表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生師弟の復讐  作者: 桜紅葉
第一章「転生」
23/36

チャプター18「「ただいま!」」

再度立ち上がったオークだったが、シュウやルディの頑張りやカーマインの到着により本当の決着が着く。そして、その戦いの中で意識を失ったシュウは目覚めようとしていた。


ーーヒアルム村:治療室ーー

「…」

「……はっ!?」

俺は見覚えのない部屋…いや見覚えはあるな…

(確か…ヒアルム村の治療室だったっけ?)

そうして、俺はヒアルム村の治療室で目を覚ます。

(なんで俺、ここで眠っていたんだ?確か…オークに…っ!そうだ、俺戦いの最中で!)

「いっつ!?」

気を失う直前のことを思い出し、ばっと身体を起こすが、瞬間全身に痛みが走り悶えてしまう。

「あっ!?シュウくん!?」

その時、扉が開きアルカさんが部屋に入ってきた。

「よかった…目が覚めたんだね…」

そう言って涙ぐみながら側へ来る。

「あっ…アルカお姉さん…良かった無事で…」

そうして、アルカさんの顔を見て安堵する。

「お陰様で…って!それよりもシュウくんの方が酷い状態なんだから安静にしないと!」

「え?そんなに?」

必死になって伝えるアルカさんの様子に動揺しながらそう答える。

「うん…2日も眠ってたんだから本当に心配したんだよ。それとごめんね私のせいで…」

(俺、2日も眠ってたのか…)

話を聞いてそんな事を考えていると、俺が目覚めたことで安堵したのか、アルカさんはウルウルとさせていた瞳から涙が溢れ出す。

「あっ!?あっ!あ、アルカさん!落ち着いて!大丈夫!俺は大丈夫だから!」

そうしてなだめようとしたが身体を動かした瞬間全身に痛みが走り再び悶えてしまう。

「アルカお姉ちゃん、そろそろ準備が…」

そんな時、スーが部屋へと姿を表す。

「あ…」

俺が泣かしたとも取れるような状況を見たであろうスーの表情を見るため恐る恐るスーの顔へと視線を向ける。

「何やったの…」

その顔には軽蔑した人を見るような蔑む瞳があった。

「違う…誤解だ…俺は何もしてない…」

そうして、俺は必死に弁解することとなる。


数分後ーー

「あはは、そんなことだとは思ったよ。」

そうして、病室内にスーの笑い声が響く。

「わかってたんなら心臓に悪いことするな…」

そうして俺はため息をしながら肩を落としていた。

「ごめんねお兄ちゃん。でも、万が一ってことがあるからさ。」

「例えば?」

気になったので聞いてみることにした。

「助けた代わりに俺の命令に従えとか?」

「俺のことをそんなふうに見てたのか?」

そうして、俺は疑いの眼差しを向ける。

「ごめんごめん、今のは冗談。というかお兄ちゃんがそんな酷いことするような人じゃないってわかってるから。」

いつもよりもテンションの高いスーを見て、心配してくれてたんだろうなと感じ心が温まる。

「そうだ2人とも、あの後どうなったのか教えてほしい?」

「うん、そうだね説明しないと。」

そうして、先に行ったスーは村人と合流したこと、オークとの戦闘はカーマインさんが合流してくれたことで撃破出来たこと、そしてその後意識を失った俺や怪我をしたアルカさんを治療室するため村に戻るのではなく近くのヒアルム村へ戻ってきたこと、それを聞いてスーも村人と共にヒアルム村へとやってきたことを説明してくれた。

「そうだったんだ…」

「うん。だからみんな無事帰って来ているよ。」

「そっか…よかった…」

2人の話を聞いて安堵していると部屋の扉へ影が見える。

「おーい、アルカちゃん?そろそろ準備再開する…って!?シュウ!?よかった目が覚めたんだな!!」

アルカさんを呼びに来た部屋に来たであろうドルクさんだったが、俺が目を覚ましたことに気づき驚く。

「って、2人共気づいてたんなら早く言ってくれよ。とりあえずみんなに言ってくる!!」

ドルクさんは嬉しそうにそう言って、駆け足でみんなに知らせに行った。


数分後ーーー

(それにしてもやっぱり骨折してたか…)

2人は用事があるということでこの場から離れた後、医師がやってきて、診断結果を教えてくれた。

医者が言うには両腕にひびと右足、あばら骨が骨折しているらしい。

(2人と話している途中、包帯でグルグル巻きにされていることに気づいて、予想してたけど…まさか、ここまで折れてるとは…)

そんなことを考えながら俺は1人ベッドの上で横になっているとドタドタと駆け足で近寄る足音が聞こえ始める。

「おい!目を覚ましたって本当か!」

そうして、ドルクさんの話を聞いたのであろうルディさんが部屋へと駆け込んできた。

「あっ、ルディさんおはようございます…。」

心配させたことを申し訳なく思い苦笑いをしながらそう話している途中、ルディさんは近くによって肩を掴み、

「よかった…本当にすまなかったな。」

と安堵した後、謝罪をする。

「いやいや、大丈夫ですよ。なんなら助けられたんですから…あの時、ルディさん達が来なかったら俺達は死んていたんですから。」

「そうか?そっか、ありがとうな…」

俺の言葉を聞いたルディさんは肩から手を離し一歩離れた後再び話し始める。

「まぁ、謝罪したらお詫びもなしですぐ許してもらえるような気をしていた。ダングの時もそうだったからな。だけど俺たちは凄く申し訳無く思っている。」

頭をかきながら苦笑いを浮かべてそう話した後、ルディさんは真剣な表情を見せる。

「だから、お礼という形で返させてもらう。」

「え?」

謝罪については終わりだと思っていた所、ルディさんの言葉を聞き俺は素っ頓狂な声が漏らす。

「ちなみに準備は終わってるからキャンセルは無しだ。」

そんな俺にお構いなく話を続けたルディさんの表情は笑顔だった。

「…わかりました。」

はいという答えしかない俺はそうルディさんに答える。

「うん、それじゃあ話が終わった後、外に来てくれ絶対な。」

「はい…ん?話が終わったら?」

ルディさんの言葉に疑問が浮かび起き上がり質問しようとした時には扉は閉まりルディさんの姿見えなくなっていた。

(…どういうことだ?)

ルディさんの言葉の意味を考えていると再び扉が開きある男性が入ってくる。

「おっ…お父さん…」

そこに立っていたのはカーマインさんだった。そして、無言のまま俺の方へと近づいてくる。

「っ…」

約束を破ってしまったことを申し訳なく思っていたことから顔をはっきりと見れず横にそらしてしまう。

静かな部屋にコツンコツンと響く足音は俺の目の前で止まる。

そして…

頭にふわっと柔らかなな優しい感触が広がる。

(え?)

「ルディさんから聞いたぞ、頑張ったらしいじゃないか。偉かったな…」

その言葉を聞いて頭を撫でられたということに気づく。

「うっ、うん…」

正直に言うと怒られると思っていたため、驚いてしまう。

(というか、怒られるのにビビるってだいぶ子供っぽいくなっちまったな…)

転生して子供になったことが原因か分からないが年相応の反応を表してしまうことが時間経過と共に増えてきている。

そうして、「本当に無事で良かった…」と抱きしめられた所で我慢ができなくなってしまう。

「ごっ…ごめんなさい…」

そうして俺はカーマインさんに謝りながら泣き出してしまう。

「約束だってしたのに…スーを頼まれてたのに…森にも入らないように言われていたのに…」

「いいんだ。いいんだよ。今回は運が悪かっただけだ…お前は全く悪くない。それどろかシュウがしたことは他の誰にも出来なかったことだ…本当に頑張ったな…」

その言葉を聞き更に涙を流して大きな声て泣いてしまう。

(くそ…恥ずかしいな…)

どれだけ19歳だったシュメールが思っても、この体はシュウのもので涙を感情の高ぶりを抑えることはできなかった。

そうして、ひとしきり泣いた後、俺はカーマインさんと一緒に治療所の出入り口へと向かっていた。

「そういや、お父さん。」

「ん?どうした?」

疑問に思ったことがあり質問することにした。

「どうやって俺たちのこと見つけたの?あの森結構大きかったと思うんだけど…」

「あー、それは魔法だよ探知魔法。」

「あぁ、そっか探知魔法。それなら見つけられたのも納得だね。」

そうして話をしていると出入り口に到着する。

「さて、それじゃあ開けるがいいか?」

「うっ、うん。いいよ。」

何が準備されているのか緊張しながら、カーマインさんの言葉に了承する。

「よし、わかった。」

そうしてカーマインさんが扉を開くと、そこには広場いっぱいに広がる料理や、スーやアルカさん、村のゴブリンによる暖かい拍手が俺とカーマインさんを迎えてくれる。

「どうやらみんな揃ったみたいだね…さぁ、祝の宴だ!シュウたちもめいいっぱい楽しんでくれ!」

そうしてオーク討伐と俺たちへのお礼を込められた宴が始まった。


賑やかに村人と話をしながら食べる食事やルディさんやカーマインさんたちによる芸を見て楽しんでいた。

ここに来たばっかの時に見えた悲しい表情が嘘のように笑顔だけが広がっていた。

しかし一点だけ疲れてしまった。というのも食事を取ろうとした時に、スーとアルカさんが無理しちゃ駄目とお礼も兼ねて強制的に食べさせられる形となったのだ。2人に食べさせられるだけでも恥ずかしいのに、更に2人が闘争心を燃やしたのかどんどんペースが上がり口の中が読み込めるか飲み込めないかの瀬戸際まで詰められてしまった。


宴も落ち着き始めた頃、俺はルディさんに呼ばれカーマインさんと一緒に3人でみんなを眺めながら話をしていた。

「どうだ?シュウ楽しめたか?」

「うん。」

「そっかよかったよ。」

そうして、ルディさんは満足そうな笑顔を向ける。

「正直に言うとな、俺はこの村を捨てないといけないんじゃないかと考えていたんだ。」

「え?」

突然の発言に驚く。

「この村は大好きだ。だからできるならこの村で過ごしたかった…だけど、オークが現れどんどん食料問題が深刻になって、村の奴らも辛そうな顔をしていた。」

真剣な表情で話すルディさんの言葉を静かに聴く。

「勿論討伐が出来ないかも考えて、進めていたが現実的じゃなかったんだ。だからこうしてみんなで…それも人間と一緒になんの気兼ねなく宴ができている今があるなんて想像も出来なかった。シュウと出会わなければ見ることの出来なかった景色だ。本当にありがとう。」

「うん。力になれてよかった。」

そうして俺は照れくさくなりながらも素直にお礼を受け取ることにした。

「ちなみにだ。」

「?」

「宴だけじゃお礼が足りないと思っている。だから色々と片付けてからだが、週3ずつぐらいで俺とドルクがサゴイ村の門番とかすることになったからな。よろしく。」

「あっ、そうなんですね…ん?」

(え?今なんて…ルディさんとドルクさんがお礼で村の門番をする?)

出てきた話に困惑しながらも整理していると、

「ちなみにこれはカーマインと話し合って決めたことだから覆せないぞ。」

「え!?お父さん!?」

追加情報が投下され、動揺しながらカーマインさんの方へと向く。

「凄い熱量だったから了承しといた。それに2度もお詫び無しに許されてしまったから罪悪感を解消することが出来なかったらしいぞ。」

「ルディさん…」

そうしてルディさんの方へ顔を向け直す。

「大丈夫なんですか?村のこととかは…」

「あぁ、別に俺がいなくても普通に回るからな。それぐらいにはもう、問題は解決し

てある。俺がいない時のトラブルについてはドルクがいるから何とか出来るしな。」

(あっ、だめだこれ、隙ないやつだ…)

どうにか話をなかったことにしようと思ったが、外堀というか逃げ道は完全に断たれていると悟った俺は、

「よ…よろしくお願いします。ルディさん。」

と話してルディさんと握手した。

その後も暫く宴に参加していたが、そのうち眠気が勝り眠ってしまった。

そうして、夜遅くまで行われたパーティーは終わりを迎え、次の日になる。


次の日ーー

いつまでも滞在することは理由にはいかないないということで昼頃、俺たちは出発することとなった。

他の住民からありがとうと感謝の言葉や頑張れと応援、また来てねと沢山の言葉をもらったり、色々話をした後ルディさんと話をしていた。

「それじゃあ元気でな。」

「うん。ルディさんたちも。」

「ってなんか俺がこれを言うのも変だな。」

「はは、そうですね。」

そうしてルディさんと笑い合う。

「でもまぁ、色々と片付くまではしばらくこちらでいるつもりだ、良ければ村へ遊びに来てくれ。俺も、みんなが喜ぶからな。」

「はい、是非。」

そうして、ルディさんとの会話が終わり、カーマインさんとルディさんが話し始めた頃、隣では…

「え?こんなの貰えないよ!」

「いいのいいの、昨日キレイって言ってくれたでしょ?それが嬉しかったのよプレゼントさせて。」

「そっ、それじゃあいただきます。」

と、仲良くなったセルベールさんからお手製のネックレスをもらっていた。

「それじゃあそろそろ出発しないと夕暮れになってしまうから行くとするよ。」

「そっかわかった。色々ありがとうな。」

「あぁ。」

2人の会話を眺めているとカーマインさんとルディさんの会話も終わったようで帰る事となった。

そうして俺はカーマインさんに背負われながら門を出ると俺は振り返り村の方へと視線を向ける。

そこには沢山のゴブリンたちが俺たちに手を振ってくれていた。

「っ!それじゃあまたいつか!!」

そうして俺が手を振ると、一緒にアルカさんやスーも手を振り始める。

そうして、村がどんどん遠くなり見えなくなるまで手を振り続けた。

「また、行こうね…お兄ちゃん。」

「うん。また行こう。」



そうして、俺たちは3時間かけてヒアルム森を抜けた。

「うわぁ!サゴイ村だ!!」

スーが言う通り、森を抜けた先には村が見えてきた。

(なんか2日しか経ってないのに懐かしく感じるな…)

そう思いながら俺はカーマインさんに担がれスーと共にアルカさんの家へと立ち寄ってから家へと帰路につく。


ーーカージナル宅:玄関ーー

カーマインさんが靴を脱ぐために、玄関に下ろされた所で、

「シュウ、スー!」

という声が家に響いた。

その声に振り返ると、帰りを待っていたカメリアさんが涙を流しながら立っていて、すぐさま駆け寄り俺とスーのことを抱きしめてくれる。

「2人共無事でよかった…おかえり!」

その言葉を聞いて、俺とスーは笑顔で頷きあった後、元気に返事をした。

「「ただいま!」」

こうして、スーやアルカさんの誘拐から始まったシュウたちのちょっとした冒険は終わり、いつもの日常が帰ってくる。

ここまで見ていただきありがとうございました!

これにて第1章完結…というわけではなくもう少しだけ続きます。今回でヒアルムの森編は終わりですが、引き続き見ていただければ凄く嬉しいです。それでは!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ