248.名前
ユキノからの連絡はリアルタイムに取れる。
クロの作った情報網はないけど、妖精のリンク機能を活かしてノームが僕に教えてくれるのだ。
ユキノたち妖精は休憩などが必要ないらしく、策敵しながら昼夜問わず、進軍している。
斥候として放たれたウンディーネが言うには精霊兵は王都から動いていないらしい。
翌日にはユキノたちは何の障害もなく、ランゲンフェルトについたと報告が来た。
ランゲンフェルトでは宰相と合流できたはずで、より詳細な情報を聞き出す予定だ。
ノームを介してのやり取りがまどろっこしいが、精霊兵の驚異はなくなっていないので仕方がない。
『精霊兵は単純な命令しか受け付けないようです。また精霊兵は一定時間経つと消えるように居なくなります。王都は制圧されたといえども、精霊兵は王都にはすでにいません』
ノームが書くメッセージを読む。
しかし、不便だ。
今までリアルタイムに近いコミュニケーションを可能にしてきたクロは凄い存在なんだと思った。
『しかし、王都に攻撃をしようとすると、精霊兵がどこからともなく沸いてきて、兵士たちを駆逐しようとします。王都に住んでいる人には危害を加えていないようですが……』
凄い都合のよい存在だよね。
完全な制御ができているのであれば、僕たちに向けて使ってきただろうけど、恐らく完全な制御は出来ておらず何らかの制限があるんだろう。
その制限がいつまで続くかわからないので、早めに決着をつける必要がある。
「ユキノに伝えて。王都奪還および精霊兵の駆逐を」
『了解』
ノームは頷くとユキノに伝えてくれたようで、ユキノから『まかせてください』という返事が来たことを教えてくれた。
「僕たちも出発しよう」
万が一の打ち洩らしは後詰めドライアードに任せてもいいだろう。
はやく現場に行かないと僕も落ち着かない。
カルラも同じ気持ちのようで、僕の言葉に待ってましたと言わんばかりに飛んで行った。
編成したのは高機動隊としてドーラの背中に乗って運べる人数に押さえた。
ホバーも精霊のなにかを使っていないとは考えにくく、空を飛べる手段はカルラとドーラしか持っていない。
速度の面を考えればドーラ一卓なので、あまり悩むことはない。
準備を手早く終えると僕たちはランゲンフェルトへ飛び立った。
そろそろ大詰めです!
凄い間違えに気がついて過去分の修正が必要なことに気がつくなど……




