チャプター27「幸せな時間4」
1つ目の目的である魔法学院の制服の受け取った俺達はもう1つの目的である街探索の前にある酒場へと向かうことになった。その酒場でカーマインさんと合流した俺達は食事を食べ楽しい時間を過ごした。
「さて、それじゃあスーは何処に行ってみたいんだ?」
「うーん…迷うなぁ…」
ご飯を食べ終わった後、酒場を出た俺達は街を歩きながら次の行き先を決めていた。
「仕立て屋で服を見ていたし、服屋に行ってみる?」
「アクセサリーを見に行くのはどう?この前、ゴブリンのお姉さんにアクセサリーをもらって喜んでただろ?」
「むむむ…」
カメリアさんと俺の案を聞いて、スーは更に頭を抱える。
「それなら市場に行ってみるのはどうだ?
今はお祭りで多くの店が出店しているし、有名な演劇団も来ているらしいぞ。」
「それだぁ!それじゃあ、お父さんほら行こ!市場に向けて出発!」
「おい、走ったら危ないぞ!!というかそっちは市場じゃないぞ!」
そうして、カーマインさんの手を引きながらスーは走っていく。
「元気だなぁ。」
「ふふ、お父さんとこうやって一緒に過ごす時間も少ないし、待ちに待ったお出かけだからね。」
「はは、そうだね。」
お互いに笑いながらカメリアさんと一緒に2人の後についていく。
ーー王都ナルキア:市場ーー
「うわぁ!すごい!!」
スーは嬉しそうにクルッと回転しながら市場を眺める。
「流石祭りっていうだけあって、街よりも人の量が多いね…バレなきゃいいんだけど…」
「そうだな、気をつけないとな。」
そう言ってカメリアさんとカーマインさんは帽子を深く被る。
「ちょっと、お父さんお母さん!スーが一人で行っちゃう!ほら行こう!」
興味に惹かれ、市場の中に入っていくスーを追いかけながら、入口で立ち止まっていた2人に声をかける。
「あっ、そうだな。」
「わわ、本当だ。スー待って!!」
そうして、市場を歩き始めた俺達は不思議なものを見つけて立ち止まっていた。
(なんだこれ…エンゼルフィッシュすくい?)
「あっ、お魚さんだー。」
そこには小さなエンゼルフィッシュが沢山泳いでいて、子供たちが先端についた丸い紙ですくい上げていた。
「へぇ、紙で魚をすくい上げるのか。」
「不思議な遊びだね。」
「お、坊主もしかしてエンゼルフィッシュすくいは初めてかい?」
俺達が眺めていると、店のおじさんが声をかけてくれる。
「うん。初めて見た。」
「そうかいそうかい、ならサービスしてやるよ。嬢ちゃんもどうだい?」
「え?いいの?」
「あぁ、もちろんだ。ほい、これがポイと器な。」
「おじさんありがとう。」
そう言っておじさんからポイと
「わーい!お兄ちゃんやろ!」
「あぁ。」
そうして、おじさんからポイと器を貰った俺達はエンゼルフィッシュが入った水槽の前に屈んで遊び始める。
「えっと…本当にいいのか?」
「あぁ、この遊びはワノクニで子どもたちに人気なんだけど、他の国ではまだまだ流行ってなくてな。まずは知名度を上げたいわけよ。」
「なるほど、なら私達も少し貢献させてもらいますね。」
「お?それは助かるねぇ。それじゃあ2人分で銅貨2枚だ。」
「はい、銅貨2枚。」
「あい、まいどあり!それじゃあ楽しんでくれ。」
そうして、おじさんからカーマインさんとカメリアさんもしゃがみこむ。
「さて、それじゃあ、誰が1番取れるか勝負してみるか。」
「ふふ、いいね。私も頑張ろうかな!」
「え!?私もう破けてるんだけど!?」
「はは、早すぎるだろ。」
「それじゃあ、おじさんもう一つくれ。」
「おう、銅貨一枚だ。」
白熱したエンゼルフィッシュすくいはカーマインさんの圧勝で幕を閉じ、現在はスーのリクエストでアクセサリーなどが売っている屋台へとやって来ていた。
(へぇ、こんなにもアクセサリーって種類があるんだな…)
無数に並べられたアクセサリーに俺は目を奪われていた。
「ねぇねぇ、お父さん。これ似合う?」
「あぁ、凄く似合ってるよ。」
「えへへ、やったぁ。」
そんな俺の隣ではくるんと回りながらアクセサリーを着けた姿をカーマインさんに見せて嬉しそうにしているスーの姿があった。
(あっ、これ…カメリアさんに似合いそう…)
ふと、そう感じ目に入ったアクセサリーを手に取ってみる。
「あっ、シンプルでいいネックレスだね。」
「あっお母さん。」
「それ気に入ったなら買う?」
そう言いながらカメリアさんは隣に座る。
「うんん、お母さんに似合うかなって思ったんだ。」
「え?私?」
「うん、そうだよ。」
「ふふ、それじゃあ試しに着けてみようかな。」
そうして、カメリアさんは僕から受け取ったネックレスを首にかける。
「綺麗…」
「ありがとう。シュウ、センスあるんだね。」
ネックレスをつけたカメリアさんに見惚れていると、後ろから。
「お母さん綺麗!」
と、目を輝かせながらスーがやって来ていた。
「いいな、私もお母さんに似合うアクセサリーを選んでくる!私が着けたいからしゃがんで待っててね!」
「ふふ、わかったわ。」
カメリアさんの返事を聞いて、スーは先程の場所に戻ってアクセサリーを漁りだした。
「これこれ、お母さんに似合うと思ったんだ!」
そうしてひとつのヘアアクセを持ち上げ、こちらへと走ってくる。
「えへへ、それじゃあお母さん着けるね...わわ!?」
「え?」
スーはヘアアクセを着けようと近づいたが、目の前でバランスを崩してカメリアさんを巻き込んで一緒に倒れてしまう。
「つっ…お母さんごめん…」
「うんん、大丈夫よ。それよりスーは大丈夫?」
「う、うん...大丈夫だよ。」
「お母さん、スー大丈夫!?」
「とりあえず起き上がろう。2人共手を取ってくれ。」
「え、えぇ...」
そうしてカーマインさんがカメリアさんとスーを起こしている最中、辺りがざわめき始めていた。
「あれって...」
「えぇ...」
「勇者一行のカメリアじゃない?」
「え?ってことは隣の赤髮の男性は…」
「えぇ、きっとそうよ…」
「えっ、あ!?」
辺のざわめきが大きくなってきた時、カメリアさんが大きな声を出した。
「とりあえず被れ、この場所を離れるぞ。」
そう言って、2人が転倒した時に外れてしまった帽子とサングラスをカメリアさんに渡す。
「ごめんなさい、私のせいで…」
「大丈夫だ今のはしょうがない。ほら、スーは俺と一緒にだ。」
「わっ、わかった!」
「シュウも早く行くぞ。」
「う、うん!」
スーを抱きかかえながら走り出すカーマインさんについて、俺とカメリアさんも走り出す。
数分後ーー
ーー王都ナルキア:裏路地ーー
正体がバレたことで街の人達に追われる身になってしまった2人について必死に走り、何とか巻くことが出来た俺達は裏路地にあった小さな広場で立ち止まり息を整えていた。
「はぁ…はぁ…何とか撒けたね…お父さん…」
「は?お父さん?」
そうして、顔を上げるとカーマインさん…ではなく赤髮の知らない男性が立っていた。
「くっそぉ…負けたぁ…メルナお前本当に速いな…って誰だそのガキは。」
「えっ…あっ…」
「いいや、知らねぇよ。まぁ、どうしたんだ?ボウズ、迷子か?」
「あ…大丈夫です。ごめんなさい!!」
そう言って俺はその場を離れる。
(しまったな…一体何処で離れ離れになったんだ?)
広場から離れた俺は人通りの少ない裏路地を歩きながら走っていた時のことを思い出していた。
(うーん…駄目だ思い出せない。とりあえずあのアクセサリーショップの近くで待っていれば合流できるよな?)
「あ…あの…やめて…ください…」
「ん?」
思い出すのを諦めてアクセサリーショップに向けて歩き出そうとした時、か細く震えた声が耳に入ってくる。
(今のは…気のせいじゃないよな…)
そうして、声の元へと俺は歩みを進める。
カーマインさんたちと離れ離れになってしまったシュウは合流する為に戻ろうとしたが、怯えた声を聞いて、歩を進めていた。
ここまで見ていただきありがとうございました。
2週間ちょっと体調を崩し、物語が止まってしまい申し訳ございませんでした。今度こそ、これからは1週間毎の投稿をしていきますのでよろしくお願いいたします!
それではこれからもよろしくお願いします!




