表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話

   

 男性にしては高い声質だったので、俺はテナーに配属される。

 運が良かった。同じサークルというだけでなく、パートまで一緒になったおかげで、よこりゅう先輩に可愛がってもらえたからだ。

 大学の合唱サークルには、高校時代に合唱部だった者もおり、当然のように彼らは初心者より上手だったが……。驚いたことに、よこりゅう先輩は経験者ではなかった。大学に入ってから始めたのに、パートソロを担当するほど上達、つまりテナーで一番になったのだ。よほど熱心に練習したのだろう。


「好きこそ物の上手なれ、ってやつだな。お前もすぐに上手くなるよ」

 よこりゅう先輩は笑顔で励ましてくれたけれど、俺自身は、とても「すぐに上手くなる」とは思えなかった。

「合唱は団体競技だ。サークルの練習時間は、野球やサッカーでいえば練習試合にすぎない。だからその前に、たくさんの個人練習が必要なのさ。何の練習もせず、いきなり試合に出るスポーツ選手なんていないだろう?」

 これが彼の基本スタンスであり、飲み会で隣に座ると、いつも同じような話を聞かされた。

 もちろん俺だって、少しは一人で練習してから、サークルの全体練習に臨んでいた。しかし、よこりゅう先輩の練習量は、俺とは桁違いだったはず。彼の歌声を聞くたびに「とても真似できない。先輩みたいになるのは無理だ」と思い知らされるのだった。

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ