迷宮学者と桜は逃げ出した。
短めです。
「その勇者任命官ってどんな人たちなんですか?」
「人というより、組織ね。
色々な国々や宗教組織が協力して運営している、独立機関よ。
迷宮に現れる危険な物を対処するスペシャリストなの。
意思疎通ができて、有用なら、勇者として認定する。
そうでなければ、抹殺するのが仕事よ」
「そもそも勇者ってなんですか?」
「異世界から来た、意思疎通が取れる、この世界にとって有用な生き物のことよ。
ちなみに、異世界から来た、有用な品物や物質は聖遺物と呼んでいるわ。
そして、その逆のもの。
異世界から来た、意思疎通が取れるけど有害な生き物を魔族。
意思疎通の取れない有害な生き物を魔物。
異世界から来た有害な、あるいは危険な物を、悪遺物と呼んでいるわ。
その判断を下すのが、任命官よ」
「なんで、サマーさんは監視されているんですか?」
「私も勇者認定を受けているからよ。
そのうえ、研究テーマが迷宮と異世界。
勇者にとっては誘蛾灯のようなものでしょうね。
実際、貴方達も私に会いに来たでしょう?」
サマーは、割と説明好きのようだ。
ならば、そろそろ我か持ってきた聖書の朗読会を始めようではないか。
「サマーさん、そろそろお開きにしませんか。
実は野宿ばかりで色々疲れているんです」
「あら、そうなの。
ごめんなさいね。
配慮が足りなかったわ。
この研究所のお風呂には、結構こだわっているから、しっかり疲れを癒して」
「あの、お風呂の広さってどれくらいですか?」
「20人入っても、余裕があるくらい大きいわ」
「あの、それなら一緒に入りませんか?」
「えっ?」
「サマーさんが勇者であることとか、色々聞きたいんです。
あと、そこの筋肉が、聖書の朗読会を始める気配を出し始めたので」
「そういえば、せっかく持ってきてもらったのに」「ダメです。一緒に入りましょう?
たぶん、全部読みますよ、メロスは。それも休みなしで」
なぜかサマーが固まった。
そして、少しして動き出すと、慌てたように口を開いた。
「そうね。
一緒にお風呂に入りましょう。
バスタオルや着るものは、私ので良ければ貸すけど、どうする?」
「あっ、一応、綺麗にする魔法は使えるんですけど、そうですね。
できればお借りしたいです」
「ええ、それじゃあ案内するわ。
ごめんなさいね、メロス。
また今度、暇な時に自分で読むわ」
そう言うと、桜と2人で部屋を出て行った。
お読みいただきありがとうございます。
次回は、お風呂回です。
3人称視点で執筆予定です。




