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308.発想


「魔法とは発想の勝負なのよ!」


 扉の向こうに来ている。


 今日もモコ様に魔法を習っている。正確には魔法の使い方を習っている。


「あの……その前に質問なのですが、ここはどこなのですか?」


 扉の向こうはどこか別の国だと思っていたが、どうやら違うようだ。


「ここは『戦略魔法研究部』なのよ!」


 モコ様たちは魔法使えないのに『魔法研究部』……? しかも『戦略』がついて大きく出ている。


「と銘打って、『戦略級美少女魔導士の育て方』を遊んでいるだけだけどな」


 前々からちょこちょこ出てくる『戦略級美少女魔導士の育て方』とはなんなのだろう?


「それってなんですか?」


「FatXは文学、AxRは芸術、CXLNNADは人生なのよ!」


「それだと『戦略級美少女魔導士の育て方』がまったく関係ないですよね?」


「そして、『戦略』は『神』なのよ!」


「まったく韻を踏んでないな」


 もう理解することは諦めよう。神様で遊ぶとかヤバいことこの上ない。


「単なるゲームなんだけど、よく出来ているんだよ。戦術性の高いミニゲームに、オリジナル魔法の生成システム、さらに育成対象との恋愛に戦記ものを絡めた壮大なストーリー。極めつけは愛溢れるエッチシーン!」


「エ、エッチ……」


「キモいから黙るのよ」


 セキは失言に気がついたようで手で口を覆った。


「と、とにかく、モコ様に勧められて遊んでみたら俺もはまったと言うわけ」


「さりげなくモコ様のせいにするのはやめるのよ。モコ様が遊んでいるところを勝手に覗いて勝手に遊んでいるだけなのよ」


「そ、そうとも言う」


 セキは顔を赤くして呟く。


「それで、ゲームと魔法になんの関係が……?」


「関係ないのよ」


「ええ~」


「ミリアは黙ってモコ様の言うとおり練習すればいいのよ」


 高圧的なのに嫌味がない。モコ様が美少女と言うのもあるのだけど、言うとおりにしたら評価Sをもらったと言う実体験もあるので逆らえない。


「練習はちゃんとやってますけど、授業の課題でご相談が……」


「CAS冷凍の発展系の魔法でしょ?」


「そうです!」


 セキの勘の良さはすごいと思う。イケメンだし茶色の髪の毛さえなければ持てるのではないだろうか。


「じゃあ、手軽に電子レンジってどうかな?」


「何するものですか?」


「簡単に言えば、食べ物を暖める機械かな」


「オーブン?」


「違うのよ。電磁波で食べ物内の水分を振動し熱を発生させて素材自体から暖めるのよ。オーブンみたいに外側から暖めないから時間がかかったり焦げたりしないのが利点なのよ」


「それはすごいです。氷魔法とは対極にある魔法だと思うけど、本当にCAS冷凍の発展系なんですか?」


「どちらかと言えば、電子レンジの方が先なのよ」


「え?」


 暖める魔法が先にできて、それが冷やす魔法になった???


 言っていることは分かるけど、まったく理解が出来なかった。


「運動エネルギーを与える魔法だけ(・・)使えばいいのよ」


「あ!」


 それで私は気がついた。なるほど、運動エネルギーだけ与えれば、実際に動けない水分なら、それが発熱へ変換されるんだ。


「すごい! モコ様は天才ですよ!」


「モコ様が考えたんじゃないんだけどな」


「そんなことはどっちでもいいのよ」


 これで次の課題もS確定だ。


 落ちこぼれの私がふたつもSを取れるなんてすごい!






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