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【17万PV】戦略級美少女魔導士の育て方  作者: 小鳥遊七海
第1章 無人島サバイバル
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222.左翼

 兵力で勝る僕たちはとにかく戦線を広げるほうが有利になる。


 戦線が広がれば被害も増えるがそれはお互い様だし、時間がかかると僕たちのほうが補給が追い付かなくなる。


 なので、バルド将軍には右翼の指揮を頼み、左翼の指揮は僕が取ることになった。


 鉄猪は密集しているので、背面に回り込むのも容易に見えるが、罠を警戒して側面からの攻撃を選んだ。


 空から見れば鉄猪の左右から挟み撃ちする形だ。


「タレットからの一斉射撃のあと突っ込むよ」


『了解』


 通信機に指示をしたあと、カルラに向かって頷く。


 カルラはすでに展開しているタレットからレーザーを一斉に射撃する。


 しかし、レーザーは鉄猪を避けるように曲がると、地面に突き刺さった。


 屈折率を制御した防御兵器が積まれているんだろう。ハイジのときに経験積みなので、カルラも驚いてはいない。


 タレットの2発目が撃てるようになるまで時間が掛かるので、パワードスーツ隊が突っ込む。


 相手の防御手段を見ると物理的に殴るほうが有効だ。


 パワードスーツ専用のごっつい武器を手に、パワードスーツ部隊が鉄猪に殺到する。


 何体かは鉄猪の砲撃を受けて動けなくなっているようだ。


 後続のパワードスーツが動けないパワードスーツを回収している。


 僕はそういうパワードスーツからの通信を受けて、負傷している兵士のところへ急行した。


 兵士は腹部に直撃を受けており、苦悶の表情をうかべている。


 レーザーを普通の人間の動体視力で避けるのはかなり難しいようだ。


 せめて方針の向きがわかればいいけど、鉄猪は主砲と予備の銃座があるけど、銃座のほうは人が乗り込んで操作する設計らしく今は動いていない。


 主砲は砲身があるわけではなく円柱にある溝のような隙間から放たれる。


 物理弾頭は使っていないので、砲身は短く、円柱の中に隠れているのだろう。合理的な設計だと思う。


「すぐに魔法をかける」


 僕は兵士の破れたお腹に手をおいた。内臓が見えている。今の僕では助かるか微妙だ。


 僕は精神を集中する。


 幸いなことに周囲は後続の兵士とカルラが守ってくれている。魔法にだけ集中すればいい。


 僕の手に光が集まる。


 あれから僕は回復魔法を契約魔法として使えるようにしていた。魔法陣は必要ない。


 パワードスーツも魔法に必要な部分を部分的に開放できるように改造してもらってある。


 顔面と手は簡単に露出できた。


 光は徐々に兵士のお腹を修復していく。それと共に痛みが引いてきているようで兵士の顔は穏やかに変わっていった。


「よし。この人を救護所へ連れていって」


「カルラ、次の兵士のところへ行こう」


「はい。こちらです」


 カルラは戦場をよく見ていたようで、次々と重傷の兵士のところへ案内してくれた。


 僕が回復魔法を使っている間にも通信機を通じて、戦況が伝わってくるが、パワードスーツ部隊は左翼も右翼も順調に鉄猪の数を減らしつつある。


 バルド将軍が指揮する右翼の方が消耗は少なく、重傷の兵士も少ないということだ。


 元々、バルド将軍の下で何百回も実戦を経験している人たちなので、新しい技術や兵器での戦闘だったとしても致命的なダメージを受けないようにする勘所がわかっているのだろう。


 一応、重傷者が出たときは通信で呼ばれることになっているが、まだ一度も呼ばれていない。


 そして、左翼側も慣れてきたのか、負傷しないで鉄猪を無力化出来るようになってきた。


 怪我をする人も減り、僕はぼこぼこに破壊された鉄猪の残骸を横目に前線を進んでいく。


 鉄猪を操作する機械みたいなのがあるかと思ったけど、残り少なくなった鉄猪に特別なものはないようだ。


 メテオーアでも殲滅できたような気もするけど、まだ油断はできない。


 アイテムボックス使いがいれば、ここに大軍を展開することも可能だからだ。


『こっちは終わったぞ。左翼を手伝おう』


 バルド将軍から通信が入った。


「お願いします」


 順調にいきすぎて僕はまた何か見落としている気がしてならなかった。







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