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短編大作選

定食屋

―ねえねえ、ハトっているでしょ?


――えっ、ああ。いるね、鳥のね。


―どうも、合わなくてね。


――何が? どういうところが?


―いや。だって、ペース乱されるでしょ?


――ああ、公園とかで近づくと、一瞬で飛んでいったりするからね。


―違うよ。鳴き声がだよ。ほーほーほっほーがだよ。


――確かに。一定のリズム感があるからね。合わなくはなるかもね。


―そうそう。BPM156の、超速いロックを脳内で流してるとき。


――そこで、ハトに一定のリズムで鳴かれると、困るね。


―うん。あっ、注文するメニューは決まったよ。僕は、しょうが焼き定食にする。


――じゃあ俺は、から揚げ定食にしようかな。


―えっ、もしかしてハトの話してたから?


――ハトの話から、から揚げが食べたくなる人なんて、いないわ。


―鳥つながりで、連想したのは確かでしょ?


――うん、確か。


―すみません。


―――はい。ご注文、お伺いします。


――から揚げ定食と、しょうが焼き定食をひとつずつ。以上で。


―――はい。から定ワン。しょう定ワンですね。ありがとうございます。少々、お待ちください。


―はい。


――楽しみだよね。おいしいって評判だし。


―ねえ、から揚げウンチク言っていい?


――いいよ。豆知識系は好きだから。


―唐揚げって、最初は、豆腐を小さく切

って油で揚げて、醤油と酒で煮たものだったらしいよ。


――ほーほーほっほー。


―ハトみたいに、納得しないでよ。


――ごめんごめん。いい方のうなずきだから。


―それならいい。


――そう。


―あのさ、さっきハトと馬が合わないみたいな話したじゃん。


――うん。


―でも、単体としては好きな音なんだよね。なんか、すごく癒されるからさ。ねえ、聞いてる? 聞いてないでしょ?


――ごめん。ハトと馬が合わないって言われてから、ハトより馬が勝っちゃって。頭に馬しかいなくなっちゃって。


―いいよ。もう一度、言うね。ハトの、ほーほーほっほーって鳴くのが好きだって話。


――うん、癒される人もいるだろうね。


―あれだよね。後半の【ほっほー】の部分に絶対、ハモリコーラスバトいるよね。


――そうかな。


―だって、後半だけかなり響いてるでしょ?


――そうかもしれないね。


―ハトの鳴き声のBPMって、どれくらいだろう。


――70くらいじゃない。そういうの、詳しくないから。


―じゃあ、から揚げを揚げているときの、音階は何かな?


――知らないよ。

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