チャプター19「いざ魔法学園へ!」
あの出来事からはや2ヶ月。年は明け肌寒い季節になった頃、骨折が完治したシュウは特訓を再開していた。
家から少し離れた場所にできたばかりの特訓場そこで俺は特訓をしていた。
風が衝突した衝撃でカコンという音が響くと共に目の前にある的は倒れる。
「それにしても本当に魔法が使えるようになったんだね。」
魔法が使えるようになったという話はしていたが実際に使うところを初めて見たスーは両手で方杖をつきながら驚いていた。
「そうだな…」
俺はオークとの戦闘を思い出しながらスーの言葉に返事する。
オークとの戦闘中最後見た風の渦、あの正体は俺が無意識に発動させた風魔法によるものだった。
「でもまだまだだ…」
「え?そう?」
手応えがあまりなかった俺はそう反省するが、スーはそう思わなかったようで首をひねる。
(これじゃあ魔法を出すまでの時間がかかり過ぎて使い物にはならない…)
魔法には詠唱型、無詠唱型、魔法陣型という3種類の型がある。
詠唱型はその魔法分の魔力さえあれば言葉と魔法のイメージを覚えることで発動が可能になる。しかし、詠唱によっては時間がかかってしまうこと、詠唱中は無防備になってしまうことから後方からの攻撃、支援が主となる。稀に戦闘しながら詠唱をしている奴もいたがあれは…真似出来る気がしない…
無詠唱型は、出力・照準・持続性という決められた特性に、魔力の形を合わせることで発動させることができる。
詠唱がなく隙が少ないため、剣との併用ができるため主に前線で戦う者が使用している。しかし緻密な魔力操作が必要でコツさえ掴めば強力だが、失敗すれば不発や暴発の危険があるため3種の中で一番高度な魔法型となる。
魔法陣型は、実際にその場で描くものと武器や装備に付与させ発動をさせる2種類がある。
魔法陣型はその特性上、詠唱、無詠唱とは違い、詠唱も魔力の形を合わせる必要はなく魔法を発動させることができたり、トラップとしての活用や装備強化など行うことができる。しかし、発動できる魔法は固定のものしか使えない、戦闘時には魔法陣の生成が難しいなどの難点もある。
俺は、前世の剣術を無駄にすることなく併用ができる、無詠唱を選びカメリアさんから教わることでなんとか初級魔法のエアを取得してはいる。
まだまだ魔力合わせが上手く行かず時間はかかってしまうけどな…
「この年で魔法使える時点で凄いと思うんだけどなぁ…」
魔法の特訓をしているとポツリとそうスーは言葉を溢した。
その後は暫く静かにスーは俺の特訓を見ていたが、ふと話し始めた。
「でも不思議だよね。」
「ん?何がだ?」
俺は目の前の的に集中しながらもスーの言葉に返事する。
「だって、魔法って確か8歳くらいにならないと発現しないんじゃなかった?」
「そうだな。大体8歳〜10歳の頃になると発現するはずだ。」
そこは確かに俺も疑問に思っていた。何せ今の俺の年齢はまだ5歳だ、どう考えても発現するような年齢ではない。
転生してから複数の魔法本を呼んできたが、7歳より前で発現したという記載はなかった。それに騎士団に所属していた頃、そんな話になって聞いたことがあったが、やはり一番早く発現した者は7歳であった。
(もしかしたら転生と何か関わりがあるのかもな。)
むむむ…と唸りながら考えているスーの前でそう考えていると、
「どうしたの悩み事?」
と後ろから誰かに喋りかけられる。
「うわ!?ってアルカお姉さんか…」
びっくりして振り向くとそこにはキョトンとしながらこちらを見ているアルカさんがいた。
「別に大したことじゃないから大丈夫だよ。」
「そう?まぁ、何かあったら言ってね。」
「うん。」
そうして、2人で話していると、
「あっ!アルカお姉ちゃん!」
とスーもアルカさんに気づいた様子で抱きつきに来ていた。
「よしよし。」
アルカさんもそれに答えて頭を撫でている。
「そういや、アルカお姉さん何か用事でもあった?」
「ん?あっ、そうだった。」
甘えているスーを撫でて幸せそうにしていたが、俺の言葉を聞いてハッと我に返り本題を伝えてくれる。
「カメリアさんが2人のことを呼んでたよ?」
「あれ?もう帰ってきてるの?」
(今日は2週間に1度の仕事の日で夜まで帰らない筈だけど、何かあったのかな?)
いつもと違う時間だったため少し驚いてしまう。
「うん、伝えたいことがあるからも早めに帰ってきてねって言ってたよ。」
「そっか、それじゃあ待たせるわけにも行かないし帰ろう。」
「うん、そうだね。」
「わざわざ伝えに来てくれてありがとう、アルカお姉さん。」
「うん、どういたしまして。」
そうして片付けた後、夕日に照らされながら俺たちは家へと向かって歩き出した。
ーーカージナル宅ーー
家に帰ると嬉しそうにカメリアさんが鼻歌を奏でながら料理をしている。
話を聞こうとしたが、食べながら話すとのことで皿を並べて料理の準備を手伝うことにした。
「いただきます!」
沢山の料理を前にして俺たちは手を合わせて食材に感謝した後、食事を始めた。
しばらくは今日は何をしていたのか雑談をしながら食べていたが、
「そういや、お母さんお話って何だったの?」
とスーが話したことで本題に入ることになる。
「うん、そうだねそろそろ話をしよっか。シュウ、この前話したこと覚えてる?」
「この前…?」
何のことか思い出せず首をひねっているとカメリアさんはヒントをくれる。
「ふふふ、ほら2週間前に話したでしょ?」
「2週間前…?」
ヒントを聞いて再び思い出してみると1つ思い浮かんだものがあった。
「もしかして、魔法学院の話?」
「そう、正解。」
俺の答えを聞いてカメリアさんは笑顔で答える。
「ん?なんの話?」
「そっか、スーは知らなかったよな。」
ご飯を食べながら聞いていたスーは、話が分からないようで首を傾げていた。
「この前、魔法の勉強の合間にお母さんと話したことがあったんだよ。」
そうしてスーに説明するため2週間前のことを思い出す。
その日はカメリアさんから魔法の使い方について学んでいた。
「え?魔法学園?」
「そう、見学に行かない?」
学習を終え特訓までの時間休憩をしていた時、カメリアさんからの話を聞いていた。
「確かフェイニール魔法学園ってお母さんが先生をしているところだよね?」
フェイニール魔法学園、それはこの村から馬車で4時間かかる場所にあるフェイニール村に立っている学園で、なんとカメリアさんが月に2回特別授業をしている学園なんだ。早く学生になりたい。授業を受けられるみんなが羨ましい。
ちなみになんで教員をしていることを知っているかについては3歳の頃、毎月2日だけ決まって出かけていたので何をしているのか気になり聞いてみたところ教えてくれた。
「そうそう、私が教えるのもいいけど、見るだけだとしても近い年代の子から受ける刺激っていうのは大きいからね。」
前世を振り返っても、村で1人特訓をしていた頃と、スフィアや学生時代の友人らと特訓していた頃では大きく差があったことを思い出し、俺は納得した。
「うん、じゃあ行きたい!」
「ふふ、それじゃあ決まりね。今度学園に行った時に話してくるね。」
そういうことでカメリアさんの提案を聞いた俺は魔法学園へ見学に行くことを決めたんだ。
「という感じだ。」
「へぇ、そうだったんだね。魔法学園かぁ。」
2週間前の話を伝えるとスーはそう言いながら頷いていた。
「そう、それで今日学園長に話して来たんだけど、いいって快く答えてくれたよ。」
「え?それじゃあ!」
「うん、2週間後は空けておいてね。」
「わかった!」
期待していたこともあり、行けることが決まったことで2人の前ではしゃいでしまった。恥ずかしい。
そうして、恥ずかしがっているとスーがカメリアさんへ何かを話し始めていた。
「それじゃあ、私とセシリアさんの2人でお留守番?」
「うんん、スーがどうしたいかによるけど、学園長に許可は取ってあるから一緒に行けるけどどうする?」
カメリアさんの言葉を聞いた瞬間スーの瞳は目がキラキラとあからさま輝き始めた。
「うん!行く!!やったぁ!」
そうして、スーが喜びはしゃいでいるのを微笑ましく見守りながら眺めていると、
「ふふ、それじゃあ決まりね…ってそうだ、もう一つ言うことがあるのよ。」
とスーの様子を笑顔で眺めながらそう話すカメリアさんだったが、何かを思い出した様子で手をぽんと叩いた後、俺に向けて話し始めた。
「実はね?…………………」
「え!?それは本当なの!?」
カメリアさんの言葉を聞いた俺は驚き机に手をついて、身を乗り出してしまう。
魔法学園へ行けることになり喜ぶ2人だったが、カメリアの言葉にシュウは動揺する。果たして何をカメリアから聞いたのだろうか…
ここまで見ていただきありがとうございました!
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