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エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者
15/25

桜はエルフを信用している。

桜とサマーは我のことを忘れて、風呂に行ったまま戻ってこなかった。盛り上がっていたようで何よりだ。

我は聖書の教えを繰り返し、素晴らしい時間を過ごせた。

そして、日が昇ってから数時間後、「ミリーメイが来たわ」と言いながら、サマーと桜が部屋に入ってきた。

テーブルの上では、未だに聖書が光っている。


「ごめんなさいね。

桜ちゃんに余計なことを言っちゃって、慰めてたら、あなたのことを忘れてたわ」

「我のことは気にしないでいい。

有意義な時間を過ごしていたからな。

それにどうやら、桜が世話になったようだ。

詫びるべきは我の方だろう」


桜は少し落ち込んでいるように見える。

あまり寝れていないようだ。

筋肉の張りが悪い。


「ごめん、メロス」


桜が呟いた。


「サマーにも言ったが、気にすることはない。

我は、神への祈りを行なっていたのだから、有意義な時間を過ごしたと言えるだろう。

我のことよりも、自分のことを気にすべきだ」


察するに、サマーに何かを聞かされたか。

よほどショックなことだったのだろう。

だがまあ、大抵のことは、我が筋肉で解決できるはずだ。

なんであれ、桜が現れたのは、聖書の導きだと思っている。

ならば、桜を望む場所に返すのが、筋肉の道というものだ。

そんなことを考えていると、ノックの音が聞こえた。


「サマーさん、ミリーとメイです」


「ええ、わかっているわ。

少し待ってくれるかしら?」


そう言って扉の前にサマーは行く。

そして、開ける前に我と桜を見た。

魔法を発動した気配がする。これは、音を遮断しているのか。


「迷宮結晶のことは秘密にしてね。

下手に口に出すと、面倒ごとになりそうだから、依頼内容はぼかして伝えるわ。

その辺のことは私に全部任せてくれる?」


「わかった」「わかりました」


我らが頷いたのを確認してから、ドアを開けた。


「「おはよう」ございます」


「「「おはよう」」」


「さて、いつまでも立っていても変ね。

どうぞ座って」


サマーがソファを増やし、全員座った。


「ミリー、メイ。

実は、ちょっと予定が変わって、依頼内容を変更したいんだけど、話を聞いてくれるかしら?」


ミリーとメイが目で一瞬会話をした。

言葉にはしていないが、眼球もまた筋肉の運動だ。読み取ることは造作無い。

『厄介なことになりそうだ』

『でも、お話は聞きましょうよ。桜さんやメロスさんに関わることだと思うし』

『わかった、詳しいことはメイに任す。桜とメロス殿が危険そうなら、潰す方向で頼む』

『うん』

『あと、テーブルに置いてある、あの光り輝く本はなんだ?

テカテカの男が微笑みかけてる絵画なんて、なに考えてるんだ?』

『そんなこと、今はどうでもいいでしょ。サマーさんの研究資料に決まってるんだから、下手に突っ込まない方がいいよ、絶対』

と考えているようだ。

ミリーには、あとで読み聞かせてあげよう。興味があるようだからな。


「お話は聞きますが、承諾できるかはわからないです」


メイが困ったように笑った。


「実は、迷宮の花が必要になったの」


面倒ごとを避けるために、迷宮結晶とやらを探すことは、伏せた方が良いのだろう。

偽りの依頼をサマーは口にした。


「無理ですね。

迷宮の花が手に入るほど深く、迷宮に入れることはできません。

私たちには荷が重すぎます」


メイが依頼内容の変更を、驚きながら拒否する。

それを聞いて、サマーがニンマリと笑った。


「そう、ならいいわ。

違約金を払うから、ギルドに通達しておいてくれるかしら?」


サマーが布袋を出し、金貨を積み上げていく。

ずいぶんお金を持っているな。

まあ、どうでもいいが。


「待ってください。

桜さんたちは、受けるつもりなんですか?」


「うん、必要だからね」


「無理ですよ。

ランクが足りませんし、危険です」


「ランクの方は大丈夫よ。

もうギルドに許可は取っているもの」


サマーが、ひらりと紙を出した。

そこには、『メロスと桜をランク5にする』と書いてあった。

サマーはすごいな。

ボランやシエラができなかった、ランクアップをできるなんて。

どうやら、冒険者ギルドに相当な影響力を持っているようだ。


「私たちに話す前から、決めていたんですね。

でも、桜さんは本当にいいんですか?

正直、桜さんがどれだけ危険な所に行こうとしているのか、わかっているようには見えません」


メイがサマーを睨むように言った。


「メイ、ちょっと失礼だぞ。

すまない桜、つい心配して出た言葉だ。気を悪くしないでほしい。

ただ、メイの言っていることは間違ってないだろう。

よく考えて依頼は受けるべきだ」


ミリーがメイに声をかけながらも、桜にアドバイスをする。

なぜ我には言わないのか。

まあ、我にはいらぬ心配ではあるが……。


「昨日見たでしょ。魔法を使えば、結構強いんだよ、私。

それに、メロスいれば、大抵の危険はどうにかなるんじゃないかな。

まあ、どこにどう行くのかも聞いてないけどね」

お読みいただきありがとうございます。


今更ながら、この小説はスマホで執筆しています。

そのため、誤字脱字が多いです。

寛大な気持ちでお読みいただけると、幸いです。

また、誤字脱字にお気づきになられたら、お知らせいただけると大変助かります。

どうぞよろしくお願いします。

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