チャプター2「復讐」
死んだ筈のシュメール・スメルは何故かカーマインとカメリアの息子として転生してしまう。
それからの日常を満喫している間に半年が立っていた。
それから半年の時が経ち、冬になり外が寒くなった頃、俺はハイハイして移動すること、話すことが出来るようになった。まぁ、この年で言葉を話している所を見られたら何が起こるかわからないから話すことはないけどな。ちなみに今は、家の中なら色んなところへと行けるようになったので、今は家の探索中だ。
「あっ!危ないよシュウ!」
扉が開いていたのでそこへ入ったのだが、キッチンだったらしく、長い金髪のお姉さんに捕まってしまう。
「駄目だよこんなところに来たら。」
「あうあう。」
このお姉さんはリリアナ・カルメル、カメリアさんと仲のいいお姉さんだ。
(なんかローズさんに雰囲気が似てるんだよね。)
「キッチンが気になったのかしら。目を離したらあぶないし一緒に料理しましょうね。」
そうしてリリアナさんの手からカメリアさんの腕の中へと運ばれ、くるくると布で覆われ、カメリアさんにおんぶされる。
「あうあう…(なんだか落ち着く…)」
「あ、心地よさそう。かわいいなぁ。」
「ふふ、おんぶ好きなのかしら。」
まぁ、そんな感じで平穏な生活を続けている。
次の日ーー
「あうあう。」
「お、なんだ見送りに来てくれたのか?」
玄関で出かける準備をしていたカーマインさんにハイハイで近づいていた。
「ふふ、さっきまで眠っていたのに。お父さんとしばらく会えないから頑張って起きてきたのかしら。ほらおいで。」
カメリアさんに近寄ると持ち上げられる。
「そうなのか?ありがとうな。」
カーマインさんはそう言いながら頭を撫でる。
「あうあう。」
「はは、それじゃあ行ってくるよ。」
俺の姿を見て笑顔になった後、荷物を持ち上げ、そう話す。
「うん、いってらっしゃい。」
「ああうあうあう。(いってらっしゃい)」
そうしてカーマインさんは出かける。
カーマインは遠くで泊まり込みの仕事をしているようで、1週間に1度しか帰ってこない。仕事については話を聞けていないのでなんの仕事をしているのかわからない。一体どんな仕事をしているんだろう…
「…」
ふとカメリアさんの顔を見上げると悲しそうな顔をしていた。
(そうだよな、1週間に2日しか一緒に過ごせないなんて悲しいよね。)
「あうあう…」
「ふふ、心配してくれたの?ありがとう。もう大丈夫だよ。」
声をかけるとカメリアさんは笑顔になる。
「あうあう!」
(よかった、やっぱり笑顔じゃないと。)
そうしてカメリアさんに抱えられリビングへと戻っていく。
2日後ーー
ーークーゼルト王国・王城内ーー
王城内の一室ではカーマインと数名の兵士が地図を囲んで報告を聞いていた。
「以上です!」
「そうか…またもぬけの殻だったか。」
「はい。」
報告を聞いた顎髭の立派な中年のおじさんファルウィン騎士副隊長は頭を抱える。
「これで、12回目…いい加減尻尾を掴みたいところなんだがな…」
長い金色の髪を靡かせる青年フィルムが続けて話す。
「だな…もうあれから4年が立つ…今のところ被害は出ていないが…いつ何が起こるかわからない…危険は早く取り除きたい所だな…なぁ、カーマイン。」
そう言って頬に傷のあるガタイのいい男…俺の親友であるカイング騎士隊長はこちらに話を振る。
「そうだな…」
カイングの言葉に返事し、続けて話す。
「複数の人間がいたことから何かしらの闇ギルドか裏組織…首に描かれた剣と翼が折れた緑の刻印、勇者達を狙ってきた。今はそれしか情報はない。厳しいとは思うが、皆んな協力を頼む。」
そう言って、俺は頭を下げみんなにお願いをする。
「勿論だ。俺たちはお前に助けられた。お前のためだっていうならなんだってするさ。」
「それに、クーゼルトだけじゃない…他の国だって巻き込まれるかもしれないんだ、お願いされなくても協力するよ。」
ファルウィン副隊長、フィルムの言葉を皮切りにみんなが頷き協力すると言って盛り上がる。そこに否定する者はいなかった。
「みんな…ありがとうな。」
みんなの返事を聞き俺は礼を言った後、今後について話を始めていく。
(シューを殺したあいつを絶対に許さない地の果てまで追いかけて殺してやる。)
家族との時間を犠牲にして、あの日から復讐の闘志を燃やすカーマイン。彼の復讐は果たされるのだろうか…
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