序章Ⅰ「出会い」
ある村になんの意欲もない少年が住んでいた。だけどある日訪れた冒険者たちの輝きにやられ…
「ふぁぁ…」
ここは魔王との戦いとも無縁な野高な村【ルカエル村】そんな村で一人の少年が藁の上で寝そべっていた。
少年の名はシュメール・スメル(10歳)ただの村人と村人から産まれた平凡な子供。
見た目もよくいるようなモブ顔。
服装も村で作られた羊の毛を使った服、尖ったことは全く無い平凡な子供だった。
そんな少年は今「何もすることないなら牧場の掃除でもしなさい!」とお母さんに言われ来ていた。
「何やってんだ本当に。」
「うるさいやい、何もやることない村だから何にもやりたいことが思いつかないんでしょ。」
「村のせいにするんじゃない。」
そうしてげんこつを落とされる。
彼は俺のお父さん、毎日やる気のない俺のことを叱らなければならない苦労人だ。
「お前はいつになったらやる気がでるんだ…」
「さぁねぇ。」
手の平を上に向けながら手を上げて首を振りやれやれと仕草をしながら話す。
「はぁ…」
お父さんは肩を落としていた。
次の日もその次の日も変わらない1日を過ごし同じ日々を数日が続く。そんなある日冒険者が村へ来日した。
「すっげぇ!かっけぇ!!」
村以外の人と会ったことのなかったシュメールにはその冒険者たちが輝いて見えた。
その後から、シュメールは仕事を早く終わらせ、酒場にいる冒険者達といつも話をしていた。
「こんばんはー」
酒場の扉を開くとカウンター席に4人の冒険者がいつもの様に座っていた。
「おっ、いつも通りだなシュー。」
「勿論だよ!みんなと一緒に訓練できるんだからね!ねぇねぇ!早くやろうよ!」
初めに話しかけてくれた赤髪の男の人がカーマインさんこのパーティーのリーダーなんだって。剣捌きがすごくかっこいいんだよ。
「はは、済まないシュー。俺だけ先に食べてたもんで後にしてくれ。そこのアクアが変わりしてくれるから。」
「おう、いいぜ!アクア様の腕を見せてやるよ!」
カーマインさんの横から話しかけてくれたノリノリの青髪の男の人がアクアさん。魔法使いさんなんだって。
「あ、やっほーシューくん。」
「うん!こんにちは!!」
こっちの元気なお姉ちゃんがローズお姉ちゃん。いつも一緒に遊んでくれる武道家のお姉ちゃんなんだ。
「ふふ、元気そうね。」
「っ!!う、うん…元気…です…」
このお姉さんがこのパーティーで僧侶をしているカメリアさん。白色の綺麗な服に輝く黒髪をなびかせていて、冒険者の中でも一番輝いて見えた。見てるだけで胸がキューって締め付けられて、今でも話す時は緊張してしまうんだ、なんでだろう?他の人たちならこんなことにはならないのに…
そういや村の人たちはせいそ?系で美人さんだって言ってる。
「おいおい、ませてるなぁ。ダメダメお前みたいなガキ〇〇は相手してくれねぇよ。なぁ。」
「ふふ、どうかしらね。」
「え?なっ、何今の反応!?なぁ!なっないよな!」
「ふふ、さてそれじゃあ、オロオロしてるダサい人は放っておいて行きましょうか。」
「そうそうお姉さんたちと一緒に行こう!」
「うん!」
オロオロしているレッドさんを放っておいて僕は2人と一緒に外へ出る。
「ちょっ!?ちょっと待ってくれ!おいていくなよ!!」
そうしてレッドさんも後を追ってくる。
「コラシュメール!カーマインさんたちの迷惑でしょ!!」
料理を持ってくると丁度シュメールがカメリアさんたちと一緒に店から出るところを見かけ、私はそう声をかける。しかし、聞こえなかったのかそのまま外へ出ていってしまう。
「ってもう行っちゃったか、はぁ…いつもごめんなさいねカーマインさん。」
「いいやいいさティリスちゃん、あぁやって、俺たちも息抜きしてるんだから。」
「それに俺たちもあいつには少し期待してるんだ。いい目をしている強くなりたいっていうな。」
「そうなんですかねぇ…こないだまでは何にもやる気がなくて毎日つまらそうにしてたのに。」
そう言いながら私は椅子に座る。
「でもまぁ、今のシュメールの方が生き生きしてていいかな。」
そうしてふふと笑みを浮かべ私は外でアクアさんと手合わせしているシュメールを眺める。
そんな感じで1ヶ月ほど村に滞在しながらカーマインさんたちは依頼をこなしていた。僕もその間、訓練に参加させてもらっていた。だけど…お別れというのはいつかは訪れるものでその時が来てしまう。
「やだやだ!行っちゃやだよ!」
僕は泣きながらアクアさんのズボンにしがみつく。
「困ったなぁ…こういうのに弱いってのに…」
「あはは、良かったじゃん気に入られて。」
「おい、シュー。」
泣いている僕の前にカーマインさんがしゃがみ頭に手を乗せる。
「お前も男だろ?それならここは泣いてたら駄目だろ?ほら約束もしたんだし。なっ?」
そうしてカーマインさんが顔を向けるのに合わせてカメリアさんに顔を見る。
「うん…そうだね。泣くのは止める。僕強くなるって決めたんだから!」
「よし、その調子だ。」
そしてカメリアさんの前に行く。
「約束忘れてないよね!」
「うん、忘れてないよ。」
「絶対に強くなって、カメリアさんの事を守れるような男になるよ!」
「ふふ…待ってるよ。」
そうして小指を絡ませ約束をする。
その後、冒険者…いや勇者カーマインそしてその仲間を見送る。姿が見えなくなるまでずっと手を振りながら。涙を堪えながら。
「…よく頑張ったわねシュメール。」
「うん…僕泣かないって…強くなるって…そして、カメリアさん…そしてみんなを守れるほど強くなるって決めたんだだから…こんなことでへこたれてなんていられないよ…」
「うん…そうだね。」
そうしてティリスお姉ちゃんの腕の中でぐちゃぐちゃの顔を隠す。
2年後ーー
勇者一行と別れて2年の月日が経ち、僕…シュメールは12歳になった。
あれから俺はカメリアさんを守れるような強い男になるため、鍛錬を続けてきた。そして…
「…それじゃあ行ってきます。」
今俺は村の入り口に立ってお出迎えしてくれていた家族や村の住人へ別れを伝えていた。
「シュメール何かあったらすぐに帰ってきてもいいんだからね?」
「うん。わかったよティリス姉さん。ってちょっと母さん、父さん何泣いてるんだよ。」
ティリス姉さんとの別れをしみじみに思っていると隣で大号泣の母さんと父さんいた。
「だって…だって…うぐっ、あんなに無欲だったシューが…」
「自分から…うぐっ、騎士学校へ…うぐっ、行くって決めて…」
「あぁあぁもう、父さん母さん今生の別れってわけじゃないんだから…」
「だってぇぇぇ…」
泣いてる二人を見て正直にこの人たちの子供に生まれてよかったと思った。
「もう…休みの時にはまた帰ってくるからさ。」
「約束!約束よ!」
「勿論だよ。」
母さんと小指を絡め約束する。
「それじゃあ行ってきます!」
そうして声援を背中に受け村を出発する。
無欲だった私達の子供が夢に近づく為この村を旅出る。
「シュメール…」
「本当に成長したな。アイツ…」
「えぇ、この2年あの子は輝いていたわ、だからこそ、いつまでも泣き続けるわけにはいかないわね…」
額を伝う涙を手で拭い、息子の姿を焼き付ける。
「あぁ、夢の為にアイツは頑張ってるんだしっかりと応援してやらないとな。」
「えぇ、疲れて帰ってきたときに安心できるようにね。」
小さくなる背中を見てどうしても涙が額を沿って落ちる。
「頑張るのよ、シュメール…」
ーー1週間後ーー
王国騎士第2学園、それは王国の西に位置する騎士になるために作られた由緒ある学園、僕はその学園の試験を受けるため【クーゼルト王国】へと向かっていた。
しかし王国までの道のりは長く、2つの村を経由し、更に【ソージャの森】を超える必要がある。足で移動するなら大体2週間と3日ぐらいは必要となる。
まぁ、のんびりと、向かうつもりだったので試験の2ヶ月前に出発したわけなんだが…
まぁ、とりあえずあれから僕は1つの村を経由し、後半日もすれば2つ目の村へとたどり着く筈だったんだけど…
シュメールがのんびり道を歩いていると
グォォォォォォォ!!
という魔物の咆哮が聞こえてくる。
「っ!?」
立て続けに魔物の咆哮が聞こえる。
「魔物同士の合図か?」
何か胸騒ぎがする…
「っ!!」
この世界は現在魔王軍との戦争が勃発している。この辺りで魔王軍の魔族が見られたことは滅多にはない。
だから僕は一人で旅をしている…
だけどもしもってこともあるし…確認だけしよう。気のせいかも知れない…だけど想像通りだとしたら胸糞悪い!
そうしてシュメールは森の中へと飛び込んでいく。
どうもこんにちは桜紅葉です。
どうしても異世界物を作りたくて新作を上げることにしました!!アオとソラどうするんだって?
それはまぁ、ちょっとおいておいてください…あはは…
それで話を戻すのですがまずはストーリーの前日譚ともいえる序章これを3話に分割して投稿していこうと思います。初めはまとめようと思ってたんですけど長くなりすぎちゃったぜw
ということで新作『転生師弟の復讐』楽しんでもらえたら幸いです!それではまた今度!