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【17万PV】戦略級美少女魔導士の育て方  作者: 小鳥遊七海
第1章 無人島サバイバル
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210.予感

 僕はカルラたち実働部隊と、その結果を確認する偵察部隊を編成した。


 実働部隊は空からメテオーアを撃つ、カルラとドーラの組と、正しい場所を指示する僕とクロの組に別れる。


 夜くらい中で明かりを使わずに状況を把握できるのはクロぐらいしかいない。


 効果がどの程度発揮されたかの見届けを行う偵察部隊はライラとハクが担当する。


 クロでもある程度は確認できるのだろうけど、やはり視認での確認もしておきたい。


 僕はクロやカルラしかインテリゲンを使えないと考えていたが、ホバーが登場したことをもって、考え方を改める必要がある。


 クロが放った計算ノードは、前世のパソコンで言うところのファイアウォールに当たる機能がない。


 つまり、コンピュータウィルスのような動きをする魔法に弱いということだ。


「クロ。集める情報におかしな点があったら教えて」


 本当なら時間をとってセキュリティに対応した計算ノードに置き換えてしまいたいところだけど、そうも言ってられない。


「今のところはおかしな点はありません。自己防衛型計算ノードへの入れ換えを進めていますが、現在のところ11%の進捗です」


 クロも僕と同じ問題に気がついていたようで、すでに対策を打っていたようだ。


 自己の問題を自分で認識し、対策を打つというのは、相当高度な知能を有している証だと思う。


 人間でも相当な年齢を重ねていても、それができる人は少ない。


 自分の悪いところに気がつくには自分より知能が上であるか、もしくは異なる価値基準を持っていなければならない。


 前世では、それが「成功の法則」と呼ばれたり、合議制であったりするのだが、この世界では、結局のところ一ヶ所に権力が集中しているので、所謂改善は発生していない。


「クロの準備を待ちたいところだけど、ちょっと時間が足りないよね。カルラたちには出発してもらおう」


「はい。それがいいでしょう。夜間は進軍しないと言えども、奇襲もないとは言えません。カルラには出発するように伝えます」


「それでは私たちも出発します」


 そばに控えていたライラとハクは、僕に目配せする。


「うん。気をつけてね。無理しなくていいから」


 ライラもハクも少し気合いを入れすぎているような気がするので、少し心配だ。


 とは言っても二人とも凄い魔法使いなので、僕なんかよりも容易に身の安全を確保するだろう。


「カルラがメテオーアを撃つポイントまで、あと1分ぐらいです」


 メテオーアは駐留地点と都市から遠い地点に撃つ必要があるので、ドーラでも少し時間がかかる。


「クロのレーダーには何か変化ある?」


「いえ、まだありません。この先も最短で3日はかかりますから、ここで無理に進軍することもないのでしょう」


 今、ゴッテスフルス軍が駐留しているのは、ヴァッサーの北にあるシュティレン最北の港町フェルドから北東にあるガーベルグスという町に駐留している。


 ガーベルグスから王都までは、間にランゲンフェルトを挟むだけだ。


 ランゲンフェルトは先の戦争の反省をいかし、要塞化が進んでいる。


 カルラが撃ったメテオーアの跡地はそのまま堀として使われている。


 いくら防衛戦が苦手なビルネンブルク軍が守るといえども普通の攻撃で落とすのは至難の技だろう。


「なら、実行しようか」


 僕たちの狙いはガーベルグスとランゲンフェルトの間の街道にメテオーアで大穴を開けることだ。


 この街道の北は切り立った崖になっており、この崖の上に出ようと思ったらフェルドから西に大きく迂回しなければならない。


 西に迂回すると僕たちに時間を与えることになり、結果的に戦力を整えることが可能だ。


 さらにランゲンフェルトへ至ったとしても整備された道がないので補給線の維持が容易ではない。ホバーもまだ小型のものしかないようなので、大軍が移動するのは事実上困難だろう。


「カルラから実行完了の連絡がありました。計算ノードの吹っ飛び具合から、ほぼ想定通りの穴です」


 なるほど、クロの計算ノードのなくなり方で穴の形がわかるのか……。


「じゃあ、ライラとハクの偵察結果を待とう。それまでに僕らはヴァッサーからの撤退準備をしなきゃ」


 ゴッテスフルス軍が退却するにはヴァッサーを通らなければならない。


 だから、僕たちがいつまでもヴァッサーを占領するわけにはいかないのだ。


 一時的にラインまで引く必要がある。


「了解です。皆様に連絡します」


「え?」


 いつの間にかみんな僕がカルラから貰ったようなタレット型の通信機を持っているらしく、クロからの通信も届くようになっていたようだ。


 クロはみんなに通信で連絡すると僕に向き直った。


「ヴォルフはどこにも出掛けないように、とカルラに言われています。何かお土産が必要でしたら皆さんに依頼しますので申し付けてください」


 まあ、またどこかに閉じ込められたらさすがの僕も言い訳できないし、おとなしくしておこう。


「お土産は任せるよ。僕は少し寝るから準備が出来たら起こしてね」





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