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エルフは筋トレ本を拾った。 →聖書として崇めた。→筋力が上がった。  作者: 青桐
1章 筋肉エルフと少女勇者、時々、学者
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美女迷宮学者は興奮している。

「まずは初めまして。

私はサマー。

ミリーとメイは久しぶりね。最後に会ったのは、2ヶ月前かしら。

再開を喜びたいところだけど、2人は少し外してくれる?」


美女の目が妖しく輝いた。


「えっと、お邪魔なら、少し外します」

「いや少しでは終わらないだろう。我々は明日来るので、ごゆっくり」


メイとミリーがサマーを見て苦笑いしてながら答えた。


「ごめんなさいね。

この埋め合わせは必ずするわ。

あっ、忘れる前に、紹介状を出してもらえる?

あなたたちを雇うことは決めたから」


「どうぞ」


ミリーが紹介状を渡すと、サマーはペンでサインした。

すると、紹介状が僅かに光り、ペラリペラリと紙が剥がれて、3枚になる。

サマーがそのうちの二枚をミリーに渡した。


「この一枚はギルドに依頼を受注した控えとして提出する。

あとは依頼者と依頼を受けた冒険者がそれぞれ保管するんだ。

これで、トラブルを防いでいる」


ミリーが我と桜に説明してくれた。


「それじゃあ、何というか、頑張れ」


「大変かもしれないですけど、サマーさんに悪気はないですし、いい人ですから、頑張ってください」


含むところがありそうな言葉を残して、2人は部屋を出ていった。


「それじゃあ、話を聞かせてもらいたいところだけど、もう少しだけ自己紹介をさせてもらうわ。

私の専門は迷宮と異世界よ。

貴方達の力になれそうかしら?」


「どういう、意味ですか?」


桜が若干警戒するように聞き返した。


「貴方達2人とも、異世界から来たのでしょう?」


天使のような美しい笑顔でサマーは笑った。


「我はこの世界のエルフだぞ?」


「嘘っ⁉︎」


サマーが立ち上がって身を乗り出し、我を見つめる。

やはり、エルフよりも、顔が整っているな。

しかも、同じ黒髪なせいか、どことなく桜に似ている。


「おかしいわ。

この世界のエルフと特徴が合わない」


「そこのエルフは、無視して構わないと思いますよ。

とりあえず、私はそうです。

名前は、海堂桜といいます。

ぜひ、お話を聞かせてください」


桜が我に失礼なことを言いながら、サマーに頭を下げた。

サマーが我をガン見しながら、少し身を引いた。


「貴方にすっごい興味があるのに、そこのエルフの方が気になるわ。

ぜひ、解剖、じゃなくて解析したい……‼︎」


最後の方は聞かせるつもりがないのか、だいぶ小さな声で呟いていた。

こいつ、危険な奴だな。


「あの?」


「あっ、ごめんなさい。

まずは座って」


サマーがそういうと、何もなかった場所に3人掛けのソファが現れた。

ちょうど、サマーが座っている椅子と向き合う形だ。


「飲み物は、紅茶、緑茶、コーヒー、あとは水があるけど、どれがいいかしら?」


「では水をもらおう」


「えっと、私は紅茶をお願いできますか?」


我たちとサマーの間に、小さなテーブルが現れ、我の前には水が入ったコップも現れた。


「紅茶は2分ほどかかるけど、いいかしら?」


「もちろんです」


サマーはちょっとだけ残念そうな顔をした。


「どうした?」


「いえ、大抵の人はこうやって、テーブルや飲み物を用意すると驚いてくれるのだけど、

あなたたちは反応が悪いわね。

まあ、いいわ。

本題に入りましょう。

まずは桜ちゃん、あなたの話を聞かせて」


桜が少し困ったような顔で口を開いた。


「話しといっても、どこから話すべきなのか……」


「少しでも、この世界への転移に関係のありそうな話なら、全部話してくれるかしら?」


「それなら、まず、私の世界で起きた話をします。

私の弟の本が7日ごとに消えるってことが、1年続いたらしいんです。それで、私が疑われて、暇な時に、弟の部屋を家捜ししたんですよ」


「えっと、桜ちゃんの弟って、1年間もそんなことが起きたのに、対応しなかったの?」


「私が借りていってるって、本気で信じてたみたいなんです。

それで、私が暇だったから、真相をつきとめようとしたら、気がついたらここにいました」


ん?

ちょっと待て、我が聖書を拾ってから100年ほど経過している。

桜の話が本当なら、あの聖書は、桜の弟君のものではないな。


「それで?」


「どうやら、メロスが訓練しているところに弟の本が流れついていたみたいで、私も同じように流れ着きました」


「メロスが拾った本って、どんな本なのかしら?」


「いや、我はてっきり桜の弟君の聖書だと思っていたが、違ったようだ」


「どういうこと?」


「いや、あまり不思議には思わなかったもので勘違いしていたが、桜の話と、我が聖書の受け取り日には、大きな100年の開きがある。

だから、あの聖書は弟君のものではないな」


「ちょ、ちょっと待って。

どういうこと?」


「言った通りだ。

我が聖書を拾ったのは、今から102年前。

桜の弟君が聖書を失くしたのは、2年前からなのであろう?

ならば、同じ聖書でないはずだ」


「そんな訳ないよ。だって発行年数は同じだったから」「ごめんなさい、ちょっといいかしら?」「あっ、すみません。2人だけで話してしまって」


「いいのよ。

すごく興味深い話だったから。

でもとりあえず、ひとつ話をさせて。

実は私、異世界転移について、ある仮説を立てているのよ。今はその裏付けを主にやっているわ。

2人の話は、仮説の裏付けになりそうなの。

桜ちゃんにとっては、とても悪いことにね」


「それは、どういう意味ですか?」


「まだ仮説だから、実験と検証が終わったら話すわ。

その結果次第で、元の世界に帰ることも可能かもしれないけど」「本当ですか⁉︎」「ただ、その検証のために、一つ必要ないものがあるの。

今回の依頼を少し変更して、一緒に取りに行かない?」


その言葉と同時に、桜の前に紅茶の入ったカップが現れた。


「……あっ、ごめんなさい。

紅茶を入れていたのを忘れていたわ。

冷めちゃったわね」


「いえ、気にしないでください。

猫舌なので、ちょうどいいくらいですよ」


桜が気を使う。

それを聞いて、サマーは少し冷静になったようで、長い息を吐いた。


「……そうよね、ミリーとメイにも話を通さないといけなかったわね。

詳しいことは明日、話しましょう」

お読みいただきありがとうございます、

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