マリーとリリーのなかよし家族
東日本大震災を経て、コロナの時代。家族の存在が大きくなっていますね。
マリーは、ぎょろめ。顔の中でとくに目が目立っている。でもマリーは気にしない。
「だって、だいすきなおばあちゃんとおんなじなのよ」って。
マリーは、そばかすだらけ。ほっぺは茶色いてんてんでいっぱい。でもマリーは気にしない。
「だって、だいすきなパパのこどものころといっしょなのよ」って。
マリーは、おちびさん。ミルクをたくさんのみなよと、ともだちのリリーに言われている。でもマリーは気にしない。
「だって、だいすきなおじいちゃんも背がひくいのよ」って。
マリーは、それくらい家族がだいすき。たとえ男の子たちにわらわれたとしても、家族の顔を見るとわすれちゃう。
でもある日、リリーが言った。
「マリー、家族がすきなのはわかるけれど、マリーだけのものってないの?」
「わたしだけのもの?」
「そう。だって、マリーはマリーでしょ」
マリーは、いっしょうけんめいかんがえた。
(この目はおばあちゃんも持っているし、小さいのもそばかすもおじいちゃんやパパもそうだわ。う~ん。わたしだけのものっていったいなに?)
「ねぇ、ママ。わたしだけのものってなにかある?」
ママが言った。
「おばあちゃんのぎょろめとはきはきしたところ、パパのそばかすと勇気があるところ、おじいちゃん背のひくさと器用なところ、全部あるのはマリーだけよ。そして、足が速いのはママに似ている。だいすきな家族が合体したのがマリーなの!だから、マリーはマリーだけ」
「ちがうよ!そうじゃなくって!わ・た・し・だけのもの!」
ママは、そ知らぬ顔をして言った。
「それをマリーは、これからずっとさがしつづけなきゃいけない。絶対にあるから途中で諦めたらだめよ。でもね、マリーはこの世でたった一人しかいないの。たとえ名前が同じでも、かわりがいないそんざいで、それだけで特別なのよ」
マリーは、うれしくなった。
「わたしは、わたししかいないのね!わたしは、わたしだけなのね!そして、そんなわたしのわたしだけのものも必ずあって、それを見つけにいくのね!」
そういうと、マリーはぴょんぴょんしながらリリーの家へかけだした。
「ふふ。嬉しいとするあの走り方も私そっくり。でも、特別恵まれたわけでもないのに自分をあんなにもほこれる。あの明るさ、マリーだけのものだわ。将来はおおものかもね、私たちの宝物、かわいいマリー」
ママは、マリーのせなかにウィンクしてわらった。
こちらは、となりのリリーの家。リリーは、二重のクリクリした目。お人形みたいにかわいい目の持ち主。でも、リリーは気に入らない。
「だって、だいすきなおばあちゃんは切れ長の目なのよ」って。
リリーは、背が高い。将来、モデルになったら?と友達のマリーに言われている。
でも、リリーは気に入らない。
「だって、だいすきなパパははのっぽじゃないのよ」って。
リリーは、色白。お日様に当たっても焼けない、雪のような肌。でも、リリーは気に入らない。
「だって、だいすきなおじいちゃんはきつね色の肌なのよ」って。
リリーもそれくらい家族がだいすき。だから、似ていないのがかなりさみしい。
ある日、マリーが言った。
「ねぇ、リリー。リリーが家族に一番似ている所ってどこ?」
「ないよ。だって私は養子だもの」
「血がつながっていないと、家族って似ないのかな?」
リリーは、かんがえた。
(血がつながっていないのだから、似ているわけがないじゃない。でも、家族みんな私を自分にそっくりっていうわ。う~ん、私が似ているものってなに?)
「ねぇ、ママ。私がママたちに似ている所ってある?」
リリーは、ママに聞いてみた。
ママは言った。
「ミルクが好きなのは、パパと一緒でしょ。飲み方まで一緒。それに、素直なところはおばあちゃんにそっくりよ。きっとおばあちゃんといっぱい話しているからね。それと、頭をかくクセ。これはおじいちゃんをいつも見ているからだね」
リリーは、うれしくなった。
「私、そんなに家族に似ている?」
「似ているわ。でもね、一番私たちが似ている所はリリーが家族みんなをだいすきってこと!私達家族もリリーが大好きよ!それはもう世界で一番!リリーがいてくれて、ママたちはしあわせ」
ママは、リリーを強く強くだきしめた。
「そして、すなおにたずねられる勇気があるところはママにそっくり!」
リリーもママをぎゅっとした。ママの胸のなかで、リリーは思った。
(ママ、私もとってもしあわせ!)
さらに、ママはつづけた。
「リリーはね、この世でたった一人の、かわりがいないそんざいなの。だから、リリーはそれだけですごいのだけれど、こんなに私たち家族をすきでいてくれるそんざいはほかにはいないわ。ありがとう、私たちの宝物、かわいいリリー」
「私が世界中でこの家族を一番すきなこどもだもの!そして、家族が一番好きなこどもは私!そこが一番に似ているところなのね!」
しつもんの答えがみつかったリリーは、嬉しくなって、マリーの家に元気よくたったったったとかけだした。
おわり
私は小さい頃、自分のそばかすが嫌で嫌で仕方ありませんでした。
からかわれるし、恥ずかしいし、だからマリーやリリーのように思う子は実際には少数派でしょう。
でも、私はマリーやリリーの家族が大好き!という気持ちから元気をもらえています。
からかわれたってなんのその!そんなことより家族が好き!
このポジティブな明るさは、今の時代の重苦しさにも風穴をあけてくれそう。
だから私は非現実的ではあるかもしれませんが、この物語が好きです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!