チャプター17「終結」
ゴブリンとオークの戦いから始まったヒアルムの森の戦いはシュウの奇抜な戦法とルディの一撃で終結を迎える。
「シュウ、無事か?…って無事な訳ないよな。」
「あはは、うん全身痛くてあまり動けない。」
心配してくれるルディさんに対し、申し訳ない気持ちを抱えながら返事をする。
「たく、そんな状態なら下がれってんだ。死んだらどうするんだ…」
「そうですよね…すみません。」
更に申し訳なくなったためルディさんに謝った。
「おう。というか、お前がいなかったら俺たちは勝てなかっただろうから言えない立場ではあるんだけど。本当に助かったよありがとう。」
「いえ、俺たちも助けてもらったのでありがとう。」
そうして互いにお礼を言った後、「あはは」と2人で笑いあった。
「さて、それじゃあそろそろ行こうこんな所に長居をしていると風邪を引いてしまう。」
そう言ってルディさんは体を起こし肩へ手を回す。
「うん、ルディさん帰ろう。」
そうして、肩を貸してもらいながら立ち上がり、アルカさんとドルクさんの元へと歩き始める。
アルカさんの方もドルクさんが水で濡らした布で固定してくれて、普通に歩く程度であれば難なく出来るよう応急手当をしてくれていた。
そんな2人の元へともうすぐ到着するという所でドルクさんの表情が変わる。
「逃げろ!!」と言う声掛けと共にルディさんが俺のことを突き飛ばす。
「え!?」
話に追いつけない俺はそんな声を出しそのまま倒れそうになる。
その次の瞬間ズドンという音と共に地響きが起こり、俺は何かに押し出され吹き飛ばされる。
「ぐぁ!?」
「きゃぁぁぁ!?」
近くで立っていたアルカさんも地響きで地面へと倒れる。
そして、吹き飛ばされた俺は突っ伏す形で地面に倒れたが、何が起きたのか確認すべく顔をあげ先程までいた場所に視線を向ける。
「一体何が…」
そこには土埃と何かの影が見える。
しかし、それよりも気になったのは地面に倒れ動かないドルクさんだった。
「っ!ドルクさん!!」
近づこうとするが、身体が痛み動くことができない。
そうして、何も出来ず暫くすると土埃の影が姿を表す。
そこにいたのは剣を構えるルディさんと倒れたはずのオークだった。
「なっ!?なんで…」
(なんで…フェザーオークなんていやがるんだよ!!)
目の前にいるその姿を見て心の中で叫ぶ。
※フェザーオーク
オークの上位種で瀕死になると体を変形させる。オークよりも倍の能力値を誇る。
ーーヒアルムの森:ルディサイドーー
「ココまで追い詰められるとは思わなかっタゾ。だが、もうこれでおしまイダ。」
「っ…それはどうかな…」
(さっきシュウが言っていた増援が来るまで絶対に耐えてやる…)
そうして俺は時間稼ぎに徹する。
「しかし、どうしてフェザーオークがこんな所にいるんだ?お前らの住処はガイアラ洞窟だろ。」
「サァな、今から死ぬお前たちには関係のないこトダ。」
「つれないなぁ…っ!」
そう言った次の瞬間不意を突き俺はオークに攻撃を仕掛る。
「何!?」
しかし、攻撃は空を斬り、そこに居たはずのオークの姿はなかった。
「ソンなもノカ…」
(…やはり早い!)
オークはいつの間にか後方へと回り込んでいた。
「っ!!」
そして、俺は咄嗟に剣を後方へと振り攻撃しようとしたが、腕を掴まれそのまま投げ飛ばされてしまう。
「ぐっ!!」
そのまま壁に激突し地面に突っ伏してしまう。
(くそ…急がないと2人が…)
ーーヒアルムの森:シュウサイドーー
ルディさんが吹き飛ばされた時、俺は何も出来ずただ地面に突っ伏して見てるしかなかった。
「っ!!ルディさん!!」
そうして、ルディさんの方へ視線を向けるとそこには立ち上がろうと必死になっている姿が見え、
(良かった…まだ意識はある…)
と安堵する。
しかし、俺の状況は芳しくなかった。
何故なら…目の前にオークがいるからだ。
「サテ、お前はどうしてやろウカ。オマえには恨みが出来たかラナ…」
ニヤニヤしながらオークは俺の目の前にしゃがみ込む。
「オマえに決めてもらうことにすルカ。ドウスル」
「好きにしやがれ。」
(今こいつから逃げる術はない…もう…)
そうして俺が諦めかけた時、オークへ何がぶつかる。
「ン?」
オークが振り向く先へ俺も視線を向けるとそこには体を震わせながら石をかき集めオークにぶつけているアルカさんの姿があった。
「何やってんだ!!逃げろ!!」
「そんなのできない!!私より年下の子が頑張ってるのに私1人逃げれるわけないでしょ!!」
(っ!!くそ…言葉だけじゃアルカさんは動かせない…)
歯を食いしばり悔しがっていると、
「ソウかそウカ…」
とニヤニヤした顔をしながら立ち上がりアルカさんの方へと向かい始める。
「おい!!俺に恨みがあるんだろ!!先に殺れよ!!」
「シラないな、死にたがりやの要望に応えたいだけダヨ。」
(駄目だ、駄目だ!!)
「早く!!早く逃げてくれ!!」
痛みを忘れ必死に腕へ力を込め動かない身体を引きずり前へと進む。
「ひっ!?」
恐怖に怯え、逃げることもできないアルカさんは後ろに後退りながら石を投げ続ける。
「へへ、嬢ちゃんそんなんじゃ俺には何も効かないぜ?」
「やめろその子から離れろ!!」
遠くからルディさんも声をあげるがオークは止まらない。
(くそ…間に合わない!!)
必死に進むがオークとの距離はどんどん離れる。
「きゃ!?え?はっ!?」
アルカさんは後退りオークから距離を離していたが、木にぶつかり後へと逃げれなくなってしまう。
「ナンだもう鬼ごっこは終わリカ?タクしょうがねぇナァ。」
「きゃあ!?うわ!あっ!」
そう言ってオークにアルカさんは持ち上げてしまう。
「サテ、どうしようカナ。」
「はな!!離してよ!!やだ!!」
終始ニヤニヤしながら持ち上げるオークに対し、アルカさんは必死にもがくが逃げられない。
「ナニがいいだロウ…マズは少しづつ握り潰して絶叫を聞いてみよウカ」
(やめろ!!)
必死に進み少しづつ距離を詰めるが追いつけない。
「ぎゃあ!?!?痛い痛い!!」
森中にアルカの絶叫が響く。
(やめろ…やめろ!!)
「イイ声で鳴くじゃなイカ…モッと試したくなってきタナ。」
(やめろ!!やめろやめろ!!)
その時、血流と共に何が身体を移動し始め、必死に伸ばした右手へと集まる。
「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
そうして、シュウの怒りの咆哮と共に右手から風が竜巻が発生し、
「ナニ!?グァァァアア!!」
油断仕切っていたオークを吹き飛ばす。
「はぁはぁはぁ…」
必死だった俺は力を使い果たし地面から離れることが出来なくなる。
何にも考えられない思考の中、「ユルサン…」と聞こえたのを最後に意識が途絶える。
ーーヒアルムの森:ルディサイドーー
シュウが発生させた魔法によりアルカは助けられ、オークは吹き飛ぶ。
しかし、魔法に弱いオークだとしても倒すまではいかなかった。
「ユルサン…ユルさんぞこのガキガ!!」
そうして、怒りのままシュウに突っ込むオークの前に俺は立ちはだかる。
「はぁ…はぁ…これ以上好きにはさせない…」
肩から息を吸いながら、ふらつく身体をささえながらそう、オークに言う。
「ソンなボロボロになった身体で何ができるんだろウナ!!」
そうして棍棒を振り上げたオークの姿を見て覚悟を決めたが、隣に立つ誰かが棍棒を片手で抑え攻撃を防ぐ。
(だっ…誰だ…)
そこには赤髪のアップバングの青年いや壮年?の男性が立っていた。
「どういう状況だ?」
そして、俺に剣を向けつつその男性はそう言葉をもらす。
その時、アルカが必死に、
「ちょっと待って!!カーマインさん!!この人たちは味方!敵はオークなの!!」
と男性へと伝える。
「っ…すまなかったな。」
「いっ、いえ…」
アルカの話を聞き、状況を理解したカーマインと呼ばれた男性は俺に向けた剣を下ろし、謝罪をする。
「それじゃあ…とりあえずこいつを殺せばいいんだな?」
そうして、男性はオークへ睨みつける。
その男の威圧に負けたのだろうオークは後退るが、すぐにカーマインへと攻撃仕掛る。
「ナッなめるナヨ!ハァぁァァ!!」
「遅い。『ボルトアックス』」
しかし、それよりも早く発生した雷魔法を受け、グォォアァァァアという雄叫びをあげ事切れる。
(つ…強いそれに今の魔法は…)
カーマインが発生させた魔法を見て動揺していると、
「すまないがここじゃなく、落ち着いた場所で話をさせてくれないか?2人も安静にさせてやりたいし、色々と聞かせてもらいたいことがある。」
とシュウを背負ったカーマインから申し出を受ける。
「あっ、はい…それじゃあ俺たちの村へ来ませんか?」
「村?」
俺の言葉を聞いて首を傾げている。
「えぇ、すぐそこにゴブリンの村があるんですよ。」
「それじゃあ寄らせてもらうよ。2人の治療も可能か?」
「えぇ、大丈夫ですよ。治療室もあるので使ってください。」
「良かった…ありがとう。それじゃあ急いで向かおう。」
そうして、俺はドルクを、カーマインはアルカとシュウを背負って村へと戻る。
皆何とか無事に帰還することができ、
こうして本当にオークとの戦いが終わる。
ここまで見ていただきありがとうございました!
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