230.邂逅
空中戦艦の内部はあまり柱や壁がない構造になっていた。それは大抵のケースでホバーやそれに類する運搬機械を使っているためだろう。
いざというときのクレーンのような滑車が少しあるぐらいだ。
これは前世の記憶に引きずられていない設計なので、元々こちらの世界で生まれた人が設計したのだろう。
僕たちは体育館の二階に作られた狭い通路のような場所にいる。
もちろん手すりはついていない。
ここから運搬用の大きなホバーで下ろすようだ。
今見えている形から艦橋というか指令室や動力室の位置を予測すると、この大きな整備室の下にありそうだ。
恐らく、艦橋は一番下の階層で、中層に動力室。一番上のここが整備室となっていると思われる。
船員の部屋は動力室の回りに配置されていることだろう。
普通の制圧戦なら艦橋を目指すところだけど、今は動力源の把握が目的だ。
整備室に人はそこまでおらず、まばらだ。
臨戦態勢に入っているようには見えない。
本来ならもうホバーに搭乗して出撃命令を待っているような状況にも関わらず、だ。
『もしかしたら空中戦艦の主砲で殲滅させる気かもしれません』
確かにレーザーのあるこの世界なら、強力な動力源があるなら威力のあるレーザーで攻撃が可能になるだろう。
「制御を奪える?」
『動力源の確保は必須です。主砲は動力源と直結されていると推測されます』
これはますます時間との勝負だ。
この船の大きさから考えると動力源はかなりの大きさだろう。しかも、船体を軽くしてまで主砲を積んだということは相当な威力であることが予想される。
「急ごう!」
少ないとはいえ、兵士がいることろを通り抜けるのだから、僕たちが侵入したことは船内に知れわたるだろう。
そうなれば、あとはいかに短い時間で任務を達成するかだ。




