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326.難問

「え! あるんですか?!」


 ダメ元でドーラ先生に修行に使える部屋がないか聞いてみたところ、あるらしい。


『確か我の宝物コレクションにあったと思うぞ』


 ドーラ先生は今は小さなドラゴンの姿だ。魔力の無駄遣いを避けるために人型になるのをやめているらしい。


「それ、使わせてください!」


「それは構わぬが、学校の授業はどうするのだ?」


 頻繁に魚人たちの襲撃を受けているのに授業も何もあったものではないと思うが、カーラ先生を始めとしてビルネンベルク菌に脳を侵されている先生たちは戦争があることが日常なのだ。だから授業も戦争も日常の一部として行われる。

 戦争をなくそうとしている人たちなのに、まったくその気に見えない。


「授業は補習をお願いします。今、強くなる必要があるんです!」


 人命に関わることなのだ。私の成績が多少悪くなるぐらいなんでもない。


「わかった。では、宝物庫に移動しようか」


 ドーラ先生はパタパタと飛んで私の肩に止まる。


「あっちだ」


 そして、歩くべき方向を指し示した。






 宝物庫は山脈の洞窟にあった。奥深くにあるが、ドーラ先生は近道を知っていたようで、そこまで歩くことなく到着する。


「これだな」


 意外にも整理整頓された宝物庫の中で大きな箱に乱雑にしまわれたもののひとつを取り出して私に渡してくれた。


 見た目は単なる棒だ。


「それで宙に四角を書いてみるのだ。自分が入れるぐらいの大きさでな」


 言われたとおり、線を書くと線が光り始め、完全な四角になったあと、そこに別の空間につながるような入り口ができた。

 裏に回ると何も見えないのに、表からは四角の奥に別の空間が見える。


 ただし、モコ様から聞いていたような「なにもない白い空間」ではなく、永遠と森が続いている。


「えっと、食べ物とかは?」


「現地調達だぞ?」


 ドーラ先生は「何を当たり前のことを質問しているのだ」といった感じだ。いや、当たり前じゃないですよ。


「これを閉じるにはどうしたらいいんですか?」


「一度入ればいい」


「帰るときはどうすれば?」


「中にいる空間の主を倒せば自動的に出られる」


「えっと?」


 それはどれぐらい強いのでしょうか。


「ランダムだからどれぐらい強いのかわからないけど、ほら、この中は時間が経過しないから、すごい強い主でもゆっくり強くなれば大丈夫じゃろ?」


 軽い感じで言っているが、私がこの中で死ぬことを考えないのだろうか。


「まあ、当たって砕けろだ!」


「砕けてどうするんですか!」


 そうツッコミを入れたが、私に取れる選択肢はもうこれしかないように感じた。そして、実野ところ私には勝算があった。


「……行ってきます」


「気をつけてな。あと、これも持っていくといい」


 ドーラ先生がくれたのは小さな鞄だった。お弁当でも入っているのかもしれない。


「ありがとうございます」


 私は光る四角の中に入る。


 すると、四角は段々と小さくなって消えた。本当に主を倒すしか出る方法はないようだ。


 周囲を見渡すと鬱蒼とした森林が広がっている。


 とりあえず、私は安眠できるようなところを探してあるき始めた。



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