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まほろば  作者: 雨霧颯太
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伊豆半島沖海空戦

RF-4EJ改による幾度もの偵察によって、目標の目的地が東京にあると判明した。


東京では陸自、警察による住民の避難を促していた。市ヶ谷駐屯地地下にある司令部では特殊戦術研究旅団長山根陸将補が住民の避難と特殊戦術研究旅団の展開の両方の陣頭指揮を執っていた。


「指令。住民の避難完了まであと5時間。」


オペレーターが山根に報告して来た。


「1,000万人からの人を避難させるんだ。それくらいかかるな。目標の方はどうだ?」


「現在、遠州灘を東に50ノット以上の高速で移動中です。」


司令部の大きなモニターにRF-4EJ改から撮影された映像が映し出されていた。


「まともに行ったら、間に合わないな・・・直ちに、各務原の影電と新星をあげろ。そちらが一番近いはずだ。敵は一筋縄では行かない。燃料気化爆弾の使用を許可する。」


山根は時間稼ぎのために新型戦闘機、影電と対地攻撃機、新星を出撃させた。


影電は日本が新開発した最新鋭ステルスVTOL戦闘機である。アメリカのF-35をモデルに、戦闘能力、索敵能力を向上させた次世代の戦闘機であった。機体には衝撃に強い、耐熱カーボンナノファイバーが素材に採用され、軽さと丈夫さ、機動性では他国の戦闘機を凌駕していた。


新星は対オロチ対策として開発された新世代の対地攻撃機であった。最新のコンピュータが搭載され、日本のみならず、各国に装備されている、核を除くありとあらゆる武装を搭載することが出来た。武装には誘導爆弾、対地ミサイルを装備し、必要に応じて、60ミリ機関砲を翼下に取り付けることが出来た。


外見はアメリカのA-10Aサンダーボルトに似ていたが、その能力は遥かにそれを超えていた。


航空自衛隊、各務原基地に試験配備されていた影電、新星それぞれ、12機が飛び立った。


ちょうどその頃、RF-4EJ改は高速で東京に向かうオロチを上空から撮影し続けていた。


「くそ。どんどん、どんどん東京に近づいているって言うのに、俺たちには何も出来ないのかよ!」


パイロットの仲間二尉が毒づいた。


「こいつは偵察機だからな。見失わないように張り付いてるしか無い。」


後席の石橋二尉も悔しさをあらわにしていた。オロチは上空のRF-4EJ改には気にも留めず、ゆうゆうと海上を浮上し、100mの巨体をあらわにさせて、沿岸約20キロをそうように東上していた。


もうすぐ伊豆半島にさしかかるかに見えたその時、影電が12機が飛来した。新星は最高速度が約900km、最高速度マッハ2.3の影電とはかなりの遅れが出てしまった。


「編隊全機、久しぶりの挨拶をぶちかますぞ。」


編隊長の桑原三佐が影電隊に指示を出した。影電の体内から、対地ミサイルが発射され、白い糸を引くように目標に向かってまっしぐら飛んでいった。


オロチは少しとまり、空を仰ぐような動きをした。そのとき、12発のミサイルが全てオロチに命中した。周囲は爆煙に包まれた。


「やったか!?」


桑原が声を上げた。爆煙の中から、ぬっとオロチの巨大な頭部が姿を現した。攻撃は全く聞いていなかったのだ。あとは新星が搭載した燃料気化爆弾を待つしか無い。


「攻撃続行!!」


再度ミサイル攻撃が開始された。今度は立て続けに各機二本ずつ、計24本のミサイルが発射された。爆発の瞬間、オロチは身を震わせ、金切り声のような鳴き声をあげた。ミサイルは、目標にたどり着く前に爆発した。


「なんだ!?」


映像を見ていた司令部は愕然とした、あれでは物理攻撃が通用しない。


「大丈夫なのかね?山根君!!?」


幹部が頼りなさそうな声を上げた。山根は余裕を含んだ笑みで言った。


「お任せください。」


余裕しゃくしゃくで表面は言ったものだが、山根は内心不安にかられていた。あの超音波防御の前では、爆撃ではダメージが与えられない。やはり目標を倒すには首都に配備したアレしかない。だが、市民の避難も、戦力の展開にも時間がかかる。ここは12機の影電と新星が頼りだった。


「隊長、残弾あと一発です。」


編隊列機が桑原に報告した。そんなことは自分の機体のモニターにも表示されてわかっていた。これまでか、と絶望的な感情が桑原を支配しかけたが突如通信が入って来た。


「桑原三佐、遅くなって済まない!直ちに現空域から離脱してくれ!!」


新星隊長の森三佐からの通信だった。


森をはじめとする、新星隊はオロチにぎりぎりまで近づいて、虎の子の燃料気化爆弾を投下し、一気にフライパスした。


数瞬後、あたりはまばゆい光と劫火に包まれた。

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