて昼食を持ってきてくれた。日々上達している。というか、もう完璧。本当においしい。いつもすぐ食べ終わる。

「食べ終わるまでここにいなくても自分でキッチンルームに持っていくのに~。」

「執事の仕事なので。それでは失礼いたします。」

頭を下げてディランは部屋から出て行った。

「ゴホッゴホッ」

最近咳が多い。

バタッ

机に向かおうとしたら倒れてしまった。


不思議な夢を見た。親に殺されたはずの兄と遊んでいる夢だ。何百年も前のことなのに…

「さま…じさま…主様…!」

「ディラン…どうしたの?」

「どうしたのじゃないですよ!主様、部屋で倒れていて1日中目を覚まさないんですから!お医者様を呼ぼうとしても遠出されていたようですし…」

ディランは涙を流していた。

「大丈夫。主の前で泣かない。大丈夫?」

「はい…」

心配してくれていたようだ。

「ディランは信じられる人っている?」

「主様以外は信じられません…」

「ねぇディラン、人生は、自分で作り上げる物語。自分自身が脚本家であり演出家なんだよ。そして、自分が主人公のはずなのにディランは僕が主人公の話を書こうとしてる。」

「だって執事ですから…」

「ーーーだってじゃない!ーーー」

静かな部屋に響いた。

「今度は自分が主人公の物語を書いてみて。自分で作って演出して人に見られて初めてディランという人物が出来上がるんだから。」

ディランは軽く首を傾げて「はい…」と言った。

「もう暗いし寝ようか。おやすみ」

「おやすみなさいませ…」

ディランが部屋から出て行った。外は大雨で目を閉じても音が聞こえた。今日も時計の鐘が鳴り響く。

目が覚めると昼だった。

「…ん?」

「おはようございます。心配でしばらく起床されるのを待っておりました。」

「あ、おはよう。朝食はというか、もう昼だね。昼食はいらないかな。あと、窓を開けて。それとペンと紙を持ってきて。」

「かしこまりました。」

「ねぇ、執事を辞めたくなったら言って。」

「いいえ。やめません。」

と笑顔で返された。

「失礼します。」

昔の感覚を突然思い出してしまった。視力を失って身動きが取れない状態。手も足も固定されて何十年もそのままで…助けてくれた人は僕を化け物呼ばわりして…

「懐かしいな。」

思わず口に出してしまった。

そう思いながら私はスラスラと書いていき、折りたたんで枕の下に隠した。外を見ると日が落ちている。

「主様、夕食はどのくらいお食べになります?」

「んー。あんまり食べない。」

その数分後にディランが食事を持ってきて、いつも通りおいしく食べていつの間にか寝ていた。

次に起きたのは十五時頃でその次に起きると日をまたぎ十八時に起きた。

この日はなぜか体調が良かった。夜なのに外に出たい気分で庭で散歩をしているとディランに

「そろそろお戻りください」

と言われたからおとなしく戻ろうとしたら

バタッ

気づくとベットの上にいて、呼吸が妙にしにくかった。

「主様!主様!」

そう泣きながら声をかけるのはディランだ。

「ディラン…今から言うことを覚えなさい…机の右の引き出しの三段目にディランと同じ腕輪が入っているから…ディランが認めたこの屋敷で働く人に渡して…」

「はい…」

「い…きて…」

「もちろんですよ…主様…死なないでください!主様のことが大好きなんです!愛しているんです!」

ディランは泣きながらそう言った。

「なか…ないで…わらって…」

ディランは言われた通り笑ったが自然と涙が溢れてきた。天へ旅立つときに聞こえた音は泣き声と豪雨の音と0:00を知らせる時計の音だった。その音は屋敷中に響き渡った。ディランは主の枕の下に紙があることに気づいた。その紙に書いてあったことは『明日は新しい一日。今日の悩みは、明日の希望に変わる。』ということだった。徐々にその紙は濡れていった。

「主様…行って…らっしゃいませ…あなたは…人間です…」

ディランは朝まで泣いていた。いつもの仕事に戻ろうとしたが、目が覚めて主の部屋に行っても誰もいない。屋敷には自分ひとり…

「主様がいない世界なんて嫌です……執事失格ですね……」

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