245.急展
朝起きると、ノームが寝室に立っていた。
僕がベッドから起き上がると、ノームは手に持っていた手紙を渡してくれた。
「え、なに」
渡された手紙はカルラからの手紙だった。
どうやら精霊が激おこカムチャッカファイアーで、ゴッテスフルスの火山が噴火するらしい。
すぐに逃げるようにと書いてあった。
日付は今日で、ライラとノームの予想では二週間後に噴火するそうだ。
急展開過ぎるし、ゴッテスフルスがこれを予想してなかったというのも呆れる。
精霊が大きな力を持っているのを知っていて、その精霊を無理やり使役しようとした。
おそらく実験段階で多数の問題は出ただろうに、それに目を瞑って空中戦艦に載せたのだろう。
これが壊される危険性がない用途ならなんとかなった可能性もあるが、戦争に投入する兵器に積むとか、正気の沙汰ではない。
僕はゴッテスフルスの黒幕のことを思い出していた。
あいつが正気ではないことはわかっていたが、自滅するようなことまでやるとは思わなかった。
死んだキタノを操って、死者を冒涜するような行為は許せなかったし、何よりここが異世界だからといって、自分の好きなようにやってるのが許せない。
僕は元々正義感が強い方じゃないので誰かが悪いことをしていようと、そんなに気にならない。
僕自身に災いが及ぶなら話は別だけど。
そして、ゴッテスフルスの黒幕は僕自身に危害を加えることを名言している。
対決して潰すしか選択肢がないと思った。
そう決断した僕は、ドワーフたちやパン屋のお姉さん、冶金技術者、それに彫金師、鉱山技師を集め、ノームの掘った秘密の通路を通って脱出した。
噴火の予測まであと3日に迫ったときだった。




