チャプター22「信念の為の決闘」
マリーと別れてから2人と合流して授業を受けた俺は、その後アステナさんが教員と話しているのを見計らって、決闘の申し出を受けたとスーに伝えていた。
「えぇ!?決闘することに…うぐぐ…」
「しー、声が大きい…」
大きな声を上げそうになったスーの口を塞ぎ、注意をする。
「あっ、ごめん…でも、なんで決闘することに?私たちと別れてから何があったの?」
「えっと…それはな…」
そうして俺は、マリーとのやり取りを全てスーに伝える。
「あぁ、なるほどねぇ…。ふふ…」
「笑うなよ…俺もやらかしたと思ってるんだから…」
「いや…ごめんごめん違うんだよ。お兄ちゃんらしいなぁと思ってね。」
「やっぱり馬鹿にしてるだろ。」
「そんなことないのになぁ…。」
そうやってスーにいじられた後、本題へと話が戻る。
「まぁ、とりあえず話を戻すけど私がその場にいても同じことをしてたと思うから気に病むことはないよ。それよりも今はあの子に勝つことを考えてよ?」
「あぁ、わかったありがとうな。」
「うん。」
そうしてスーは笑顔を向けてくれる。
「それで?私は何をしたらいいの?」
「え?」
「私だけに内緒で話すんだから何かやってほしいことでもあるんでしょ?」
「あぁ…お見通しか。」
「まぁね。」
お願いをしようとしていたのだが、スーは感づいていたようだ。
「話が早くて助かるよ。できるだけでいいんだ。お母さんとアステナさんが決闘に気づかないよう興味を引いてほしい。」
「あぁ、なるほどね。わかった私に任せて。」
そうしてスーは返事と共にぐっと親指を立てる。
ーーフェイニール魔法学園:中庭ーー
そうして最後の授業を受け終えた俺は中庭へとやってきていた。
その中心には木刀を持って待つマリーの姿があった。
「来たわね。よかったわ尻尾巻いて逃げてしまったらどうしようかと考えてたから。」
「…それで?決闘のルールは?」
「ふん、まぁいいわ。」
そう言ってマリーは不満気にルール説明を始める。
「勝敗条件はどちらかの戦意消失、又は決闘が継続できなくなる。剣は木刀、魔法は自由に使用できる…と言っても今回は私しか使えないけどね。」
「…」
「反応悪いなぁ…まぁ、いいや。そこに木刀があるから好きなの取って。」
「あぁ、わかった。」
そうして隣に置いてあるかごから1つ木刀を取り出しながら1つ質問をする。
「1つ聞きたいことがあるんだが、なんなんだこのギャラリーたちは。」
「あぁ、このギャラリーのこと?毎回のことなんだよね。決闘って聞くと集まってくるのよ。たく…どこから広がったのやら。後でお仕置きしないと…」
そう言って、マリーは面倒くさそうに取り巻きの生徒たちを睨みつける。
(わざとではなさそうだな。)
故意ではないことを確認しながら木刀を取り、戻ってきた俺はマリーの前に立ち向かい合う。
「さて、それじゃあ恥をかく準備はいいかしら。」
「そっちこそ。準備はできているか?」
「ふん、それじゃあ始めるわよ。」
そう言って手を上に向けると、詠唱を始め炎の玉がマリーの手元に集まりだす。
(フレイムフラッシュか…)
「これが弾け飛んだらスタートよ、わかった?」
「あぁ、頼む。」
俺の言葉を聞いたマリーは頷き、空へと魔法を放つ。
高く高く上がる魔法は一瞬視界から姿を消し、そして…バンッ!と言う破裂音と共にが炎が弾け飛ぶ。
「先手必勝!“生まれし 火種よ 集まり 放たれよ!“『ファイアショット』!!」
マリーはそう言って詠唱を始め、こちらへと3発の魔法を放つ。
「っ!!」
マリーへと一直線に突っ込んでいた俺は避けるため、切り返し左方向へと走り出す。
(まさか多重詠唱ができるとはな…)
「これだけじゃないわよ!“小さな水よ 集まり 1つとなれ!“『アクアショット』!!」
「っ!!」
先読みして飛ばしたマリーの魔法を急停して避け切り返し、続いて飛んでくる3発の魔法を左右に避けつつマリーの近くへと接近する。
(よし!この距離なら!!)
「はぁ!!」
「甘いわよ!“辺りに漂ようそよ風達よ 我のもとに集まり 舞い上がれ! “『エアーシャフト』!」
「うぐっ…!」
攻撃の届く範囲まで近づくことが出来たが、魔法によって引き離されてしまう。
(っ…やっぱりそう簡単にはいかないか。)
上手く着地し、視線を上げると俺を追うように魔法が飛んできている。
「っ!」
すぐに立ち上がり走り出すと、先程までいた場所からドゴンと破裂音が鳴り響き、
俺を追うように、後方から破裂音が近づく。
(確かに威張るだけの実力はあるな…だからこそ勿体無いな…っ!)
そうして再びマリーへの接近を試みる。
「バカね!私の魔法に真正面からやり合おうっての?避けないと大怪我じゃ済まないわよ!!“小さな水よ 集まり 1つとなれ!“『アクアショット』!!」
「…」
「なっ!?早く避けなさい!!本当に大怪我じゃすまないわよ!!」
魔法は俺の目の前までやってきており、避けることが不可能な状況、マリーは驚きの声をあげ、周りの観客から悲鳴が上がり始める。
(それもそうだろうな。普通なら魔法に飛び込むなんて自殺行為だ…だけどこの程度のアクアショットなら対策できている。)
前世で魔法を持たない俺が魔法士たちに対抗するために編み出した技の1つ。
(いつともなく見てきたこの魔法なら、今の体でも出来るはずだ!)
「『絶』!」
その瞬間、目の前に飛んできていた『アクアショット』は消滅する。
「なっ!?」
「い、今のはなんだ!」
「わ、わからない…でも、消えた?」
「今、魔法を斬った!?」
「ど、どういうこと!?」
突然の出来事にマリーやギャラリー達は驚きの声を上げる。
「っ!今のはたまたまよ!それならこれならどう!!“生まれし 火種よ 集まり 放たれよ!“『ファイアショット』!!」
続いて3発の『ファイアショット』が飛んでくるがそれぞれ順番に消えていく。
「なっ!?」
「今だ!!」
そうして、驚いているマリーへ一気に接近し、攻撃を仕掛ける。
「っ!!」
「はぁ!!」
1撃2撃と攻撃をしかけるが、木刀で防がれて攻撃は通らず後退しながら『エアーシャフト』を発動されたため、マリーに接近することができなかった。
(今の剣術…!?たく…本当に持ったいねぇな…)
「やるじゃない…認めるしか無いみたいわね。私をここまで追い詰めたのはあなたが初めてよ。」
距離を離して着地した所でマリーが話しかけてくる。
「そうか、そりゃ光栄だな。」
「はぁ、相変わらずイライラさせる返事ね。」
「聞きたくないなら俺を倒すんだな。」
(正直少しワクワクしてきた。何処までやれるのかお前に興味が出てきたよ。)
そうして、俺の心も高揚し始める。
「ちっ、言ってくれるじゃない。なら、その通りにさせてもらうわ!!」
「後悔しても、謝ってももう許さないわよ!」
「1つ1つの火種たちよ 集まり…」
そうして、もう一歩後ろに距離を取ったマリーは丁寧に詠唱を始める。
「あの魔法って…」
「あぁ、中級魔法だ…」
「まさか、そこまでいってたとは…」
「というか、これ私達まで危ないんじゃない!?」
詠唱を聞き始めたギャラリー達は驚きの声をあげていたが次第にざわめき、俺とマリーから離れ始める。
(驚いた…流石『最小の魔才』と呼ばれるだけの事はあるな…)
そう考えながら俺は詠唱を続けるマリーを見て笑みを浮かべていた。
決闘が始まり均衡した状況が続いていた中…放たれる中級魔法…果たしてシュウはどう対抗するのか…そして決闘の行方は如何に…
ここまで見ていただきありがとうございました!ここの戦いは結構な試行錯誤が必要で時間がかかってしまいました。遅れてしまい申し訳ないです。また良ければ次回も見ていってくださいね!それでは!




