250.活躍
ユキノが指揮する妖精軍はすでに王都に入っている。
王都の堅固な城壁もノームにかかれば簡単にその下を通れるトンネルを作られてしまう。
大抵の城壁は下に穴を掘られないように、地中にも城壁を延長しているが、ノームは苦もなくその下を通る穴を掘るのだ。
妖精を敵に回さなくて本当によかった。
『王都に侵入する通路は20本です。一度に300人まで送り込めます』
ノームは人間より小さいが、人形は人間と同じ大きさだし、精霊兵の鎮圧が終われば今度は人間の兵士が治安維持や残党狩りをしなければならない。
特にゴッテスフルスの黒幕を捕まえるためには王都中に兵士を配置しなければならないだろう。
まあ、ここに黒幕がいるとは限らないんだけどね……。
「お願いします」
掃討作戦が始まるとすぐに精霊兵が沸いて出てきたらしく、宰相からの報告で戦況が伝わってくる。
基本的に妖精軍のほうが優勢であり、精霊兵は順調に数を減らしていく。
王都の周囲から侵入した妖精軍は打ち洩らしを押さえながら中心にある王城に向かって包囲を狭める。
打ち洩らしはドライアードが探索して各個撃破する。
『王城まで掃討完了しました。王城に取りかかります』
それに合わせて僕たちも王都に入る。人間の宰相軍も一緒だ。
王都の中なら通信網は宰相が構築したものが使えるようになるので、これで連携を取りながら進むことになる。




