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エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者
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桜は呪いをかけた。

美女と美少女が服を脱ぎはじめた。

もちろんそこには、筋肉エルフはいない。

脱衣所の中の話だ。


「サマーさんって凄い綺麗ですよね」


「ありがとう。

桜ちゃんもすごく綺麗よ」


「サマーさんほどスタイルがよければなぁ」


桜がブラジャーに包まれた巨大なものに、羨望の眼差しを向けた。

すると、サマーは少し哀れむ視線を、桜の胸部に返す。


「胸はちょっと残念だけど。

それはそれで妖精みたいで、神秘的よ。男の人が放っておかないでしょう?」


「妖精……」


桜の脳裏に筋肉エルフが浮かぶ。

なかったことにする。


「あの、サマーさんも異世界出身、なんですよね?」


「ええ、そうよ。

あなたの世界と同じか、すごく近い世界かもしれないわ。

あっ、そういえばいい忘れてたけど、私の本名は、高倉奈津って言うのよ。

なつだからサマー。

安直な偽名でしょ?

呼び方はサマーでお願いね」


サマーがブラジャーを外した。

揺れる。

そのプリンのような揺れに桜の目が釘付けになった。


「おっ、おっぱいが、大きい。

しかも、綺麗」


「聞いてる?」


サマーが桜を見ると、明らかに胸を凝視していた。


「もう、こんなの肩が凝るだけよ。

あと、男の人はみんな見てくるし。

メロスも凝視してもの」


ちょっと自慢気だが、事実を話す。

すると、桜が自意識過剰だと、鼻で笑った。


「メロスだけは、大胸筋を見てたんだと思います。

間違いなく」


そんなことを言い合いながら、風呂場のドアをサマーが開ける。

桜の目に、老舗温泉旅館の大浴場のような光景が飛び込んできた。


「あの、この研究所って、何人が務めているんですか?」


「私1人よ」


「広すぎませんか?」


「温泉、好きなのよ。

温泉の多い国に生まれたから」


「あの、やっぱり、サマーさんって、私と同じ日本人ですか?」


「残念ね。

10%くらいの確率で同郷かなぁ、って考えてたけど、やっぱり違ったのね。

……ところで、私が教えた本名、聞いてた?」


サマーはシャワーを浴びていても、桜からの呪いのこもった視線を感じた。

サマーの肌は、水を弾き、肌の若々しさを示している。

そして滴る水が、うなじを伝い、胸の頂に行くことなく、小さな水滴がいくつも胸の上に残った。


「おっぱいに、水滴がたくさん……⁉︎

私のは、滝のように流れ落ちるだけなのに」


桜が自分の胸とサマーのを比べてため息をついた。

あの半分でもいいから、欲しい。

もしその願いが叶わないなら、この世の全ての乳よ、しぼんでしまえ。

いや、大きいものは垂れるのが自然のルール。

さっさと垂れてしまえ。

その綺麗な乳に悲しい別れを与え給え‼︎

とりあえず目の前の、スイカのような大きな胸に、呪詛を送り続ける。

いくらなんでも、本当に魔法を発動することはなかったが。

そんなことをしながら、体を流すと、2人で温泉の中へ入った。



「異世界とこの世界の間には、狭間の空間があるの。

それは間違いないわ。

その狭間の空間は、未知のエネルギーに覆われている。

異界から来た生き物や物が、変質するのは、その影響よ。

迷宮は、その未知のエネルギーが微かに溢れて出している場所なの。

たぶん、桜ちゃんとメロスの話から、瘴気の森というのは、迷宮の卵ね。

あと1000年くらいあれば、迷宮になるわ。

そして当然、そんな所で100年も過ごせば、変質する可能性は高い。

迷宮を長年探索し続けていると、若返ったり、特殊な力に目覚めたりするのだけど、メロスにも同じことが起きたのでしょうね。

普通の冒険者には、ありえないほど迷宮のエネルギーを浴び続けてたってことでしょうから」


「やっぱり、鍛えてるだけであんなことにはならないですよね?

瞬間移動とか平然としますし」


「たぶん、勇者や魔物、聖遺物が持つ特殊能力ね」


「私も、特殊能力に目覚める可能性はおるんですか?」


「桜ちゃんも、すでに、特殊能力を持っているわよ。

少なくても、1つは」


「えっ?」


「言葉、通じるでしょ?

言葉に込められた僅かな感情から、知っている言葉に変換する。

意思あるものが、大抵手に入れる能力よ。

まあ、それ以外の能力に目覚めるかは運でしょうけど、たぶん、桜ちゃんは目覚めるはずよ。

狭間の空間にいた時間を考えるとね」


「サマーさんの、空間魔法も特殊能力なんですか?」


「違うわ。

空間魔法は緻密な計算と正確な技術を、基盤に組み上げる技術よ。

その計算はリアルタイムですることになるけどね。

だから、私以外に使うことのできる人がいないだけ。

桜ちゃんでも難しそうね。

エルフと同じで、感覚で魔法を使ってそうだもの」



一方そのころ、メロスは軽くランニングをしていた。

お読みいただきありがとうございます。

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