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転生師弟の復讐  作者: 桜紅葉
第一章「転生」
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チャプター28「獣人少女との出会い」

家族と市場で楽しく過ごしている最中、ひょんなことからカメリアさんの正体がバレてしまい、追われる身となってしまう。そんな逃走の途中、シュウはカメリアさんたちと離れ離れになってしまう。合流を目指して市場へと向かおうとしたその時、少女の怯える声が聞こえ、シュウは裏路地の奥へと足を踏み込む。

「あ…あの…やめて…」

「別にいいだろ?どうせお前が持ってても意味ないんだし。」

壁の影に隠れて声の聞こえる方へと覗き込むとそこには、カタカタと震える透き通った水色髪と尻尾を持つ同年代ぐらいの獣人少女と2人の少年がいた。

「そ…それは…お母さんからもらっただいじな…」

「知らねぇよ。」

「ひぃ!?」

「そこまでにしたらどうだ?怯えてるじゃないか。」

俺はそんな怯えている少女と少年の間に割って入る。

「え?」

急に見ず知らずの奴が入ってきて、怯えていた少女もキョトンとした顔で俺のことを見る。

「は?誰だお前。」

「誰でもいいだろ?ほら、その杖をこの子に返してやれよ。」

「やだね。魔法が使えない獣人族よりも、俺の方が使った方がいいじゃんか。」

「だからって、人の物を取ったら駄目だろ。犯罪だぞ?」

「うるせぇ!返してほしいなら力ずくで取り返してみな。」

「はは、いいなそれ、まぁちっこいお前なんかには無理だろうがな。」

「はぁ…後悔するなよ?」

穏便に済ませようとしたが、無理だったため、俺は仕方ないとため息をつきながらそう少年たちに伝える。

「はぁ?」

「「あははは!」」

「おい聞いたか今の?」

「あぁ、後悔するなよ?だってよ!」

「後悔するのはお前の方なのにな!」

そうやって、俺の言葉を聞いて笑っていた少年たちは、拳を振り上げ接近してくる。

そんな少年たちに俺は手をかざし、魔法を発動させる。

『エアーバレット』

「うぐ!?」

「なっ…!?今のは魔法!?」

魔法を食らった少年はそのまま後方へと吹き飛ばされ、それを見ていた少年も動揺して立ち止まる。

「なんだよこいつ!?なんで魔法が…ってまさかお前が噂の最小の魔才!?」

「残念、ハズレだ。だけどどうする?このまま続けるか?」

「っ…わかったよ!返すから!」

「あぁ、それでいいんだ。」

「…ほら、取れよ。」

「え?あっ…」

「…。」

そう言って、高圧的に少女へと杖を返す少年に俺は睨みつける。

「…っ、わかったよ。取ってごめんな。」

「う、うん…」

「これで、いいだろ?俺たちは行くぞ!」

「いいのか?」

「え、あ、あの…う、うん…」

「そっか。それじゃあ俺は行くよ。」

いざこざを解決した俺はそう言って、その場を離れてアクセサリーショップに向かって歩き出した。


ーー王都ナルキア:大通りーー

のだが…

「…。」

(なんであの子は俺について来るんだ?)

何故か裏路地で助けた少女が後ろをついてきていた。

(どうしたものか…一度話せるように立ち止まってみるか?)

そうして、俺は丁度見えてきた市場前の広場へと向かう。


ーー王都ナルキア:アルマ広場ーー

「それで?後ろなんかつけてきてどうしたんだ?」

広場に少女も入ってきたことを確認して俺は振り返りそう話す。

「あっ、あの…さっきは助けてくれてありがとうございました。」

「あぁ…どういたしまして。でも、別にわざわざお礼なんていいのに。」

(そっか、お礼を言う前に俺が離れたからわざわざこの子はついてきていたのか…)

「いえ、すごく嬉しかったので…それにお母さんからも、助けてもらったらしっかりとお礼を伝えるようにと言われているので。」

「そっか。」

「は、はい…そ、それであの…もう一つお話があって…」

辿々しく少女が話している最中、2人の間にグルグルとお腹がなる音が聞こえた。

「あっ…あぅ…」

その音を奏でた少女の顔は真っ赤に染まっていく。

「はは、お腹が減ったのか?なら、突っ立ってるのもなんだし、市場で何か買うか。」

「あの…それならお礼を兼ねて私が払います。」

「え?いいよいいよ。金ならお母さんからもらってるし。」

「い、いえ、私が払いたいですお願いします。」

「はは、そこまで言われたらしょうがないな。それじゃあお願いするよ。」

(お礼なんていいのに、本当に律儀な子だな。)

関心しながら俺はそう返事を返すと

「はい!」

と少女はぱっと笑顔を咲かせながら返事をする。


そうして、市場で買った食べ物を広場のベンチで一緒に座って食べていた。

「むぐ!これ、初めて食べたけどおいしな。」

「本当ですか?よかった。これ、私の大好物なんですよ。もぐ…むぐむぐ…」

彼女はそう言って美味しそうに頬張る。

「確か…ニクマン?って言うんだっけ?ホクホクで心から温まるし、中の肉も凄くジューシーで凄く美味しい。」

「そうですよね!もちもちな生地と具材がすごく合っててかぶりつくと肉汁がじゅわ~っと出てきて、お肉のうまみが口いっぱいに広がって本当に美味しんですよ!それに他にも色々な味もあるので、無限に楽しめるんですよ!…あ。すみません私…」

(辿々しく話す大人しい子だと思ってたけど、こういう一面もあるのか。)

俺の反応が嬉しいのか、にぱぁと笑顔を浮かべ、興奮気味に尻尾を振りながらニクマンの良さを語っていた彼女はハッと我に返り照れ始める。

「はは、いいよ。好きなのが伝わってくるし。ほら、冷める前に食べきってしまおう。」

「そっ、そうですね。」

そうして、彼女の美味しそうに食べる顔を眺めながら俺もニクマンを食べる。


そんなこんなで食べ終わった俺達は広場で遊ぶ同年代の子供達を眺めながめていた。

「そういやあの時、何で君は…って、えっと…そういや名前を聞いてなかったな。俺はシュウ・カージナルだ。君は?」

「えっと、私はノエル・プティ…です。」

「ノエルか…いい名前だね。」

「え?あ、ありがとうございます…」

「ん?どうした?」

ノエルはそう言って顔を背けてしまったので俺はそう言葉をかける。

「いや、何にも無いです。それよりも続きをどうぞ。」

「あぁ、何であの時、自分で取り返そうとしなかったんだろうって思ってな?獣人族のノエルならできたんじゃないか?」

獣人族は魔法が使えない代わりに身体能力が他の魔族よりも優れている。だから、自分で解決できていたのではと考えていた。

「えっと…それは…」

ノエルは俺の言葉を聞いて俯いてしまう。

「あっ、いや。言えないならいいよ。」

「い、いえ…私…男性が駄目で話しかけられるだけでも、もう震えちゃって…」

「そうだったのか。男性が…」

(ん?男性が駄目…って…)

そうやって頭で考えた俺は咄嗟にベンチから立ち上がり、ノエルから距離を取る。

「すっ、すまない!?大丈夫だったか?」

「あっ、いや!大丈夫ですよ!?シュウさんには助けてもらいましたし…それに話をしていても嫌な気にはなってなかったので座っても大丈夫です!」

そう言って何故かノエルも立ち上がり、かわりにどうぞという思いが体全体から伝わる程の必死さでジェスチャーで座るよう伝えていた。

「ふっ…」

「ふふ…」

「あはは!」

「あはは、何してるんだろうな俺達。」

そんなノエルと目が合い、お互い動揺しているのがおかしくなって俺達は笑い合う。

そんなこんな、俺達は再びベンチに座り話に戻る。

「シュウさんは他の人とは違って話しやすかったですし、一緒にいて心地よく思ってたんです。」

「はは、それは言いすぎじゃないか?俺以外にもそういう奴はたくさんいると思うけど。」

そういうとノエルは首を横に振った後俺の顔を見て真剣そうに話を続ける。

「少なくとも、村の男の人たちは私のことを嫌っているので、優しくされたことはないです。」

「そう…なのか?」

「はい、さっきの話にも繋がって来るんですけど、私何故か他のみんなとは違って魔法が使える代わりに身体能力は人並み…うんん…それ以下みたいで…」

(突然変異ってやつか…)

「努力をしているけれどやっぱりみんなみたいに動くことができなくてずっと馬鹿にされていたんです。だから私にできる事はなんだろうと考えてもっと魔法を使えるようになろうと特訓していたらお父さんや大人の人に『そんなのは獣人ではない恥を知れ。』と怒られて、怯えてしまって…」

話をするノエルの手は震えていた。おそらく、その時の情景を思い出してしまったんだろう…

(こんな小さな子になんて言葉をかけているんだ…)

俺はそんな彼女を見て、話を聞いて怒りを覚えていた。

「私はもう泣くことしかできなくて…そんな私を見て大人の人だけではなく、周りの人からも私のことを馬鹿にする言葉が聞こえてきて…私の努力はなんの意味もないんだと、私は出来損ないなんだとそう思いました…」

「そうか…」

「ご、ごめんなさい…初対面なのにこんな重い話をしてしまって…」

「うんん、いいよ。知らない人だから話せることだってあると思うんだ。」

「…」

「でも、一言言わせて欲しい。君は出来損ないなんかじゃない。」

「え?」

俺の言葉を聞いて少女はキョトンとした目で俺のことを見つめる。

「だって、君はそれに勝る心を持っている。どれだけ馬鹿にされても諦めず頑張ってきたんだろ?それは君の才能だよ。」

「私の才能…」

「あぁ…そうだよ。」

ぼそっと呟いたノエルの言葉を肯定し、俺は話を続ける。

「今は辛いと思う。けれどいつか君は、自分の価値観で決めつけてたり、人を馬鹿にしているような、現状に浸っている奴らよりも強くなれる…そう俺は確信しているよ。そして、誰よりも強くなって、逆に馬鹿にしてやればいい。」

「え!?いやいや、馬鹿になんて!!」

「はは、君ならそういうと思っていたよ。」

辛そうな顔から一転、慌てた顔でそう言うノエルを見て俺は笑みを浮かべながらそう話す。

「…きっと苦しい道なるけれど乗り越えられるさ。困ったら助けてくれる人もいるそうだろ?」

少し前から心配そうに公園の外からこちらを見守る獣人の女性の方に目を向けながら俺はそう伝えた。

「…うん。」

ノエルはそう頷いて母親であろうその女性の方を見て微笑んでいた。

「さて、それじゃあ俺は家族を探さないといけないのでそろそろお暇させてもらうよ。」

「え!?迷子だったの!?」

「あぁ、でも心配することはないよ。すぐに合流できるからさ。」

「あっ…はい…わかりました。それじゃあ私も行きます。話を聞いてくれてありがとうございました。今度はシュウさんのことも教えてくださいね!」

「あぁ、約束だ。」

「はい!」

そう言って、ノエルは獣人女性の元へと走っていく。

姿が見えなくなるまで手を振った後、俺はノエルが出ていった反対側の出入り口から公園を出ると外にいた男性に声をかけられる。

「良いこと言うじゃないか。」

「…やっぱり近くにいたんだね。」

そこには先程と服装の違うカーマインさんの姿があった。

「バレてたか?」

「うんん、お父さんならこうすると思ってただけだよ。」

「そっか。それじゃあそろそろ行こう、二人も待ってるぞ。」

「うん、そうだね。」

そうして、カーマインさんと手を繋ぎ、二人の元へと向かって歩く。

偶然の出会いから仲良くなったノエルと別れ、カーマインさんと合流したシュウは一緒にカメリアさんたちの元へとむかうのであった。

ここまで見ていただきありがとうございました!

遅れてしまい申し訳ございません。ここ1ヶ月いろいろなことがあり、小説書きに手が取れない状況が続いています。できるだけ週一で投稿を目標に執筆してきましたが、なかなか叶わない状況が続いていますので、2週間に1話のペースで行うことにさせていただきたいです。ごらんの方には不便をお掛けしますが、ご理解お願いいたします。申し訳ございません...

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