チャプター13「救いだせ!」
2人の救出のため、ルディやドルクと共に犯人である可能性が、高いダングの元へ向かうシュウ。
果たして間に合うのだろうか...
ーーゴブリン村:ダング宅前ーー
「着いたぞ!」
そうして、俺たちは5分かけてダングと呼ばれるゴブリンの住処である洞窟へとたどり着いていた。
「ここが…」
(無事でいてくれよ2人とも…)
「さて、どうするか。魔法を使って突っ込むか?」
ドルクさんそう言って扉を指さす。
「いや、やめておこう。もし、違ってたら悪いし、可愛そうだ。」
「それもそうか…」
そうして、あははと頬を掻きながらドルクさんは話す。
「じゃあ、呼び出しますか?」
「そうだな。」
ルディさんの返事を貰い。ドアノッカーをゴンゴンと叩く。
「…」
「…出てきませんね。」
「そうだな…」
数十秒待つが中からは物音1つ聞こえない…
「どうします?」
「もう1度叩いてみよう。それで出なかったら扉破壊も考えてみよう。」
「そうだな。」
「じゃあ鳴らしますね。」
そうしてもう1度ドアノッカーを叩こうとした瞬間「もうやめてください!」という声が響き渡る。
「アルカさん!?」
「おい!」
「わかってる!!ボウズ!そこをどけ!」
「う、うん!」
そうして、俺がドアから離れたことを確認したドルクさんは「スパイラルエア!」と風魔法を発動させドアを破壊する。そして、その勢いで目の前には土煙が上がり視界が奪われる。
「っ!」
「おい、シュウ!一人はまずいって、たくあいつ!」
2人が土煙が晴れるのを待ってる中、俺はルディさんの忠告を聴かず家の中へと飛び込む。
抜けた先には誰もいないリビングがあった。
(流石に入口付近にはいないよな…)
そして部屋の中を確認して奥に通路があることに気づき、走り出す。
通路を進むにつれ、アルカさんが懇願する声がだんだんと大きくなる。
そして、2度の角を曲がり洞窟のような通路を走り続けていると、視界の先に髪を鷲掴みにされ引きずられているスーの姿を見つける。
「っ!その手を離せ!!」
そして、俺は怒りのまま、声に気づきこちらに顔を向けたゴブリンの顔面に拳をぶつける。
その拍子にゴブリンはスーの髪を手放しそのまま後方へと倒れる。
「大丈夫かスー?」
ゴブリンへの警戒はそのまま、チラっと周辺を見て2人の状態を確認する。
「う…うん…痛いけどなんとか…」
(2人とも怪我をしている…早く手当してやらないと…)
「いっつ…なんなんだ一体…」
「っ!」
そう言って仰向けに倒れていたゴブリンは上半身をあげ、
「ってなんだ、ガキかよ…」
とこちらに視線を向け俺の姿を見た後、安心しながら立ち上がる。
「それでガキなんの用だ?俺の昼食を邪魔しやがって…」
「俺はこの2人を連れ戻しに来ただけだ。お前の事情なんて知らねえよ。」
そうして剣を鞘から抜き出し戦闘体勢を取る。
「連れ戻す?何を言ってんだ、俺の怒りを買った時点でお前の選択肢は死しかないんだよ。」
ゴブリンも同じく構え、戦闘体勢を取る。
力では勝てない…なら速さで…先手を取るんだ!
「っ!」
そうして先に踏み出した瞬間、「そこまでだ!」と言う声が響き、俺は足を止める。
後方から聞こえる声に視線を向けるとそこには魔法の構えをするドルクさんとルディさんの姿があった。
「なっ!?なんで長がここに…」
「情報を貰ったんだよ。2人の子供を連れ去ったゴブリンがいるって。そこにいる少年にな。」
「俺の昼食を邪魔しやがって…」
目の前のゴブリンはそう言って俺のことを睨みつける。
「魔法の発動準備はもう終わらせている。変な動きをしたら放つ。大人しく捕まれ。」
「まぁ、村の掟を破ったお前には重い罰が待っているがな…」
「っ…」
そうして、目の前のゴブリンは降参という意思表示に手を上げる。
「…。ふぅ…」
それを見て、俺は構えていた剣を鞘に戻し警戒を解くと、2人のことが心配になって振り向く。そんな時…
「お兄ちゃん!!」
という声と共にスーが突撃してきた。
「うわ!?とと…」
そう驚きながらもスーを受け止める。
「よく頑張ったなスー。ごめんな。倒れが目を放したばかりに…」
「うんん、大丈夫。助けてくれてありがとう。」
そうして安心したのか涙を流すスーを泣き止むまで腕の中で抱きしめ、その後ドルクさんと会った家へと戻る。
ーールディ宅ーー
話をしたいということでルディさんとドルクさんそして、俺の3人は部屋の中で向かい合っていた。
ちなみにスーとアルカさんは村の医療所で怪我の治療をしている。
「まずは俺の村の住民がこんなことをしでかしてしまったことを村の長として謝罪する。すまなかった。」
静かな部屋の中、初めに話し始めたルディさんはそう言って頭を下げる。
「貴方と会えていなかったら2人を助けれていなかったかもしれないんです。だから、頭を上げてください。」
「いや、しかし…」
頭を下げたまま申し訳無さそうにルディさんは話す。
「恩人に頭を下げさせていたらスーが怒るだろうし、俺も嫌なんです。だからお願いします。」
「そうか…わかった…。」
そうして俺の言葉を聞いて頭をあげる。
「それにしても、本当に村長なんですね…」
「あれ?言ってなかったか…?」
顎に手を当て、首を傾げながらルディさんは話す。
「えぇ。ここに来てから知りました。」
「はは、すまないな。でも、長として今回の事件本当に不甲斐ないよ…先に原因を省けていればこの事件は起こらずに済んだんだから…」
「…」
肩を落としながら話したその内容を聞き、ここに来た時ルディさんが話していた話を思いだす。
「それって、荒らされてたって話と関わってきますか?」
「よく覚えていたな。その通りだ。」
「一体何が…」
「実は今、この村は食糧難なんだ…」
「そして、今月でその問題が発生してから6ヶ月が経っている。」
ルディさんはそう言いながら頭を抱え、タングさんが具体的な期間を話してくれる。
「勿論対策は考えてはいたが、成果は芳しくなかった。みんな我慢してくれているけど、もう限界も近いだろうと思っていた。そして、その結果が今回の事件だ…」
「飢餓状態になり、掟である【人間に危害を与えない】破ってしまった。ダングにも、サゴイ村の住民にも申し訳ないと思っているよ…」
そう言ってルディさんは申し訳無さそうに話してくれる。
「ちなみに何が原因かわかっているんですか?」
「…。わかるにはわかっているんだが…」
そうしてルディさんは言い淀む。
「隠していると帰るときシュウたちが危険になるかもしれないぞ?」
「…それもそうか。」
そうして、はぁ…とため息をついた後、話し始める。
「ここ数年、ヒアルムの森は何ともない平和な森だったんだが6ヶ月前突如、森にオークが発見されたんだ。そして、それから1ヶ月でヒアルムの森の生態系を破壊していった。」
「もともといた、魔物たちは森の各地に隠れ、オークに見つからないよう過ごしているんだ。シュウくんもここまで来る間殆ど魔物にあってないんじゃないか?」
ルディさんの現状の話にドルクさんが補足してくれる。
「そういや、スライム一匹しか遭遇しなかったですね…」
思い返し、ルディさん以外ではスライム一匹としか遭遇していないことを思いだす。
「そうだろ?そして、俺たちゴブリンも同じく見つからないように村で過ごしているんだ。だけど、俺たちの食糧である樹の実は、村でも育てることはできるが少量で足りないんだ。だから森に植林所を作っていた。」
「それが荒らされてしまっていたと…」
「あぁ、何箇所かあるんだが、徐々に見つかって好き放題されてるんだ。」
そう言いながらルディさんは指をさす。その先にはヒアルムの森の地図があり、木のマークが何箇所かあるのと共にバツがついた木のマークも複数あった。
「もっと力があれば…追い返すこともできるんだろうがなぁ…」
悲しそうにそうルディさんが話したその次の瞬間、ドゴン!と破裂音の様な音が村中に広がる。
村中に響く謎の破裂音...
果たしてゴブリンの村で一体何が起こっているのだろうか...
ここまで見ていただきありがとうございました!次回も良ければ見ていってください!




