チャプター11「日常Ⅱ」
ある朝、いつも通りシュウはスーについていき、友達と遊ぶスーの見守りをしていた。
俺は魔法の本を読みながら、スー達の様子を見守っていた。
(そろそろかな?)
そう考え、公園の入口付近に視線を向けるとそこには大きな荷物を持ったおばあちゃんが歩いていた。
「来たみたいだからちょっと行ってくるな。」
「うん、わかった!」
スーにそう話し、返事を聞いてからおばあちゃんの元へ走り出す。
「タニアおばあちゃん手伝うよ。」
「あら、シュウくん。いつもありがとうね。」
「うん、いつでも頼ってよ手伝うから。」
そうして荷物を受け取り、タニアおばあちゃんの家へと向かう。
ーー公園内ーー
いつも通り、タニアおばあちゃんのお手伝いに行くのを見送り、友達の方へ振り返ると羨ましそうに私を見ていた。
「なっ、なに?」
「いやー、あんな優しいお兄ちゃんがいていいなぁって思って。」
フーちゃんは目をキラキラさせながら話していた。
「ほら、あんな風に本読んでるけど、この前ボールが転がった時は転がり始めた時には立って近づいていたし。ずっと見てるみたいだよね。」
「それだけ、心配してくれてるし、本当に妹思いだよね。スーが羨ましいよ。」
「えへへ、いいでしょ。」
羨ましがるフーちゃんとアルカお姉ちゃんに私は笑顔で答える。
「ズルい!私のお兄ちゃんにする!」
「私も私も!弟に欲しい!」
「それは、駄目でーす!」
「えー!」「えー!」
そうして、同い年のフーちゃんと2つ上のお姉さんのアルカお姉さんと冗談交じりに楽しく会話をする。
そんな時、「あっ」っとアルカお姉さんが言い走り出す。
その進行先を見るとローブを被った人が倒れていた。
フーちゃんもそれに気がついた様子で目配せした後、一緒にアルカお姉さんの元に駆け寄る。
ーータリアおばあちゃん宅ーー
5分後。
「よいしょっと。」
タリアおばあちゃんの家に着いた俺は荷物を置いた後、その荷物の中身を取り出し収納していた。
「さっきも言ったけど、いつもありがとうね。」
「全然大丈夫だよ…っておばあちゃん、これ何処に置く?」
「あー、それじゃあ、そこに置いてくれるかのう。」
「うん、任せて。」
そうしてお手伝いを続け、終えた後に時計を確認すると5分程経っていた。
「ふう、それじゃあおばあちゃん俺は公園に戻るね。」
「あっちょと待ってね。」
そう言ってタニアおばあちゃんは冷却装置が搭載されている箱に手を伸ばし中を漁る。
「シュウくん、おまたせ。これでも持っていきな。」
そして何かを見つけたタニアおばあちゃんはこちらへと戻ってきて果物のジュースを差し出してくれる。
「え?いいの?」
「ええ、いつも親切にしてくれるお礼よ。妹ちゃんたちと飲んでおいで。」
そうして笑顔で手渡してくれる。
「うん、ありがとう!」
貰わないほうが失礼だと思い、子供のように元気にお礼を言って受け取り、公園へと戻る。
ーー公園ーー
みんなの分のジュースを抱え公園へと戻って来るとフーちゃんことフールが公園の真ん中で座り込んでいた。
「おーい、フール!どうしたんだ?というかスーたちは...」
とフールの元へと近づくと涙を流していることに気づく。
「ど!?どうした!?」
そうして、手元に持っていたジュースを手放し涙を流すフールの元に駆け寄る。
「おっ…お兄さん…ヒック…スーちゃんが…ヒック…ヒッ…アルカお姉ちゃんが…!ヒック…おっ…っに!ヒック…ヒック…れ…れ…!」
「うん、大丈夫だ落ち着け。」
嗚咽混じりに泣きながら必死に伝えようとするがフールだが、聞き取ることができない。
(一体何があった…2人は…くそ!離れなければ…)
内心焦りながらもフールをより動揺させないため、平常心を装いながら話せるようになるのを待つ。
「ヒックヒッ!ごっ、ごめんなさい…」
「大丈夫だ。落ち着いて2人がどうしたのか答えてくれ。」
「ヒック…ヒックヒッ、2人が…」
「うん…2人が?」
「ヒック…ゴブ…ンに…ヒック…攫わヒックヒック…れた…の!」
「っ!!!」
フールから無理に紡がれた言葉を聞き血の気が引く。
「何処に行った!」
「ヒック…森に…」
そうして、フールはヒアルムの森を指さす。
(っ!今ならまだ時間は経ってない…間に合うかも!!)
そうして走り出すが、冷静に考えすぐに足を止める。
(いや、駄目だ…こんな状況のフールをおいていけない。それに追いつけるかも…だけど、それじゃ今の俺じゃ返り討ちになる…そうだ!)
そうして、フールの元に近づく。
「フール、ここじゃまた何が起こるかもわからない。移動するぞ。」
「うっ…うん…でも…立てない…」
(腰が抜けたのか…でも、仕方ないよな怖いことがあったばっかなんだから。)
「緊急事態だから許してくれよ!」
「えっえ!?」
そうして、困惑するフール前から抱きかかえ俺はある場所へと向かう。
ーータニアおばあちゃん宅ーー
「タリアさん!!」
そうして、先程までいたタニアおばあちゃんの元へとやってきて、扉を勢いよく開く。
「あらあら、さっきはありが…って、どうしたのそんな血相を変えて!?それにフールちゃんも!?」
俺とフールの様子を見て2度驚くタニアおばあちゃん。
「ごめん詳しくはフールから聞いて、けどとりあえずスーとアルカお姉さんがゴブリンに攫われたらしい!」
「なんですって!?」
抱きかかえていたフールをおろしながら話す。
「俺はこのままヒアルムの森まで追いかける。タリアさんはお父さんとか誰か戦える人を呼んできて!!」
そうして、フールに「大丈夫だ、なんとかするから安心しろ。」と伝え、森へ向かって走り出す。
「ちょっと待ってシュウくん!危ないから大人に任せなさい!シュウくん!!」
タリアおばあちゃんの静止を無視してそのまま森へと向かう。
(無事でいてくれよスー…アルカさん…)
ーーヒアルムの森ーー
「はは!やっちまった!やってやった!!久しぶりのエサだ!!」
喜びながら森を駆け抜けるゴブリン。その脇にスーとアルカが抱えられていた。
(どうしよう…何か…何かしないと…)
振りほどこうとしたもがいたが結局ゴブリンのパワーには勝てずされるがまま。
何かないかと考えるができることが思いつかない。一緒に攫われたアルカお姉さんに視線を向けると号泣している。
(こんなことになるなんて…)
そうして、先程のことを思い出す。
10分前...
倒れたローブを被った人の元へ駆けつけたアルカお姉さんが声をかけている最中私たしは後ろで心配しながら待っていた。
「大丈夫ですか?声聞こえます?聞こえてたら返事をください。」
「あぁぁぁぁ…めしぃぃぃ…」
ずっと「あぁぁぁぁ」としか聞こえてこなかったが、初めて飯と別の言葉を聞くことができた。
「ご飯が欲しいんですね?フー、ベンチにある私のカバン持ってこれる?中におにぎりが入ってるの。」
「うっうん、わかった。」
フーちゃんにそう話した後、アルカお姉ちゃんは私に視線を向ける。
「私の力だけじゃ起こせないからの手伝ってくれない?」
「うん、任せて。」
そう言ってアルカお姉ちゃんの反対へ回りローブの人を挟んだ形で手を背の後ろに回し起き上がらせる。
「めし…めし…」
起き上がらせたのはいいものの、ずっと定期的に「めし…」と言い続けている男性〔声から想定❳を不気味に感じる。
「近づいて本当に大丈夫なの?私、嫌な感じがする…」
「こらこら、そんなこと言ったら失礼でだよ?お腹を空かせてるからこんな感じなんだよ。」
「そうかな…」
「うん、そうだよ。」
そんな時、男性?が声を出す。
「子…の……ス?」
「え?」
何を言ったのか聞こえず言葉をもらす。
「アルカお姉ちゃんこれー?」
そんな時、遠くからカバンを持ってきたフーちゃんがアルカお姉ちゃんに大きな声で確認する。
「うん、それだよ!」
という言葉を聞いてフーちゃんはこちらへと走って戻ってきたと思うと先までフールがいた場所と私達がいる場所の中間程で立ち止まる。
「ん?どうしたの?」
疑問に思い質問するが、フールは顔を青ざめさせ、体をガクガクだけで、返事はできない様子。
「ちょっと大丈…」
心配になり、駆けつけようとした瞬間、後ろへと引っ張られる。
「きゃ!?」
そのまま、転倒し原因を見るべく後ろへと視線を戻すとそこには…
(ゴブリン!?そんな!?)
腕を振りほどこうとするが力負けして、解けない。
(こうなったら魔法でっ!!)
そうして魔法を発動させようとゴブリンに手を向ける。
「魔法か!?」
そうして、驚いたゴブリンはアルカお姉さんを地面に叩きつけ、足で動きを封じる。
「ぶっ飛べ!!」
そうして、魔力を手に集め放とうとするが何にも起こらなかった。
「っ?」
そうして、ゴブリンは魔法を防ぐために上げた腕を下げる。
(駄目だ、今の体じゃまだ魔法が使えないんだった!)
咄嗟のことで前世の魔法を使おうとして、失敗してしまう。
「ははは!なんだよビビらせんじゃねぇよ!」
そうして高笑いするゴブリン。
そして、ゴブリンは私とアルカお姉ちゃんを掴み抱えあげられる。
「ちょっと!!離してよ!助けてお兄ちゃん!!」
そうして私とアルカお姉ちゃんは連れ去られてしまった。
現在...
(抵抗しても無駄…それなら別で何かを考えないと…)
そうして、不意に自身の足が視界に入る。
(…そうだ!ものを少しずつ落として居場所を伝え続ける!これしかない。)
そうして、片方の靴を落とす。
(お願い気づいて…)
頭にシュウを思い浮かべ見つけてもらえることを願い続ける。
連れ去られてしまったスーたち。果たしてシュウは見つけ出すことはできるのだろうか…
ここまで見ていただきありがとうございました!良ければ次回も見て行ってください。




