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325.龍虎

 モコ様が言うにはドーラ先生の親に当たるエンシェントドラゴンが魔法学園に来るのだという。


 ヴォルフ先生に名前をもらい、ものすごく強くなったドーラ先生を超える強さらしく、序盤の私たちではかなわないだろうということだった。


 このイベントに失敗するとドーラ先生は連れ去られてしまい、今後の魚人族の襲撃やその他の防衛イベントも辛くなるのだということだった。


「えっと、それはどうやって乗り切ればいいんでしょうか?」


「分からないのよ?」


「分からない……」


 絶望と失望を掛け算した顔でモコ様を見る。


「そ、そんな顔で見られてもモコ様も困るのよ? ミリアルートはモコ様もやったことがないのよ?」


「もし私たちが中盤以降になっていたとして、その時はどうやって倒すのですか?」


「殴るのよ?」


「殴る……」


 ドラゴンって固い鱗で覆われていて並みの金属では傷がつかないと言われていたような。そんなドラゴンを殴って効果あるんでしょうか。


「まあ、そのころには魔法を使って身体能力を上げたり、魔法の拳鍔を作って威力を上げたりできるようになるからねぇ」


 セキが私の知らない魔法を説明する。


「今言った魔法を私はまったく使えないんですが」


「当たり前なのよ? ナナが使えるようになる魔法なのよ? 身体能力を上げても元が酷かったら意味がないのよ?」


 自然(ナチュラル)貶め(ディス)られたような気になったけど、今はそれを拾っている場合じゃないのでモコ様の発言を流す。


「なら、ナナが戦えればいいんですよね?」


「無理なのよ? 時間が足りないのよ?」


「なんとかならないんですか?」


 私とモコ様がお菓子を食べながら話し合っていると、突然セキが手を叩いた。


「いけるんじゃないか? ほら、『催淫エネルギー』を使えるようになると、睡眠時間を削って経験値を稼げるようになるじゃないか。それならギリギリ間に合うかもしれない」


 確かにその通りかもしれない。


「無理です」


 でも、私が無理だと思ったので否定する。


「できるのよ? それしかないのよ? ナナにかけるのよ?」


「無理です」


 私が頑なに否定するのには訳がある。


「私が寝れないじゃないですか!」


「当たり前なのよ?」


「ドーラと睡眠、どっちが大事なのか考えた方がいいよ」


 この二人は私の価値観を全否定しているけど、この場で正常なのは私だと思うんだよね。


「ドーラ先生も睡眠も両方大事です。どちらが欠けてもやっていけません!」


「じゃあ、睡眠を諦めるのよ?」


「妥当だよな」


 ダメだ。私の話を聞いてくれない。


「まあ、問題はナナが協力してくれるかだよな。ミリアの話を聞いている限りではナナは恩義を感じているから協力してくれるとは思うが」


 何しろ、ドラゴンを殴るという荒唐無稽な話なので、命の恩人でも頭がおかしくなったのかと思われるレベルで心配されそうな予感がしている。


「もっと他に手段はないんですか?」


「精神と時の部屋にこもって修行すればいいのよ?」


「なんですか、それ」


「世界観の違う漫画に出てくる、現実世界とは時間の流れが異なる修行するための部屋のことなのよ?」


「ダメじゃないですか!」


 いくら私の世界がこっちの世界のゲームと近いからと言って、想像上の物語の話を持ち出すなんてふざけ過ぎだと思う。


「観念するのよ? ミリアはやればできる子なのよ?」


「私のルートをプレーしたことないって言ってましたよね?」


「モコ様にはわかるのよ? ミリア、頑張るのよ?」


 もう決定事項のようで私には拒否権がなくなっていた。


「ほら、二週間分のチョコあげるから」


 私はセキから大量のチョコレートを受け取ると仕方なく頷いた。



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