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転生師弟の復讐  作者: 桜紅葉
序章
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序章Ⅳ「騎士学校試験」

サタイル草を使い、スフィアの父親の病気は治った。その後、ショバ村で弟子となったスフィアと共に鍛えた。そして、1ヶ月半後スフィアと別れクーゼルト王国への旅が始まった。

「うーん!っとぉ。」

背伸びをして朝日を浴びる。

ショバ村を出てから1週間後、現在俺はソージャの森の中にいる。といっても、もうすぐ森を抜けるんだけどね。

「よし、行こう。」

そうして、休憩を終え再び王国へ向かい始める。ソージャの森に入って気がついたことがある。ショバ村での修行で俺も成長していたようで森の魔物とも普通に戦えるほどの力を得ていた。(あえて魔物の生息地へ入っていた。)

※ソージャの森は舗装されたトンネルやキャンプ地があり、そこを利用すれば安全に行き来、宿泊ができます。

そして、遂にソージャの森を抜け視界には、広大なクーゼルト平原が広がっており、その真ん中には王都であるクーゼルトがそびえ立っていた。


ーークーゼルト王国:城下町ーー

「すっげぇ…これが王国かぁ…」

「こんなに人が多いの初めてだなぁ…」

人が多くごった返している街を眺めてワクワクしていると、

「なにやってんですか…」

「は!?」

と脳裏に弟子の冷めた顔が浮かび上がる。

「いかんいかん、こんなことではしゃいでたら師匠としての威厳がなくなっちまう、さっさと行こう。確かここが南地区だから西地区はこっちかな…」

そうして西地区にある王国騎士第2学園を目指して歩く。

「あ、ここ市場なのかな。また今度来てみるか。」

そうして市場を横切り進もうとしたが、その時誰かと肩をぶつけてしまう。

「わわ、すいません!!」

「俺こそごめん!」

そうして、ぶつかってしまった男性が落とした紙を拾う。

(あれ?これって…)

見覚えのある紙を拾い上げると、彼も俺の受験案内書を拾い上げてくれていたため、お互いに返す。

「ありがとう。俺はブライト・フライトだ。君は?」

「俺はシュメール・スメルだよよろしくね。」

互いに名前を言い握手する。

「もしかして、君も中等部の試験を受けるの?」

先程、拾ったのは同じ受験案内書だったので俺はそう話しかけてみる。

「へ?あぁ、そうだけど。君もってことはシュメールもそうなのか?」

「うん、そうだよ。」

「はは、なんか運命みたいだな。ちなみに試験登録は行ったか?俺は今から向かうところなんだが、」

「うんん、僕も今さっき王国に来たばかりで、学園向かってる最中だったんだ。」

「それならせっかくだし、一緒に学園に行かないか?」

「うん!いいよ!」

これが親友となるブライトとの初めての会話だった。


そうしてブライトと一緒に学園へと向かっていると、やがてものすごくでかい建物が見えてくる。

「うわ、でっけぇ…あれが王国騎士第2学園か…村の学校の20倍以上普通にありそう…」

「おいおい、20倍ってどんだけ小さい学校だったんだよ。」

俺の反応に笑いながらそう返事するブライト。

「うん?教室一つと5人ぐらいの机しかおけない職員室があるだけだよ。」

「いや本当に小せぇな!?でもそれなら納得だわ…」

そう2人で話しながら学校の門を通り、試験会場へと向う。

「そういや、シュメールは何処から来たんだ?ちなみに俺は王都育ち。」

「俺はルカエル村だよ。」

「え!?そんな遠いところから来たのか!?」

「馬車でも結構かかっただろ?」

「いいや、歩いて来たよ?」

俺が返事をすると静かな時間が生まれる。

「?」

「は!?おま!え?…もしかして3週間ぐらい野宿しながら旅をしてたのか!?」

「うん、そうだよ。」

ショバ村での生活を抜けば大体そのぐらいの期間になるためそう返事する。

「はは、お前すげぇな。おもしれぇわ。なぁ、シューって呼んでもいいか?」

「うん、いいよ。」

「なら、俺のこともライトって呼んでくれよ。」

「あぁ、わかった。改めてよろしくなライト。」

「おう。」

そうして話をしていると試験受付所につく。

「それじゃあ俺はこっちでやってくるよ。終わったら、ここで落ち合おうぜ。」

「うん、それじゃあまた後で。」

そして3つある中等部入学試験受付の左側の列に並ぶ。


数分後ーー

「お待たせしました。それではここに名前と住んでいる場所、何処で学問を習ったか、得意としている武器又は職業、魔法を記入してください。」

(っ…魔法か…)

10歳から特訓はしてきたがそれでも魔法だけは身につかなかった。つまり俺は無能力者というわけだ…

「どうかされましたか?」

「いっいえ、何も。」

苦虫を噛み潰したような顔をしていたため受付の女性に心配されてしまう。

「それでは記入をどうぞ。」

そうして、俺は魔法以外の記入欄を埋め受付に差し出す。

「はい、確かにお預かりしました。それではこれをお受け取りください。試験の内容や日時など重要なものが入ってますのでしっかりとお読みください。それでは2日後お待ちしております。」

「ありがとうございます。」

そうして受付から離れ、ライトと落ち合う場所で受け取った用紙を確認していた。

「えっと?まずは筆記試験か…そしてその後が、実技試験…ここで試験官と1vs1の対戦をする。そしてその結果で1日後合否が発表されると…」

「うぅ…なんか少し緊張してきたな…」

「おぉ、シュー!どうやら終わっていたみたいだな。」

用紙の確認していると遠くからライトが大きな声で手を振りながら近づいてくる。

「うん、そっちこそ終わったみたいだね。」

「おう。それで、シューが受ける試験会場どこだ?」

「ん?ちょっと待ってね。まだそこは見てないや。」

そう言ってもらった用紙の中を確認する。

「あっ、そっか。それなら歩きながらにしようぜ。まだ昼ごはん食べてないだろ?」

「あっ、そういえばもう昼なのか。」

そう言って手を止めライトのほうへ顔を向ける。

「おう、おすすめの場所があるんだ。一緒にどうだ?」

「いいね、それじゃあ出発しよう。」

「おう。」

そして2人は食事をするために歩き始める。

「おっ、あったあった。」

歩きながら用紙の確認をしていると試験会場が書かれた用紙を見つける。

「どこだ?」

取り出すと気になったのかライトが覗き込む。

「B会場だな。」

「あー、俺はD会場だ。」

「あはは、まぁそこはしょうがないな。」

「まぁ、そうだよな。お互い頑張ろうぜ。」

その後、他愛のない話をしながら歩いていると美味しそうな匂いがしてくる。

「そういや何処に向かってるんだ?」

「あぁ、俺のお気に入りの店なんだ。味は保証するぜ。まぁ、店員の接客は微妙だが…」

「おいおい、それはそれで大丈夫なのかな…」

ライトの発言に不安になっていると、店に到着する。

「森の恵み(グレイスフォレスト)か。」

「ほら、行こうぜ。」

そう言いながら入っていくライトの後ろについて、店の中へと入る。

「ようこそ、森の恵み(グレイスフォレスト)へ…ってあんたか…」

中に入るとウェイトレスさんが丁寧に接客してくれた…と思ったら何か急に態度が崩れた。

「あんたか…ってなんだよ…お客だぞお客。」

「うるさい。なんであんたにちゃんと接客しないといけないの…って…は!?」

ちょっとした口論になっているのを後ろで眺めているとこちらに気づいた様子でウェイトレスさんは驚く。

「ちょっと…なんで連れがいることを先に言わないのよ…」

「あぁ…?そんなのお前が先に始めたからだろ。」

そうしてライトとウェイトレスさんは後ろを向いてコソコソと何かを話し始める。

「あっ…あの…」

「あっはい!すみません。それではこちらへどうぞ。」

2人へ声をかけるとウェイトレスさんがさっと振り返り、丁寧な接客で4人席へと案内してくれる。

「…もしかして、仲いいのか?」

「何処を見たらそういうことになるんだよ…まぁ、腐れ縁だよ…昔から何かと一緒になることが多くてな。」

「そっかそっか。」

(接客が微妙ってそういうことね…)

そうしてメニューを見て注文し、しばらくすると料理が机に並ぶ。

「わぁ…美味しそう!」

「そうだろ。そうだろ。ここの料理は絶品だからな。いだ!?」

そう自慢げにライトが話していると後ろからウェイトレスさんに叩かれる。

「なんであんたが自慢げなのよ。」

「うっせ!いいじゃんか実際美味しんだし。」

「そっ…そう…」

呆れた顔をしていたウェイトレスさんだったが、ライトの言葉に少し照れたように頬を染める。

「てか、素出していいのか?ほら友達いるんだけど。」

「あぁ…まぁ、もう見られちゃったし私との関係も話してるんでしょ?それならいいかなって。」

「そうか、お前がいいんならそれでいいけどさ。」

そう、ライトが話した後、ウェイトレスさんがこちらへ話しかけてくる。

「そういや、名前聞いてなかったわね。私はセリア・グラス君は?。」

「俺はシュメール・スメルよろしく。」

「えぇ、よろしくね。」

「おーい、そろそろ食べさせてもらえませんかね。」

自己紹介をしているとライトがよだれを出しながらそう話す。

「あぁ、ごめんなさいね。それじゃあごゆっくり。」

そう言うとセリアさんは厨房の方へと戻る…と思ったらすぐに帰って来た。

「横失礼するわね。」

「は?なんで」

「昼休憩よ。私もお昼ご飯を食べたいし。」

「だからって俺の隣に来る必要ないだろ。」

「他の席を使えっていうの?そんなの他のお客さんに迷惑でしょ?」

周りを見ながらそうセリアさんは話す。

「いやいや、今日はシューもいるし。」

「へぇ、ライト。シュメールくんのことシューってあだ名で呼んでるんだ。」

「うっせぇ…」

(なるほどなるほど。完全に理解した。)

2人の会話を聞いて納得する。

「別にいいよ多いほうが楽しいし。」

「おい!馬鹿!というかなんだそのニヤニヤ顔!?」

「なんにもない、なんにもない。」

俺の発言に困惑するライト。

「あはは、ありがとう、だってよライトさんや。」

「はぁ…」

諦めたようにため息を吐くライトの隣の席にセリアは座ってご飯を食べ始める。

「いただきます。」

「ちょっと待て、なんで俺の隣に座る。というか俺たちより先に食べるんじゃねぇ!」

「むぐ、だって初対面で隣に座られるとシュメール君が緊張するでしょ?そこを考えなよ。てか早く食べないと冷めちゃうよ?」

「誰のせいだ!」

「仲いいなぁ。」

「「よくない!」」

俺の言葉にハモってそう2人は答える。

その奥カウンターではニヤニヤとしているセリアさんの両親(後に知る)が2人を眺めていた。

そうして3人で食べ始める。

「そういや、ここらへんで見たことないけどシュメール君って何処から来たの?ライトと一緒に来たってことは試験受けるんだよね?」

「うん、そうだよ。」

「ルカエル村から歩いて来たんだってよ。」

ライトがそう言うと一瞬時が止まったかのように静かになる。

「…へ!?ルカエル村から!?」

「驚きだよなぁ…」

「そんなに驚くことかな?」

「うん…驚くとこだね…大抵の人が近場の町の学校へ行くし。」

驚きながらセリアさんはそう話をする。

「もしかして、何か夢があるのか?ほら王国騎士になりたいとかさ。」

ライトの言葉でカメリアさん、そしてカーマインさんとの約束を思い出す。

「うん、約束したんだよ。強くなるって、そのためにはここ王国の騎士学校が一番いいのかなって思ってね。」

「へぇ、その人との約束の為に…シューにそこまで思わせる人ってどんな人なんだろうな。」

「うん、憧れの人なんだよ。」

カメリアさんやカーマインさんたちを思い出しながら話す。

「憧れの人か…いいなぁ…ライトもそんな人がいれば留年しなくてすんだのにね。」

「あっ!?おい!」

「留年?」

俺がそう言葉を出すと、頭をかき顔をそらしながら話し始める。

「一昨年、実は馬鹿なことして崖から落ちて半年ぐらい医療院生活になってたんだ。それで出席日数足りなくて留年してな。いやはずかしい…」

「一体何があったんだよ…」

(崖から落ちたって…)

「聞かないでくれ、俺は話したくない。」

(めちゃくちゃ気になるんだが…)

そう心で思いながらも言葉には出さなかった。

「ライトの話しはおいといて…」

「お前が話を振ったんだろ!」

ライトのツッコミを無視しセリアさんは僕に話をする。

「数日はどっかの宿に滞在しないといけないのよね?馬車でも帰れないし。」

「うん、この後探す予定なんだ。学寮も使えるのは学校始まってからだし。」

「そっか、なら一緒に行こうか?街案内も一緒にできるし。」

「本当か?それは凄く助かるよ。」

「おお、いいってことよ。」

「変な所に連れて行ったら駄目だよライト。」

「お前は俺のことをなんだと思ってるんだ!!」

そうして3人で賑やかにご飯を食べ、その後は街案内と宿探しへライトと出発した。

市場や、武器屋、道具屋、薬場など様々な所を案内してもらい、宿も確保することができた。

「ライト、今日は本当にありがとう。」

「あぁ別にいいよ友達の手助けになれてよかった。」

「それじゃあ、また明日な。」

「あぁ、また明日。」

そうしてライトが背を向けて歩き出す。それを見送ってから俺も宿の中へと入っていく。

次の日はライトがやって来て、昨日出来なかった場所の案内と、森の恵み(グレイスフォレスト)で昼食を食べ一日を終える。

そして試験当日、俺たちは試験会場にいた。

「お互い頑張ろうぜ。」

「あぁ。」

そうして拳と拳をぶつけそれぞれの試験会場へと向かう。

まずは筆記試験。王国の歴史や現在、世界の地名などまた生活、薬草、武器知識などを問われる。

学問については村で学んだ。カーマインさんたちに出会う前から、学問についてはいつか必要になるかもしれないからとしっかりと勉強していた。

結局問題なく筆記試験は終え、実技試験のため別会場へと訪れている。

次の試験…実技試験では試験官と1vs1の対決となる。ルールとしては自身の武器の使用は不可、貸し出し用の木刀など刃のない物を使用。魔法は使用可能。決着は審判の判断となる。

「魔法が使用可能ねぇ…」

(魔法が使えない俺からしたら不利な条件だな…本当に恨むぞ神様。といってもしっかり戦えることを見せればいい話だ。気合い入れていくぞ。)

そうしてパンッと両頬を叩き気合いを入れ試合に挑む。

結果、試験官に攻撃を決めることもでき成績は良かったと…思う。

後は魔法が使えないのがどう繋がってくるか…といったところだ。

その後はライトと共にお疲れ様会と評してセリアさんの店で豪華なご飯を食べた。後に聞いた話だが、ライトはしっかりと試験官に勝利したとのこと。


次の日ーー

いつもの日課となっているランニングや体幹トレーニング、そして剣術の特訓を終え、ライトとの約束の時間に学校の門で待っていた。

待ち合わせの5分前にセリアさんと一緒に歩いてくるライトが見える。

「あれ?セリアさん。」

「やっほーシュメールくん。」

「すまないな。どうしてもついて行くって聴かなくてな連れてきちまった。」

「はは、別に大丈夫だよ。それにライトのこと心配してたんじゃないの?」

「うん、そうなのよね。」

「いやいや、試験官を倒したんだから大丈夫だろ。」

そうドヤ顔でいうライト。

「筆記試験でドジしてたらわからないわよ?あんたなら1問ずつズレてたとかありそうだし。」

「流石にねぇよ…どんな風に見えてんだお前。」

それを聞いて、ライトは落とす。

「さて、それじゃあ合格発表見に行きましょう。」

「そうだね。」

「おい、てかなんで試験を受けてないセリアが先陣を切ってんだよ。そしてシューはそれにツッコメ!」

そうして3人で試験合格者が載った掲示板の前に立つ。

(ものすごく緊張するな…)

「さて、同時に見上げるぞ。」

「うん…」

「あぁ…」

「せーの!」

そうして見上げると前の方にライトの名前があった。

「よしっ!俺の名前はあった!シューは!?」

(何処を見ても見つからない…やっぱり落ちちまったのかな…)

「ねぇ…シュメールくん…」

「おい、やめろ…」

「…」

視線を下に向ける。

「あるじゃん。」

そう言うセリアさんの声が聞こえる。

「へ?」

そうして顔を再びあげる。そこにはシャメル・スメルという名前があった。

「…」

「…!?」

びっくりし唖然としてしまう。

「わぁ…」

「名前間違えとかある?」

そうして3人の間に微妙な空気が流れる。


その後ーー

結局、学園の手違いだったということで俺はちゃんと合格してました。うん、名前を間違えないでいただきたい。

ここまで見ていただきありがとうございます。

次回も良ければ見て行ってください!

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